グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第156話 新たな拠点

学園

 

クエストから戻ったロウは報告を終え、

ノエルと待ち合わせしていた。

 

「お待たせー!」

 

ノエルの元気な声が響く。

 

「そこそこ待ったな。」

 

「ごめんごめん! ていうか、お兄さん

 準備早いよね!?」

 

「そうでもないだろ。」

 

「いやいや。やっぱり、ギチギチのスケジュールを

 こなすには素早さが必要なんだね・・・。

 あたしもお兄さんを見習って、サポート役を

 取り戻さないと!」

 

「とった覚えはねぇよ。そんなことより

 そろそろバスの時間なんじゃないか?」

 

デバイスで時刻を確認する。

 

「え? あ、そうだね! 早くバス停に

 行っちゃおう! ふふふ、やっぱりクエスト行ったあとは

 いいなぁ。」

 

「そうか?」

 

「そうだよ、授業免除で自由行動なんてこう、

 すっごい開放感があるもん。なんか、いけないこと

 してるみたいで、ドキドキしない?」

 

「そう言われてもな・・・俺はクエストには

 結構出てるからな。」

 

「あー・・・お兄さんはいっつもだったね。

 慣れてるか。お兄さん、不良だね?」

 

「あ?」

 

ロウはポケットから白いペンを取り出し

ノエルに向ける。

 

「・・・えっと・・・それは?」

 

「ああ、小型のスタンガンだ。俺が作った。」

 

「ちょ、う、ウソウソ! ウソです!

 調子に乗っちゃいました!」

 

「わかればいいんだ。」

 

「ていうか、なんでそんなものを・・・?」

 

「万が一のためだ。」

 

そう言って、上着のポケットにしまう。

 

「で、でもわたし、ちょっとワルでも平気だよ?

 だってお兄さんがね、みんなのこと大切にしてるって

 知ってるもん・・・ね!」

 

にこりと笑う。

 

「んなこと言ってないで、そろそろバス来るぞ。」

 

スタスタと歩いていく。

 

「あ、ちょっと待ってよー!」

 

 

 

 

<ロウ、ノエル、移動中>

 

 

 

 

 

「やっと着いたー。やっぱり学園って

 街から遠いよねぇ。えっと・・・もうお昼

 過ぎてるけど、何かご飯食べよっか。」

 

「そうするか。さて、何にするか・・・。」

 

色々と店を見る。

 

「それとも、クレープとかおやつにする?」

 

「お前はどっちがいいんだ?」

 

「あたしはね、どっちでもいいよ。

 選んで選んで。()()()()でも他のでも、

 どっちでもいいよー?」

 

やけにクレープを強調するな・・・ ん?

 

ロウは近くにクレープの店があるのを見つけた。

 

・・・なるほど、そういうことか。

 

「どっちでも・・・いいよー?」

 

「そうか。じゃあ、あれにするか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

「ま、まさか本当に違うの選ぶなんて・・・

 お兄さんのいけずー。」

 

2人が買ったのはクレープではなく、

ケバブだった。

 

「お前がどっちでもいいって言ったんだろ?」

 

「あはは、冗談冗談。ケバブだっけ?

 これもおいしいし。何回か食べようと思ったんだけど、

 結局そのままだったからね。」

 

「だったら、ちょうどよかったろ。」

 

「うん! 今まで食べなかったのがもったいない~

 って感じ!」

 

「確かに結構うまいかったな。 ・・・ごちそうさま。」

 

包みの紙を小さくする。

 

「お兄さん、食べるのも早いね!?」

 

「大体こんなもんだろ。飲み物買ってくる。」

 

「あっ、あたしにも!」

 

「はいはい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「買ってきたぞ。ほらよ。」

 

ロウは缶を投げ渡す。

 

「おっと・・・! そういえば、何買ったの?」

 

「俺が買う飲み物は1つしかねぇだろ。」

 

そう言って、缶を開ける。

 

「・・・ブラックコーヒー・・・。」

 

「・・・はぁ~、うまい。」

 

ノエルが少し渋い顔をした横で

ロウは一気にコーヒーを飲みほした。

 

「あの、お兄さん、あたし飲めないから

 これあげる。」

 

「ああ、そうか。んじゃあ、遠慮なく。」

 

2本目をすぐ開け、それも

一気に飲み干す。

 

「・・・まさか、確信犯・・・?」

 

「なんか言ったか?」

 

「な、なんでもないよー・・・。」

 

「そうか、んじゃあ次はどこに行く?」

 

缶をゴミ箱に投げ入れる。

 

「う~ん・・・それじゃあ、えっとね、

 ちょっとあそこのテラスで・・・訊きたいことが

 あるんだ。いいかな?」

 

「なんだ、面倒ごとか?」

 

「・・・うん。めんどくさいことかも。」

 

「・・・・わかった。行こう。」

 

 

 

 

<ロウ、ノエル、移動中>

 

 

 

 

「で? いったい何の話だ?」

 

「・・・突然でごめんだけど・・・あたしと

 お姉ちゃん、やっぱりお姉ちゃんのほうが強い?」

 

「唐突だな・・・・・確かにあいつのほうが

 強いかもな。」

 

「そだよね・・・。」

 

少し下にうつむく。

 

「実は、入学の時の魔法適正って、あたしの方が

 よかったんだ。」

 

「! そうなのか。」

 

「うん、でもそれでお姉ちゃんとすれちがっちゃって

 ・・・最初はちょっとした譲り合いだった。だんだん

 ヒートアップしちゃって、今でもなんであんなに

 なったのかなって。」

 

どんなケンカだったんだ・・・?

 

「でね、お姉ちゃんが頑張ってるの見て、やっぱり

 あたし、いらないんだって・・・それで勉強も訓練も

 やる気にならなくなったんだ・・・けど・・・」

 

「?」

 

「でもそれダメだって、やっぱり思ったんだ。

 遅れちゃったけど、やっぱりお姉ちゃんと一緒に

 いたいんだもの。」

 

「・・・そうか。」

 

「だからお姉ちゃんと向き合えるように強くなって・・・って。

 そっかぁ、まだまだかぁ。」

 

残念な顔をする。

 

「でも、手ごたえは感じてるんだ。いつか

 追いついて、それで・・・お兄さんと一緒に

 戦えたら、いいね。」

 

「・・・冬樹・・・。」

 

「それが今の、一番の夢かな・・・だから、

 よろしくね?」

 

「・・・ああ。だが、俺から1つ言っておく。」

 

「? なに? お兄さん。」

 

「・・・俺のようにはなるな。」

 

「・・・え?」

 

ノエルはわからず、首をかしげる。

 

「えっと、それってどういう・・・」

 

ピピピピピ!

 

「ん? デバイス鳴ってるぞ。」

 

「あ、うん・・・。さらちゃんからだ。」

 

「仲月?」

 

ノエルはデバイスを見る。

 

「・・・え? う、裏世界に行く?」

 

「!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

裏世界

 

七枷廃墟

 

「ロカ。間違いないんだな? レジスタンスの

 新たな拠点の場所は。」

 

「うん、ばっちり。宍戸博士にも確認した。

 阿川奈城砦跡。そこにいる。」

 

「ここからは遠いから、あらかじめJGJに

 協力を取り付けておいた。車両に乗れ。

 ほかの奴にも伝えろ。」

 

そう言って、聖奈は車両に向かう。

 

「・・・まさかゲートに車が通れるように

 なってるなんてねぇ。やっぱり文明ってすごいや。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・。」

 

心は七枷の景色をじっと見ていた。

 

「寂しい場所です・・・しかし、心ちゃんは

 来てしまいましたか。」

 

「ん、双美。今はそっちなのか。」

 

「・・・ロウさん。1つお願いが。」

 

「なんだ。」

 

「裏世界の人間に心ちゃんを会わせないでください。」

 

「!」

 

・・・そういうことか。

 

「できるだけ『私』が出ていますから、心配ないと

 思いますが・・・もし、あの子が出てきてしまうよう

 でしたら、お願いします。」

 

「・・・ああ、わかt」

 

「マインドシーカー! 行くぞ! 我らの

 車に乗れ!」

 

「!」

 

ミナが心を呼びに来る。

 

「・・・!? だ、だめ・・・どうして・・・

 こんな時に・・・!」

 

「・・・双美?」

 

「・・・・・・ふぇ!? こ、ここは

 どこですかぁ!?」

 

・・・元に戻ったか・・・。

 

「裏世界だ! みんなをこっちの我に会わせるって

 言っただろ! 早く来い! いいな!」

 

「・・・えええ?」

 

「・・・ったく・・・ってことだ。

 行くぞ。」

 

「あ、ははははいぃ!」

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