グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
阿川奈城砦
学園生たちがついたころには
周りでは爆発音が響き渡っていた。
「!? 総員戦闘態勢だ!」
「おいおい・・・どうなってやがる。
魔物に攻撃されてるじゃねぇか!」
「・・・わたし・・・行かなきゃ!」
さらが駆け出す。
「おい! 待て、さら! 危ねぇぞ!」
龍季が後を追う。
「こ、こら! 勝手に・・・! くそ!
いきなりの誤算か! 戦闘に長けるのは・・・
雀、雪白、服部、立華・・・それぞれパーティを
組んで、魔物の掃討にあたれ!」
聖奈が周りに指示を出す。
「各人、イレギュラーの事態が起こったら、すぐに
連絡するんだ! いいな! ロウ! お前は
私と来い! 仲月たちとパーティを編成する!」
「ああ、わかった!」
2人も急いでさらと龍季のあとを追った。
<ロウ、聖奈、移動中>
「・・・落ち着いたか、仲月。」
ロウと聖奈は2人に追いついた。
「はあ、はあ・・・はい・・・。」
「まったく・・・一人で飛び出して
どうするつもりだ!」
聖奈はさらを叱責する。
「!!」
「貴様ごときが一人でなにかできると
思ったか!」
「結城!」
龍季は聖奈につかみかかる。
「それ以上さらに向かって怒鳴るな。
俺が許さねぇぞ。」
「ったく、とりあえず落ち着けよ。朝比奈。」
龍季を引きはがす。
「私たちの目的は仲月とレジスタンスのリーダーを
接触させることだ。もちろん、仲月を用いることで
交渉に付加価値を与える意味もある。
・・・本音を言うと、私は賛成していないんだよ。」
「!」
「だが、仲月は来ると言った! だから私の仕事は
全力で守ることだ! 同時に仲月の仕事は、生きて、
こちらの自分に会うことだ!」
「だからって怒鳴りつける必要はあんのかよ!」
再び聖奈に向かおうとするが、
ロウが抑える。
「死んでからでは遅い! 仲月は自分の責任を
軽んじたのだ! 私は仕事を成し遂げる気のないものを
許さない。・・・いいな、二度と一人で先走るな。
心配せずとも、命に代えて会わせる。」
「・・・ちっ。」
「はぁ・・・。」
ため息をつきながら、龍季を放す。
「・・・せなさん・・・すみませんでしたぁ。
わたし、じっとしていられなくて・・・。」
涙を浮かべながら謝る。
「まっ、魔物との接触前で助かったろ。」
「ああ、まったくだ。それに無謀を止めるのも
私の仕事だ。気にするな。」
「・・・はい!」
「だったら、俺が戦闘で進む。前からの魔物は
全部ぶっ壊す。てめーらは後ろだ。」
背を向けたまま、龍季が話す。
「ああ、わかった。頼んだぜ、朝比奈。」
<ロウたち、移動中>
ロウたちが歩く中、爆発音が何回も
鳴り響いていた。
「いたるところで戦いが起きているな・・・。
あれがレジスタンスか・・・。」
「でも・・・どうしてなんでしょう・・・。」
「? なにがだ?」
「えっと、まえにヤヨイちゃんたちが見つけたときは
おそわれてなくて・・・それからちょっとしか
たってない、わたしたちが来たときはおそわれてて・・・。」
「・・・・・。」
「仲月。今は探索に集中しておけ。余計なことを
考えると危険だ。前を向いて進め。いいな。」
「はいぃ・・・。」
龍季とさらは進み始める。
「・・・会計。」
「なんだ、ロウ。」
「確かに仲月の言うように、襲われるまでが
あまりに早すぎる。変だろ?」
「・・・まさか、つけられたか?」
「ロカ君に限ってそれはない。信頼してあげなよ。」
「! 遊佐!?」
物陰から鳴子が出てくる。
「なぜここに・・・!」
「クエストを請けたんだ。僕がいたら
おかしいかい。」
「いや、だが・・・いつから・・・。」
「気になることがあったんでね。先に城の
周りを調べてきた。興味深いことがわかったよ。」
にやりと笑う。
「レジスタンスが追い詰められた原因が。」
「たった1時間でか?」
「ああ。リーダーに教えよう。たぶん彼女は
ある事実を知らない。」
<ロウたち、移動中>
「・・・! 待て、止まれ。」
先頭の龍季が立ち止まる。
「ふぇ?」
「テメーは・・・。」
「仲月さら・・・そう・・・わかったわ・・・。
あなたたちの目的はリーダーを説得することね。」
奥から裏のミナが出てくる。
「ミナちゃん!」
「・・・風槍、ミナか・・・! 頭がおかしく
なりそうだ・・・。」
聖奈は頭を押さえる。
「お友達よ。」
「仲月さら! お前たち、まだリーダーに会って
なかったのか!?」
裏のミナが呼びかけると今度は
ミナが出てくる。
「うぅ・・・なかなか見つからなくてぇ・・・。」
「・・・見つかるはずないわ。さらは万が一にも
死なせられない。」
「仲月さらに会わせてくれ。すぐに逃げないといけない。
今、僕たちの仲間も含めて城を死守しているメンバー・・・
このままだと、全滅するぞ。」
「・・・遊佐鳴子・・・あなた、何を
知っているの?」
「生き抜く方策だよ。」
「・・・・来て。リーダーのところに
案内するわ。」
裏のミナは背を向ける。
「・・・よかった。こっちの僕はそれなりに
説得力のある人間のようだ。」
「・・・わたし・・・。」
「気にすんな。遊佐は実績があるんだ。オメーが
やりたいことは、こっちのオメーに会ってからだろ?」
「はい・・・でも、なんだか役立たずみたいで
・・・せなさんにも怒られましたし・・・。」
しゅんとし、顔を下に向ける。
「俺はさらがいるからここにいる。オメーを
信じてるから、守るために来たんだ。」
「たつきさん・・・。」
「別に恩を着せるつもりじゃねーんだ。だけどな、
自信持てよ。それとも自信出るまでさらがやってきた
こと話してやろうか? 俺を救った。ハワイで班を
まとめた。それから・・・」
「い、いいですよぉ! わかりましたからぁ!
・・・ごめんなさい。わたしが来るって言ったのに、
落ち込んじゃって。わたし・・・もう大丈夫ですから!」
元気を出し、顔を上げる。
「しかし朝比奈。お前がんなこと言うように
なるとはな。」
「うるせえ。」
「ロウ。お前が来てからだ。」
「はあ? 俺そんなに世話した覚えねぇぞ。」
「直接かかわっていなくともだ。お前の力は
本当に謎だらけだよ。まるで・・・この学園を
救うために現れたようだ。」
聖奈はフッと笑う。
「買いかぶりすぎだ。とっとと行くぞ。」
・・・救うため、ねぇ・・・。
「・・・ここよ。この隠し扉。この先に
私たち『パルチザン』のリーダー・・・・・
仲月さらがいる。」
ゆっくりと隠し扉を開ける。
「リーダー・・・独断でごめんなさい。
あっちの・・・学園生を連れてきたわ。」
「・・・・・・・。」
奥から戦闘服に身を包んだ
1人の女性が出てくる。
「こんにちは。学園生のみなさん。『パルチザン』
リーダーの仲月さらよ。」
「あ・・・こ、こんにちは・・・。」
恐る恐る挨拶する。
「遊佐鳴子から伝えることがあるわ。私たちの
命にかかわると思われることよ。」
「わかったわ。すぐに話を聞く。遊佐先輩の
情報は貴重よ。先輩が10年前の学園生だとしても。」
「・・・仲月君。悪いが、先に僕が話すよ。
少しだけ、時間をもらうね。」
「・・・は、はい・・・。」