グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
国連人工島
「今回の警備は国連軍との共闘だ。学園のパーティは
私、ロウ、如月、越水、冷泉、皇。以上となる。
私と越水が主力だ。他は後方から援護してくれ。」
聖奈は全員に指示を出す。
「ちょっ・・・待ちなさいよ! せっかく
デウス・エクスの技術力を世界に・・・」
「如月、貴様はあまり無理するな。気持ちはわかるが
まだ未完成だろう。体に負担を強いるデウス・エクスを
乱用させるわけにはいかない。」
「・・・自分の体のことくらいわかってるわ!」
「科研の件を忘れていないだけだ。例のシェルは
替えがないんだろう?」
「そうそう。おとなしく指示聞いとけ。如月。」
「・・・わ・・・わかったわよ、もう!」
怒りながらも自分の配置につく。
「朱鷺坂さんは一緒に戦わないんですか?」
「奴の実力は抜きんでているからな。反対側で
単独での警備だ。」
「はいはい! えっと、もし魔物が来たら全部
倒せばおっけーですか!?」
ソフィアは勢い良く手を上げる。
「ああ。私たちには守るエリアが与えられている。
そこに侵入した魔物はすべて討伐する。逃がせば
会議に被害が出るかもしれん。今回のクエストの
重要度は非常に高い。始祖十家がいるからといって・・・
絶対に気を抜くな! 我々はグリモアの代表だ!」
「はい!」
「わかりました!」
「了解。」
「がんばります!」
「さあ、会議が始まる。そして・・・」
聖奈が話している途中で
魔物のうめき声が聞こえる。
「・・・来たぞ! 総員構え!」
そのころ
国連本部
「・・我々が大きな成果を残せたのは、不断の努力に
依るところが大きい。ですが、それ以上に、幸運に
恵まれたことも確かです。我々だけでは、幸運が
なければ成し遂げられなかった。しかし人類が一つになるのであれば
・・・幸運すらも不要になるでしょう。先人の培った叡智が、
実を結ぶときが来たのです。」
虎千代のスピーチが始まっていた。
「魔物殲滅を果たすという強い意志と、
そこに到達するための不断の努力。それさえあれば、
必ずや世界に平和を取り戻すことができる。北海道と
大垣峰を奪還したことは第一歩と言えます。我々は
諦めない。お集りの皆様も同様に。そうすれば、一歩とは
いわず、先へ先へと進むことができるでしょう。
・・・御清聴、感謝します。」
長いスピーチを終え、丁寧に頭を下げる。
「ふぅ・・・。」
緊張から解放され、胸をなでおろす。
「素晴らしい演説でした。大役を果たしましたね。
あのような大舞台、さぞやお疲れになったでしょう。
控室でお休みを・・・」
虎千代の顔が険しい。
「・・・なにか、私に至らないところが
ありましたか?」
「いや、あまりに緊張してな。表情の筋肉が
固まったままなんだ。」
「・・・まあ。」
「虎千代ちゃん、虎千代ちゃん!」
寧々が2人のもとに駆け寄る。
「学園長、お静かに。まだ会議は続いています。」
「だってだって、かっこよかったんだもん!
いいなー。」
「・・・薫子、魔物が来ているのか?」
外の騒がしさから気づく。
「ええ。
「そうか・・・まあ、今のところは任せよう。
危なくなったら加勢に行くぞ。」
「ご心配なく。会長のお手は煩わせません。
いざとなれば私が行きますから。会長は
一休みの後、また会議に。」
「・・・じっとしてるのは苦手なんだが・・・。
仕方ないな。世界がどうなるかの会議だ。この程度の
理由でサボることはできないか。」
「その通りです。さ、まずは会議に。」
「ネネも虎千代ちゃんと行っていい?」
軽く首をかしげて聞く。
「学園長はお戻りください。ショインカ事務総長が
議長を務めているのでしょう? それなのにお話しを
聞かないのは、失礼に当たりますよ。」
「うー・・・ネネ子供だもん。眠い・・・」
目をごしごしとこする。
「子供でも学園長です。私たちの代表として、
立派に出席してください。」
「・・・まあ、少しくらいいいだろ。アタシと
一緒に休もう。そうしたら、また出席できるな?」
「うん!」
「『
ロウは接近してきた魔物を切り裂く。
「・・・ん?」
葵のデバイスが鳴り響く。
「え? お父様?」
電話に出る。
「もしもし、今は作戦中です。申し訳ありませんが・・・
・・・まさか! そんなこと・・・できません!」
話を聞くうちに声を荒げる。
「お父様は国連の決議を見届けるという大役が
ございます! わたくしはそれをお守りする役目。
お気持ちは嬉しいですが・・・娘が成長しているのだと
お思いください。」
電話を切る。
「冷泉さん・・・大丈夫?」
「大変失礼しました。何も問題はありません。
わたくしももう、冷泉の箱入りではございませんから。」
聖奈の魔法で魔物が海に落下していく。
「撃墜! ロウ、状況を報告しろ!」
「敵の数が多くて、徐々に入り込まれてるぞ。
一度下がった方がいい。」
「・・・そうだな。いったん後退だ。」
「他のエリアはいいのか?」
「多少押されても大丈夫だ。この魔物の攻撃は
それに救援に向かってここが突破されたらなんの
意味もないからな。」
「ちょっと、予想されていたってどういう意味よ?」
戦っていた天が尋ねる。
「私、そんなの聞いてないわよ!」
「俺もだ。」
「無論だ。生徒会にしか伝えられていないからな。
アンクル・ツォフによって、この襲撃が予知
されていた・・・というのが我妻梅からの情報だ。」
「アンクル・ツォフ・・・予知の魔法使いね。」
「どうりで魔物が出ても驚かないわけだ。対応も
素早かったしな。」
「魔物が海を越えてくるなんて、そうそう
ないことなのに・・・。」
2人とも納得する。
「その通りだ。ないからこそ、海を越えてきた魔物は
強敵だ。弱点を克服しているということだからな。」
「言われなくてもわかってるわよ・・・。
偶然じゃないわね。国連総会のタイミングで魔物が
海を越えてくる偶然のわけがない。」
「まあ、霧の護り手と見ていいだろうな。裏の
阿川奈のときと同じだな。」
「ああ。今回も魔物が操られているに違いない。」
「・・・それにしたって、中途半端だけどね。
魔物だけよこすなんて芸がない。間ヶ岾がこんな
詰めの甘いことするかしら?」
「結城さん~! また魔物が来ましたよ~!」
ソフィアが呼びかける。
「次から次へと・・・だが、問題ない。
阿川奈では力及ばずだったが、今回は守り切って見せる!」