グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第9章 魔力譲渡の精度
第172話 張り切る純


ロンドン

 

「・・・・・。」

 

『・・・3つの決議が出されました。1つは

 人類を脅かす霧の魔物について・・・魔法使いだけでなく

 一般人でも対処できるよう、対魔物の強力な

 兵器を・・・』

 

ロンドンの街中で神宮寺光男は

ニュースをじっとみていた。

 

「・・・一般人でも魔法・・・科研で会った

 あの子のことか・・・。」

 

『2つ目は、北海道奪還に続き、魔物に占領された

 多くの地点を順次解放。これに各国が全面的に

 協力することの合意がなされました。』

 

「簡単にまとめられるなら苦労はしない。

 本当の問題はここからだな。それにこの決議は結局、

 共生の可能性を否定している。相手を滅ぼす道しか

 ないなんて、あっていいのか・・・?」

 

『そして最後の決議ですが、これまで各国の法律に

 従って判断されたテロリストに対する方針が

 新たに定められました。』

 

「・・・・!?」

 

光男は画面に近づく。

 

『現在確認されている全てのテロリストの逮捕、

 解散を目指すとされ・・・』

 

「な、なんだと!? それじゃあ逆効果じゃないか!

 そのことを知ったら、連中は何をするか・・・」

 

「・・・ふん。どうせそんなところだろう。」

 

光男の後ろに黒のスーツに

身を包んだ男、間ヶ岾昭三が立っている。

 

「! 間ヶ岾・・・!」

 

「方針が定まったとはいえ、なに、我々に

 関してはそこまで変わらない。」

 

「い、今すぐライフストリームと縁を切ってくれ!

 このままだと、ライフストリームまで霧の護り手と

 一緒に・・・」

 

光男は間ヶ岾に詰め寄る。

 

「君はいつから私に意見できるようになったのかね。

 ついてきたまえ。これから特級危険区域に向かう。」

 

「・・・!? 特級危険区域!? なぜ!」

 

「行けばわかる。なに、魔物を操る術は持っているのだ。

 ・・・国連決議が出たからと言って、君が言うように

 すぐまとまるわけではない。それにこの報道では

 4つ目の決議を隠している。」

 

「4つ目の決議? どういうことだ、なにか

 知っているのか?」

 

「知らないが、君にもわかるだろう。絶対に話した

 はずだ。裏世界をどうするかについてな。」

 

「・・・あ・・・」

 

間ヶ岾は光男に背を向け、歩き出す。

 

「それを一般人にはまだひた隠しにしている。ここに

 つけこめるかもしれん。時間は十分にあるのだよ。

 その間にやるべきことをやってしまわねばな。

 まず君に真実を・・・そして、双美をすぐ呼び寄せるのだ。」

 

そう言って、間ヶ岾はにやりと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

学園

 

「おいっす、ロウ。調子どう?」

 

「うぐ!」

 

純はロウの肩をパンとたたく。

 

「鳴海か。確か今日お前とは・・・」

 

「そ。あたしと魔物退治。そろそろ成績がねー。

 絢香があんなに頑張って両立してるのに、この

 成績はなんだ! って怒られちゃって・・・。」

 

「大変だな、芸能人。」

 

「しょうがないわよ。学業との両立が条件だから。

 仕方ないから仕事の合間を縫って、クエストの

 頻度あげることにしたのよ。」

 

「その第1号が俺ってわけか。」

 

「そうよ。よろしくね。」

 

「しかし、なんで急にやる気になったんだ? 前なら

 めんどくさそうにするかと思った。」

 

「怒られたから、だけじゃないんだよね。」

 

そう言って、純はロウから目線を外す。

 

「年末年始の絢香見てたらさ・・・なんか、

 ガラにもなく頑張ろうって思ったのよ。」

 

「確かに・・・最近あいつは結構気合

 入ってたな。」

 

「そう。だからあたしもしっかりやんなきゃね・・・。」

 

「そういうことなら、早く行こうぜ。鳴海。」

 

「うん。」

 

 

 

 

<ロウ、純、移動中>

 

 

 

 

洞窟

 

「よーし、なかなかクエストに出られない分、

 今日は張り切っちゃうよ。」

 

手を何度もパンパンと鳴らす。

 

「やっちゃうよ・・・最近アレのバージョンアップで

 追加された新技・・・。ずっとこっそり練習してたん

 だからさ! 実戦で決めたらムチャクチャ気持ちいいって

 絶対!」

 

「なんだ? ゲームの話か?」

 

「いやゲームじゃなくて、実際のバトルで。」

 

「・・・・。」

 

「・・・・。」

 

2人は黙ってしまう。

 

「・・・マジか。」

 

「え? ・・・・れ、練習してたら悪い!?」

 

純の顔が少しずつ赤くなる。

 

「ひそかな楽しみなんだからいいじゃない・・・・

 あ、誰にも言わないでよ?」

 

「言うかよ。聞いたこっちもちょっと

 恥ずかしいぞ。」

 

「うっ・・・。・・・おっ、あれじゃない?

 討伐対象。・・・よっし、ラウンド1、ファイ!」

 

とことんゲームだな・・・・・。

 

「よぅし・・・そこ!」

 

魔法をまとわせ、魔物を殴る。

 

魔物は吹き飛び、壁にぶつかるが、

霧散せず、逃走する。

 

「くー、逃がしたかぁ・・・。」

 

「だがそう広くはない。すぐに見つかるだろ。」

 

「そうね。次会ったら全力で倒すわ。

 この、なりじゅん式マーシャルアーツでね!」

 

「・・・・・鳴海、正直ひくぞ。

 かっこわりぃ。」

 

そう言って、ロウは純から数歩ほど離れる。

 

「か、かっこわるくなんてないって! ほら、

 主人公ってそうじゃん? 自己流格闘術

 みたいなさ、わからない?」

 

「あれはマンガだとかの世界だけだろ。」

 

「うーん・・・あたしが魔法使いになって、

 よかった! って思ったのって・・・おもに

 ゲームの技ができるからなんだけどなぁ・・・。

 やっぱり特殊なのか。」

 

「ああ、まったくだな。」

 

ロウは何度もうなづいた。

 

「まっ、そんなことより、早く魔物を追うぞ。」

 

「そんなことより!?」

 

 

 

 

<ロウ、純、移動中>

 

 

 

 

「ようやく見つけたな・・・鳴海。」

 

「ええ。」

 

2人は散々探した挙句、

ようやく逃走した魔物を発見した。

 

「こいつ倒して、終わらせるぞ。『ROOM』!」

 

いつものように青色のサークルを作る。

 

「『タクト』!」

 

自分たちの周りの地面をトゲ状に

隆起させ、魔物の逃げ場をなくす。

 

「はぁ!!」

 

純は魔物に攻撃を繰り出すが、魔物は

よけ、ロウに襲い掛かる。

 

「ロウ!」

 

「『シャンブルズ』!」

 

魔物と純の位置を入れ替える。

 

「今だ、やれ!」

 

「オッケー!!」

 

今度は攻撃が当たり、魔物は

吹き飛ばされ壁に激突し、霧散する。

 

「よぅし・・・討伐完了だな。」

 

「・・・やばっ、完全に忘れてた。」

 

純は頭を抱える。

 

「? 何をだ?」

 

「魔物倒した時の決め台詞考えなきゃって思ってたのに、

 もう倒しちゃった・・・。」

 

「・・・お前・・・。」

 

「んー・・・えっと、モデルだからってバカに

 しちゃだめよ!」

 

「・・・・・。」

 

「な、なんかゴロが悪い・・・なしなし、

 今のなし! なしね!?」

 

手を何度もぶんぶんと振る。

 

「はいはい、わかったわかった。」

 

「ま、まぁ今日はいいよね? 魔物もやっつけちゃったし、

 次回次回!」

 

「またやるのか?」

 

「そりゃもちろん、アンタと組めば魔法が

 使い放題なんだから・・・ちょっと順番待ちしてでも

 アンタと組むよ。」

 

「そうか、そうなったら次はもうちょっと

 マシなやつ考えるんだな。」

 

にやりと笑う。

 

「わ、わかったわよ・・・。んじゃ、

 クエスト終了! ゲーセンよって帰り・・・」

 

「先に報告だ。めんどくせえけどな。」

 

「あ、そ、そうだよね・・・。」

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