グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第16話 主への祈り

噴水前

 

「そろそろ3分だな。」

 

時計を見ながらカップ麺の

出来上がりを待っていた。

 

「・・よし!」

 

割り箸を割る。

 

「それではさっそく」

 

カップ麺を開き、

食べようとする。

 

「はい、ストップです。」

 

「へ?」

 

突然現れた修道女のような

生徒が止める。

 

「あの、なにか?」

 

「お食事の前に必要なものを

 お忘れになってますよ。」

 

「・・・ああ! いただきます」

 

「ではありません。」

 

「違うのかよ!」

 

じゃあなんだよ。

 

「主への祈りを忘れてますよ。」

 

「・・・しゅ?」

 

「食物は主から賜ったかけがえの

 ない恵み。わたくしどもは

 それに感謝しなければなりません。」

 

「はあ・・・。」

 

さっきから何言ってんだ?

 

「よろしいですか? それではわたくしの後に

 続いてください。」

 

「あ、はい。」

 

「主よ」

 

「主よ」

 

途中から追いかける。

 

「あなたの慈しみに感謝して」

 

「あなたの慈しみに感謝して」

 

「この食事をいただきます。」

 

「この食事をいただきます。」

 

「アーメン。」

 

「あ、アーメン。」

 

一緒にお辞儀する。

 

「はい、どうぞ。」

 

「あ、いただきます。」

 

少しのびた麺を啜る。

 

「いかがですか? 感謝とともにお食事を

 いただくと大変おいしいでしょう?」

 

正直のびてたからうまくない・・・。

 

「は、はい。」

 

「わたくしどもが飢えずにいられのも、全て

 我らが主の恩寵でございます。」

 

「左様ですか・・・。」

 

「! そうです、これからお昼の祈りをささげに

 教会へ行くところなのですが、ご一緒しませんか?」

 

「あ、いや、思わず祈ったが俺は

 無神論者なんだよ。」

 

「まあ、でしたらなおのこと

 一緒にお祈りをささげましょう。

 さあ、私と一緒に。」

 

「・・・失礼しました!」

 

カップ麺を持ち逃走する。

 

「・・・逃げられてしまいましたか。

 ですが、諦めませんよ。一度は祈ったのです。

 彼の心には信仰心が芽生えているでしょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・危ない危ない。」

 

立ちながら急いでカップ麺を啜る。

 

「ああ、ロウ。ここにいたか。」

 

「おお、神凪か。どうした?」

 

「皇から伝言だ。」

 

「・・・皇?」

 

「ああ、『話があるから屋上に』と

 言っていた。」

 

「ああ、わかった。」

 

誰だっけ・・・?

 

 

 

<ロウ、移動中>

 

 

屋上

 

「・・ああ。」

 

屋上で待っていた人物に合点がいった。

この前、秘密黙ってろって言ってたアイドルだ。

 

「で? 話って?」

 

「わかってるでしょ?秘密を言わない件よ。」

 

「ああ、もちろん言ってない。」

 

「わかってるわよ、しばらく観察してたし。

 まあ、とりあえずは信用するわ。」

 

今までしてなかったのか。

 

「あと、言わないでねって念押しのために

 呼んだの。」

 

「肝に銘じる。」

 

右手で敬礼する。

 

「いや、そこまでしなくていいから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風飛市内 街中

 

ため息をつきながら

雑貨屋からロウが出てくる。

 

「まったく、自分でもつまらない

 買い物したなぁ・・・。」

 

つぶやきながら自虐する。

 

「せんぱーい!」

 

「ん」

 

エプロンをした女子に呼ばれる。

 

あれは・・・・

 

「桃世、か?」

 

「はい! これ、ファミレスの制服なんですよ!」

 

くるっとまわって全体を見せる。

 

「あ、もしかしていまからあたしのバイト先で

 ご飯を・・・?」

 

「いや、たいしたことのない買い物だ。」

 

「そ、そうなんですか・・・・ちなみに

 何買ったんですか?」

 

「え? スウェットのズボンのひもを

 奥から引っ張り出す棒だ。」

 

袋の中を見せる。

 

「本当に大したことないですね・・・。」

 

「だろ? てか、たしかバイト先て

 ご飯って・・・?」

 

「ほ、ほら、クエストの後言ったじゃないですか!

 御馳走するって! だから来たのかと・・・・。」

 

「・・・・ああ、ああ! いやぁ

 すまんすまん!完全に忘れてた!」

 

「んもう、人をそうやってからかって

 遊ぶの先輩の悪い癖ですよ?」

 

「別にからかったつもりはないんだが・・・。

 わかったよ、今から食いに行くよ。」

 

財布にはまだまだ余裕はあるし。

 

「あ、でも今日はもう、おもてなし

 できないんです・・・。」

 

「なんだ、クビにでもなったか?」

 

「なってませんよ! 単純にシフトが

 ついさっき終わっちゃったんです!」

 

「そうか・・・じゃあまたの機会だな。」

 

「さてと、あたしはこれで帰るんですけど、

 先輩も寮ですよね?」

 

「ああ。この後別に用もないしな。」

 

「あの、じゃあ、一緒に帰りませんか?」

 

「・・そうするか。」

 

サングラスをくいっと上げる。

 

 

 

 

 

喫茶店

 

「はふぅ・・・あのすみません。

 ウィンドウショッピングに

 付き合ってもらってしまって・・・。」

 

「気にするな。」

 

アイスコーヒーを飲む。

 

「先輩って頼りがいがありますよね!

 すっごい頼もしいです!」

 

「なんだ、急に。」

 

照れくさく、頬を掻く。

 

「俺は俺の、今できることをやってるだけだ。

 それ以上でもそれ以下でもない。」

 

「でも、普通にやってできることじゃないですよね?

 なんでそこまで・・・?」

 

「・・・・。」

 

「あの、先輩?」

 

「・・まだそこまで話せないな。プライバシーに

 かかわる。」

 

「ああ! す、すみません!

 あ、じゃ、じゃあ・・・。」

 

「ん?」

 

「//先輩は、彼女、とか気になる女の子って

 いるんですか?」

 

顔を赤くしながら聞く。

 

「・・いや、いないな。考えたこともない。」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「ああ。」

 

「そうなんですね!・・・よかったぁ。」

 

「ん?」

 

最後だけ小さく聞き取れなかった。

 

「な、なんでもないです!

 それにしても、これ・・・まるで、

 //で、で・・・」

 

「で?」

 

「・・や、やっぱりなかったことにしてください!」

 

「はあ? 何言おうとしたんだよ?」

 

「で、ですから忘れてくださいー!」

 

ももの叫びがこだました。

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