グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第161話 各地点では

別地点

 

「ダーリン・・・無事でいてね・・・。」

 

「まだ心配してるよ。精霊は

 大丈夫なんだろうな?」

 

ロウを心配する香ノ葉の近くで

望があきれている。

 

「みんなより先にゲートの方に

 行かせてるんよ。」

 

「精霊が仕事しないとロウたちが危険に

 なるんだからな。あいつの無事を願うなら、

 魔法を切らさないようにしてくれよ。」

 

「言われんでもわかってるんよ。ウチかて

 ダーリンの助けになりたいんやから。」

 

「ふん・・・その精霊って、あいつの魔法譲渡が

 なくても平気なのか?」

 

飛び回る精霊を指さす。

 

「燃費ええのがウチの精霊さんなんよ。

 任せといてや。・・・でも、ゲートは

 魔物だらけやね。どんどん新しいの生まれてるし、

 すぐに成長してるんよ。ゲートから噴き出す霧も

 多いし、そのせいやろか。」

 

「当たってるよ。霧が深いところでは、魔物の

 成長も早いんだ。霧は向こうからこっちに

 流れっぱなしだった。」

 

「せやね。せやから霧の影響が強く出てるんよね。

 ・・・それがどうかしたん?」

 

軽く首をかしげる。

 

「西原から聞いたんだけど、向こうの景色を

 視たって言ってた。少なくとも、学園のゲートとは

 違う場所で破壊されたような形跡はない。それに

 今よりも随分昔だって言ってた。たぶん、

 タイムパラドックスが起こるんじゃないか?」

 

「タイムパラドックス?」

 

「今は裏世界からボクたちに霧が流れ込んでるだろ?

 つまりここのゲートが繋がってる裏世界では霧が

 減少している。裏世界の歴史はそれを踏まえたうえで

 作られている。」

 

「・・・・・?」

 

わからず、何度も首をかしげる。

 

「今回、ボクたちはゲートを時間停止の魔法で閉じる。

 すると、こっちに流れるはずの霧が向こうにとどまる。

 ここの魔物を倒すと霧が裏世界に行く。」

 

「・・・裏世界に霧が多くなるってこと?」

 

「そうだ。すると裏世界の魔物の量が増える。

 そうすると、魔物と戦って死ぬ人が増えるかもしれない。

 その人が重要な役割があったなら、歴史が変わってしまう

 かもしれない。」

 

「・・・・・。」

 

望はデバイスを確認する。

 

「・・・・・・・・・。白藤、ちょっと

 これ見てて。」

 

そう言って、望はその場を離れる。

 

「え? ちょ、ちょっと! ウチ、なに

 書いてるかわからへんよ!」

 

「ウィンドウに赤い字が出たら呼んでくれれば

 いいから!」

 

「よ、呼んだらほんまに来てよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピピピ!

 

「ん?」

 

魔物と対峙していた鳴子は

デバイスが鳴ったため、確認する。

 

「もしもし、何か用かい?」

 

『なあ、ちょっと確認したいんだけどさ。』

 

電話の相手は望だった。

 

『ここを制圧したら、東雲たちが時間停止の

 魔法をかけるんだろ?』

 

「そうだね。」

 

『ってことはさ、ずっとこっちに流れ込んでいた霧が

 止まるわけだろ。』

 

「その通りだ。」

 

『こっちに来るはずの霧が向こうに留まるわけだ。』

 

「そうだね。それで?」

 

『西原の見立てだと、ゲートの向こうって過去だろ?

 僕もよくわかってないんだけどさ・・・このままだと

 裏世界の歴史が変わっちゃうんじゃないか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・? なんだ?」

 

つかさは別の魔物の群れを見る。

 

「・・・・我妻梅の方か?」

 

「つかさ!」

 

月詠が駆け寄る。

 

「なんだ。」

 

「れ、連絡があったんだけど・・・少し、進む

 ペースを速めるって!」

 

「我妻梅に何か問題があったな?」

 

「そ、そうよ・・・。彼女が押されてるから、

 援護のために前進するの。魔物を引き付けるために。」

 

「私に道を開けというのか。」

 

「なんでさっきからわかるのよ!」

 

「・・・いいだろう。だがエレンに伝えておけ。

 役目を果たすが、一度ここから離れる。前線を

 押し上げるのは自分たちでやれ、とな。」

 

手をポキポキと鳴らす。

 

「はぁ? どこ行くのよ! 離れちゃったら、

 役目を果たすなんて無理じゃない!」

 

「いいから伝えろ。私は行く。」

 

月詠の言葉を聞かず、そのまま進んでいく。

 

「あ、ちょっと、そっちは・・・・もう!」

 

 

 

 

 

 

 

「エレン! エレン! つかさが行っちゃったわよ!」

 

「なに? どこに行った?」

 

「ゲートの方よ! 精鋭部隊追い越して、魔物の中に

 突っ込んじゃった!」

 

月詠はゲートの方向を指さす。

 

「・・・生天目つかさ・・・なんという奴だ・・・。」

 

エレンは頭を押さえる。

 

「ちょっと、助けなくていいの!?」

 

「止まれと言って止まる輩ではあるまい。

 私たちは予定通り・・・戦線を押し上げる。

 生天目が突撃したおかげでこちらの魔物が減った。」

 

「え・・・それってつかさが危ないじゃない!」

 

「ああ。だが生天目がただ死に行くとは思えん。役目は

 果たすと言ったな。ならばある程度攻撃するはずだ。

 ここからゲートを挟んで反対側に、我妻梅がいる。

 もし生天目が向かったなら、道中の魔物を倒すことになる。」

 

「ば、馬鹿じゃないの!? そんなの言うのと

 やるのとじゃ大違いじゃない!」

 

「そんなことは言われるまでもない。だがヤツは

 生天目だ。いいな、生天目がゲートに向かったことを

 楯野に伝えろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに別地点

 

「わーってるって。絶対そこから前に出るんじゃ

 ねーぞ?」

 

律は千佳と電話していた。

 

「西原に予知してもらえりゃ、あたしは

 心配いらねーんだからな。いいな、絶対に間違えたり

 すんなよ。」

 

「音無。準備ができた。お前の魔法の制限を解く。

 最後の最後、頼んだぞ。」

 

「神凪・・・。むっちゃこえーけど、

 絶対に守ってくれよ。」

 

「生徒会も東雲たちもいる。任せろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・いろいろごたごたしてんなぁ・・・。」

 

ロウはイヤホンを外す。

 

「? どうかしたの?」

 

「どうやら、ゲート向こうでいろいろ

 あったらしくてな・・・。」

 

「ロウ君、よくわかるね?」

 

「ああ。とうちょ・・・風の噂だ。」

 

「今盗聴って言いかけなかった?」

 

「気のせいだろ。」

 

イヤホンをしまい、とぼける。

 

「あ! 精鋭部隊の人です!」

 

「ってことは・・・ここから少し行ったら、

 ゲートね・・・! ロウ! ありす!

 気合い入れるわよ!」

 

「わかってるっての。」

 

「・・・ぁ、ぁい・・・・!」

 

「はあ、はあ・・・やっと来たわね、

 アンタたち。わかってるわね?」

 

汗を流した月詠がロウたちのもとに来る。

 

「ああ。ゲートのそばにいる魔物を会長が

 一掃したら出番・・・だろ?」

 

「そして、アイラちゃんたちが時間停止の

 魔法を使うんだね。・・・ロウさん。」

 

「ん?」

 

「絶対に守ります・・・!」

 

「・・・ああ。」

 

「あったりまえじゃない・・・ロウ。アンタも

 ちゃんとしなさいよ。」

 

「誰に向かって言ってんだ?」

 

にやりと笑う。

 

「じゃあね。ツクは一度下がるけど、なにか

 あったら呼びなさい。」

 

「・・・ぁ、ぁたし・・・・・んばり・・・

 ぁす・・・。」

 

「これまでは魔物も弱かったけど、ゲートに

 近づいたらそうもいかないわ。」

 

「気を引き締めなきゃね。わたしも一回だけの

 魔法だけど・・・使うから。」

 

「・・・よし。生徒会の合図を待つぞ。」

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