グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第169話 国連へ

そのころ

 

学園

 

生徒会室

 

「・・・ふぅ・・・これで年末は

 迎えられるな。里中。すまないが、

 留守を任せた。」

 

「なんも。任せてけろじゃ。」

 

花梨はにこやかに笑う。

 

「国連を見ておくのは将来のためになる。

 本来は全員を連れていきたいが・・・ロンドンの

 ように事前に根回しをする余裕がなかった。それに

 予算もあまり人数に余裕がない。」

 

聖奈が申し訳なさそうな顔で言う。

 

「言う必要なんてねぇすけ。ロンドンさ行っただけで

 今年は十分だすけな。それによ、遊びさ行く

 わけではねえっきゃ? しっかりね。」

 

「ああ・・・執行部に話を通しておいた。

 有事の際はすぐに精鋭部隊が動く。楯野と東雲もいる。

 まあ、東雲は休暇中だが、もしものときは遠慮なく

 要請しろ。」

 

「なんも大丈夫よ。でえんと任しとけ。」

 

 

 

 

 

 

研究室

 

「ふぅ・・・どう? 天。一段落ついた?」

 

「ええ。まあね。戻ってきたらまたすぐ

 再開よ。もう少しでエナジーシェルの予備が

 できるんだから。」

 

「私が完成させておきましょうか?」

 

「冗談! アンタはほかにやることが山積みでしょう!

 っていうか、自分の物は自分で作るわよ!」

 

結希の言葉に天は机をバンとたたく。

 

「・・・そうね。来栖さんのことも見ておくわ。」

 

「兎ノ助も。双美心も。」

 

「ええ。ロウ君はあなたがいるものね。」

 

「アンタも寝なさいよ。油断してると倒れるまで

 起きてるんだから。」

 

「自分の体調は把握してるわ。」

 

「本気で言ってる・・・?」

 

疑う目で見る。

 

「あなたこそ、プレゼンの内容を忘れないようにね。」

 

「当然。誰に言ってるのよ。デウス・エクスの

 開発者よ。世界中の科学者をアッと言わせてみせるわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「センパイ! お疲れさまでした!」

 

「ああ、お疲れ。」

 

クエストを終えたロウと真理佳は

戻ろうとしていた。

 

「なんかお腹すきましたね・・・報告に帰る前に

 軽く何か食べませんか?」

 

「・・・いや、すぐに戻れるしな。このまま

 帰るぞ。」

 

「・・・そうですか。ここから30分・・・

 が、頑張ります・・・。」

 

「ったく・・・・ん?」

 

ロウのデバイスが鳴る。

 

「なんだ? ・・・・はっ?」

 

デバイスに出た内容に目を疑った。

 

「? センパイ、メールですか?」

 

「ああ。少し先だが、ニュージーランドに

 行ってくる。」

 

「・・・ニュージーランド!? センパイ、

 ニュージーランドに行くんですか!?」

 

「そうだ。まあ、なんで行くのかはこれから

 聞くけどな。」

 

「あ、そうですよね。まだなにも聞いてないんですよね。

 ・・・ニュージーランドかぁ。魔物が出ない、

 最後の楽園・・・。」

 

「ったく、新年早々・・・。」

 

ロウはぶつぶつとつぶやく。

 

「どんな用事かはわかりませんが、年末年始の

 海外旅行ってことで、ゆっくりしてきてください。

 その間に僕は訓練して、もっともっと強くなって

 おきますから!」

 

「まあ、そう考えるか。ゆっくりできれば

 いいけどな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10日後

 

国連人工島

 

「日本から15時間、オークランドから1時間半・・・

 そしてクライストチャーチから船で2時間か。

 長旅だったな。」

 

虎千代は若干ぐったりしている。

 

「ロンドンまでの所要時間より長かったですからね。

 それより・・・あたしが来て、本当に

 よかったんですか?」

 

絢香は虎千代に尋ねる。

 

「もちろん。今回は総会に出るほか、日本文化の

 紹介も兼ねている。日本のアイドル代表として、

 魔法使い兼芸能人として・・・思う存分

 アピールしてくれ。」

 

「は、はい。仕事ですから!」

 

「まあここにいる間は警備が主だ。そう意気込む

 必要はない。それより問題はアタシだ。まさか演説を

 することになるとは・・・。」

 

頭を抱える。

 

「後で、大勢の前で緊張しない方法を教えてくれ。」

 

「それならたくさんありますよ。

 まずはですね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええと・・・お父様は次の便で来るのですよね。」

 

「確かそうだったんじゃないか?」

 

ロウは空を見上げる。

 

「まさか、お父様の力でわたくしが呼ばれることに

 なるとは・・・。」

 

「ばっと、ワタシ、葵さんと一緒でうれしいです!

 葵さんがいるおかげで、とってもりらっくすできてます!」

 

「ソフィアさん・・・ふふ。ありがとうございます。

 わたくしも来たからには和の文化を皆さまに

 お伝えするつもりです。」

 

「ワタシも温泉を紹介するつもりです! たくさん資料を

 持ってきました! それと、香ノ葉さんへの

 お土産を探してるんですけど・・・お店もないですねー。」

 

ソフィアはきょろきょろと周りを見る。

 

「ここは国連本部のための島だからな。それに

 ニュージーランドの店はないだろうな。ここは公海。

 正確にはどの国でもないしな。」

 

「そうなんですね! 勉強になります・・・あ・・・。」

 

「ん?」

 

ソフィアの視線の先には・・・

 

「・・・おっ。」

 

「い、樹さん!」

 

片手が義手となった樹に駆け寄る。

 

「お久しぶりです! ソフィです!」

 

「1年ぶりだな、ソフィアちゃん。心配かけて

 悪かった。俺もこの国連会議をきっかけに表舞台に

 復帰だ・・・おっと、葵ちゃんも。」

 

「ご無事だったとは聞いていたのですが・・・

 お変わりないようで、安心しました。奥様も

 お喜びでしょう。」

 

「ああ、まだアイツには会ってないんだ。ちょっと

 事情があってな。今日も君たちとあまり長く

 話すわけにはいかないんだ。」

 

「おー・・・そうなんですか?」

 

残念そうな顔をする。

 

「ま、仕事で来てるからってのもあるけどな。

 落ち着いたら学園に行くよ。その時は食事でも

 御馳走しよう。・・・そういえば、ロウ君は・・・」

 

「はい? ロウさん、そこにいますよ。」

 

「よぉ。」

 

「・・・・・。」

 

樹はじっとロウの顔を見る。

 

「あ! そ、そうだよな! 君だよな!」

 

「なんで顔忘れてんだよ。」

 

「いや悪い・・・何せ最後に会ったのが・・・

 あ、アレだったからな・・・。」

 

「・・・ああ、そういやそうだったな。」

 

(詳しくは特別編 新年会)

 

「アレ、とは・・・」

 

「な、なんでもない! じゃ、じゃあな!」

 

足早に立ち去っていく。

 

「・・・どうしたんでしょうか?」

 

「なぁに、くだらんことだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国連本部

 

「よう、会長。」

 

「ん、ロウ。アタシは今から、会議に参加してくる。

 グリモアがやってきたことと、それを通して

 感じたことを話す。」

 

「過去のロンドンもか?」

 

「ああ。東雲からいわれたが、ここで隠し事を

 していてはダメだ。」

 

「まあ、いろいろあるからな。言うことは。」

 

にやりと笑う。

 

「ああ。情報を隠すのはデメリットの方が大きい。

 だから全部話すつもりだ。さすがにお前のことは

 話さないがな。」

 

「そりゃそうだ。」

 

「会長、控室が用意されています。そろそろ・・・」

 

「薫子か。わかった。ロウ、警備の担当として

 聖奈を残す。お前たちに任せたぞ。」

 

「ああ。任せておけ。」

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