グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「うひっ。こえー・・・なぁ。あたし、
ホントに最後だけでいいのか?」
震える声で律は怜に聞く。
「なんかスゲー量の魔物だけど、手伝わなくていい?」
「もし会長がやり損ねたら、お前に頑張ってもらう
必要がある。そのために、絶対にけがをさせる
わけにはいかないんだ。ここにいてくれ。」
「ならいいんだけどさ・・・今のとこ、
悪い予知も出てないみたいだし。」
「よし・・・そろそろゲートが見えてきたな。
長引かせずに終わらせよう。」
魔物の集団の前に虎千代が立つ。
「おう、来たか・・・残っている魔物が多いが、
全て片づけられるか?」
「自信はある。不安もあるさ。魔物が次々
生まれてくるのは、少しトラウマになってる
からな。」
「確かに。・・・おい! エミリアよ!
そろそろ最後の仕上げにかかるぞ!」
「レティ! 時間だよ!」
「く・・・無限に湧いてくるな。初めの量から
増えなければ、もっと進めていた。」
話しながらも、魔物を霧散させる。
「これでは、なんのために渡日したのか
わからん。エミリア! 最後に一撃入れるぞ!
ついて来い!」
「「はあぁぁ!!」」
2人の攻撃によって、相当数の
魔物が霧散される。
「よし、道が空いた。レティシアのおかげで
やりやすくなったぞ。」
「・・・気をつけいよ。少年の魔力を
使いすぎるわけにはいかんからの。単独での
ホワイトプラズマは久しぶりじゃろ?」
「ロウが来る前は1人で使っていたんだ。アイツが
いなきゃ3秒ほどだが・・・それで十分片づけられる。」
そう言って、虎千代は構える。
「行くぞ!!」
魔物に向かって白く巨大な雷が
降り注がれる。
「・・・はぁ・・・。よし、綺麗になったな。
・・・ん?」
魔物は消滅させられたが、
霧が多くなってきていた。
「ぐ・・・ゲートから引き出す霧の量が
以上に増えている・・・なんだあれは!」
「会長! お疲れ様です。後は・・・・会長?」
「まだ東雲たちと魔物には距離がある。
もう一発・・・撃つぞ。」
「いけません。今のホワイトプラズマで、会長の
魔力はほとんど枯れました。もう一度撃てたと
しても、大した威力にはなりません。後は、
私たちにお任せを。」
そんな中でも、魔物はさらに生まれる。
「急げ急げ! また魔物がぼこぼこ
出てきておる!」
「あの生まれる速さはなんだ! 初めてだぞ!」
「知るか! どのみち虎千代がホワイトプラズマを
撃った今・・・こちらにあれ以上の攻撃方法は
ないんじゃ! 今が一番空いておるんじゃ。これを
逃せば次はないぞ!」
「『シャンブルズ』!」
青色のドームが広がったかと思うと
アイラたちの後ろにロウたちが現れた。
「! 少年!」
「思えば、これ使えばよかったな。
これなら早い。」
にやりと笑う。
「まぁ、なんにせよ・・・。南!
少年を援護しろよ!」
「は、はい! 夏海ちゃん、ありすちゃん、
みちるちゃん、ロウさん!」
「・・・ぁ、ぁい!」
「絶対、スクープで一番乗りしてやるんだから!」
「待って! 今から私がドカンとやっちゃう!」
みちるが4人を制する。
「え? みちるちゃん!?」
「周りに魔物が出てきたら、動けなくなると
足引っ張っちゃうからね。その前に今
生まれたばっかりの魔物、もう一度吹き飛ばすから!
私が撃ったら走ってね! 行くよ!」
「・・・やっぱり、意思が感じられる。何としても
僕たちを近づけたくない・・・。あれは本能か?
それとも・・・思考なのか?」
魔物の動きを見て、鳴子は考えていた。
「お主も余裕があるのう。戦いながら
よう考える。」
元の姿に戻ったチトセが来る。
「勝つためにはどうすればいいか考えているんだよ。
殲滅するまで目の前の敵を倒し続けられるほど、
僕は強くないからね。」
「で、どうする? すでにこちらの最高戦力は
魔力の消耗したレティシアじゃ。何をすれば勝てる?」
「・・・僕が考えているのは、もっと先のことだよ。
今日はもう、ただ耐えるだけでいい。」
ドォォン・・・!
爆発音が響く。
「今の威力は会長・・・いや、松島君の
魔法か。大詰めだな。」
「・・・まだだ。まだ動けない。」
「そりゃわかってるよ・・・あんなにすぐ
生まれてきちゃ、無理だろ。どーすんだ?
アタシの魔法がどうこうの問題じゃないぞ。」
ピピピ!
怜のデバイスが鳴る。
「もしもし、楯野か。どうした。」
『神凪! 今からもう一度、魔物を吹き飛ばす!
そしたら、音無をゲート前まで連れてけ! いいな!』
要件を伝えるとすぐに切れた。
「お、おい!」
「今、ちょっと嫌なセリフが聞こえたんだけど・・・。」
「・・・何か策があるんだろう。準備しよう。
・・・ん?」
ドォォォン!!
「!?」
「な、なんだ!?」
「あれは・・・我妻梅か・・・。」
「は、はひー、疲れた・・・・ほ、
報告ッス・・・。」
あまりの疲れに梓は地面に座り込む。
「我妻梅を連れてきたッス・・・生天目先輩は
香ノ葉先輩の精霊の誘導で合流成功してました。
ゲートの偵察に行った自分たちも合流して、
時間を合わせて突撃してきたッス。」
「我妻は苦戦していたと聞くぞ。」
「そッスね。自分たちが合流できないと、来るのが
遅れたかもしれません。タイコンデロガがワサワサ
いてですね・・・ちょっと死ぬかと思ったんですが。
きっと魔物の量が多いことに気づいて、かなり
ひきつけてくれたんです。」
「・・・そうか・・・ご苦労だった。ロカにも
休むよう伝えろ。2度霧を払ったなら、もう大丈夫だ。
あと1回、霧を払う手段がある。それだけ
時間があれば・・・!」
「着いたぞ! ゲートじゃ!」
ロウたちはゲートの前に到着した。
「近くで見ると、ずいぶんでかいな。」
「連れてきたぞ!」
怜と律が合流する。
「よし! どれほどのものかはわからんが、
やりゃ効果はあるはずじゃ! 全員、妾が
障壁を張る! 音無! 霧をぶっ飛ばせ!」
「わわわかった! やるぞ、今すぐやるぞ!」
そう言って、律は構える。
「待たんか! 今障壁をかけておる・・・。
・・・よし、やれ!!」
「うし! すうううぅぅぅ・・・・・・
ぶっとべえええええ!!!」
律が力強く叫ぶ。
すると、周りの魔物が次々と霧散していく。
「ぜぇ、ぜぇ・・・。」
「・・・どうじゃ?」
「魔物の実体化が・・・止まった・・・。」
「てか、実体化しかけた魔物まで消えたぞ。
なんて威力だ・・・。」
「感慨にふけっている暇はないよ。
朱鷺坂君を連れてきた。」
鳴子とチトセが合流する。
「また霧が集まる前に、とりかかってくれ。」
「よいか、ロウ。この魔法はただでさえ膨大な
魔力を消費する。加えて時間がなかったゆえ、
最適化をまったくしておらん。」
「つまり、魔力がどれだけいるかわからないんだな。」
「ええ。あなたの魔力量を超えるような魔法は
作れないと思うけど・・・。もし魔力切れに
なりそうだったら、すぐに言ってね。」
「ああ、わかった。」
「それでは始める。我らのどちらでもよいが・・・」
「あなたに譲るわ。表の私にね。」
にこりと笑う。
「ふん、それで貸しを作ったつもりか・・・ま、
据え膳はもらっとくかの。ロウ。妾がいいと
いうまで魔力を渡し続けろ。」
「わかっている。さっさとやれ。」
ロウは目を閉じる。
「よいな。では・・・時間停止の魔法、始める。」
アイラとチトセが魔法を唱えた。
そして、徐々にゲートが閉じていった。