グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園
生徒会室
虎千代、薫子、聖奈の3人がいた。
「マーヤー・デーヴィー? 聞いたことがあるな。
・・・格闘家・・・いや・・・格闘家か?」
「格闘家の来日を報告することはありません。
始祖十家のデーヴィーです。」
「・・・ああ! インドの始祖十家か!」
やっとわかり、手をポンとたたく。
「で、それがどうした。別に来ても不思議じゃないだろう。
日本には我妻がデラーもよく来ていると聞くぞ。」
「ただの来日であれば問題ないのですが、不審な
ことがありまして。入国以降、足取りが掴めないのです。
我妻家にも言っていません。」
「だが不審というほどのことか? プライバシーだろ?」
「それが・・・私も初めて聞いたのですけれど・・・。」
薫子が苦い顔をする。
「始祖十家は国を移動する際に目的と場所を明確に
する必要があります。人類の中でも類まれな実力を
持つ彼らが行方不明になるのは、問題です。死んで
いるかもしれないとなれば士気にも関わってきます。」
聖奈の説明を聞き、虎千代は驚いた。
「それは知らなかったな・・・。じゃあ、我妻浅梨も
毎回、申請していたのか?」
「はい。海外に行くときは毎回。そもそも申告
しなければいけない、ということがあまり知られて
いません。会長がご存知ないのも無理はないでしょう。」
「ふむ・・・問題はデーヴィーの行方が分からないことか。」
そう言って、顎に手を当てる。
「そうです。彼女は聡明な学者であり、品行方正。
これまで、このようなことは一度もありませんでした。」
「それは不審というより心配になるな。」
「我々に関係する、というほどでもありませんが・・・
間ヶ岾が消えたという報告もあります。慎重に慎重を
重ねてもよいかと。」
「そうだな。よし、遊佐から詳しい話を聞いておけ。
次の裏世界探索・・・あいつが言いだしたからには、
何かあるはずだからな。」
数日後
スタジオ
「えっと・・・ここか。」
ロウはデバイスを見ながら
周りをきょろきょろとする。
「あれ・・・ロウじゃん。どうしたの、
こんなところに。」
「おお、鳴海。」
「まさか・・・あたしがここで撮影してるからって
ストーキング?」
「んなわけねぇだろ。」
そう言って、デバイスをしまう。
「冗談冗談。で、どうしたの? 用があるんでしょ?」
「ああ。報告書に不備があってな。書いたの
お前だろ。」
カバンから報告書を出し、ピラピラとさせる。
「あー・・・普段書かないからなぁー・・・。
でもそれ、もあっとでもよくない?
なんでここまで・・・。」
「仕事を理由に出さない可能性があるからな。」
「信用ないなー・・・。それでアンタが修正を
監督するわけだ。理解しました。」
「そういうことだ。めんどくせぇが、少し
付き合え。」
「う~ん・・・よし、じゃ今からやっちゃいますか。」
手をパンパンとたたく。
「やけにあっさりだな。」
「だって、アンタ待たせるのもアレだし・・・ちょうど
今待ち時間だしね。ちょっと待ってて。」
純はその場を離れると、黒のキャップと
ジャケットを持ってきた。
「ほいこれ。早く着て。」
「『STAFF』・・・? なんでこんなの
着るんだよ?」
「アンタね、あたしが学園の男子といるところ、
激写されてごらんよ。うぅ、予想したくもない・・・。
ま、アイドルよりは全然緩いんだけど。」
「大変だな、芸能人。」
「そう、スキャンダルは敵なのよ、敵。そういう
わけで、変装ね。」
「ったく・・・」
言われるがまま、キャップとジャケットを着る。
「うんうん、関係者にしか見えない。これなら
カフェで書類とにらめっこしても自然でしょ。」
カフェ
ロウと純は向かい合って座る。
「それで、どこが違うって?」
「まずは・・・ここの数字だ。」
最初の間違いを指さす。
「えーと・・・あ、ほんとだ。なんでこんな
足し算間違えてるのかなー。電卓壊れてたのかな?」
「こんな計算で電卓使うなよ。あと、ここだ。
字が違う。」
「ちょっとくらい勘弁してよー、もー。
確かに早く帰りたくて確認がずさんだったかも
だけどさー。」
そう言いながら間違いを直していく。
「クエストの後ってむっちゃ疲れるんだから・・・
えーと、あとは・・・」
「ここと・・・ここと・・・あと、そこだ。」
「・・・・・・・よし! これでどう?
全部、アンタの言う通りに書き直したよ。」
「どれ・・・」
書類を素早くチェックしていく。
「できてるね? 間違いないわね?」
「・・・・ああ。これで終わりだ。」
「あー、終わった! いやー指が痛いわー。」
大きな声を出し、伸びをする。
「さてと・・・アンタはこれからそうするの?
そのまま帰る?」
「ああ。特にこの後予定もないしな。」
「それって味気ないでしょ。時間あるなら、
ちょっと職場見ていかない?」
「お前の職場ねぇ・・・。だが俺が
行って大丈夫か?」
「今日はいつものスタッフだからだいじょーぶよ。
仲良いからね。クエストのことで来たってのも
言ってるし、問題ない問題ない。」
にこりと笑う。
「ほら、こっちこっち。」
ロウの手を引っ張る。
「おい、行くとは言ってないぞ。」
「業界体験だと思ったらなんてことないって。
あと・・・みんなには内緒にしておいてね。
仕事風景見たこと。」
「? なんでだ。」
「あたしが恨まれるからさ。抜け駆けしたなって。」
・・・抜け駆け?
訓練所
「・・・妙なメンバーだな。」
メアリーは聖奈から渡された
リストを見ながらつぶやいた。
「本当にあそこに行くんなら・・・もーちっと
マシなメンツのほうがいいんじゃねーか。」
「秋から年末にかけて精鋭部隊も生徒会も
フル稼働だった。休ませなければ。」
聖奈は眼鏡をくいっと上げる。
「じゃーなんでアタイのとこに来たんだよ。
まさか待機命令無視して、裏に行けってか?」
「バカな。わざわざ執行部の付け入るスキなど
作るつもりはない。今日は国連軍歩兵師団に
所属していた貴様に話を聞きに来た。」
「エレンじゃなくてか?」
「ああ、貴様にだ。」
こくりと頷く。
「推理ショーでもやれってのかよ。さっさと
用件を言いやがれ。またロクでもねーこと
なんだろーがよ。」
<聖奈、メアリーに説明>
「はっはーん。なるほど? ろくでも
あることじゃねーか。」
メアリーは話を聞き、にやりと笑う。
「まともと言え。それで、話を聞いた感触は
どうだ?」
「ふうん。是非ともこの目で見てーところだが・・・
意外といいんじゃねーか? あいつにも何か
ないとは限らねーしな。ただ筆下しするにゃ、
ちっとばかし危険なクエストだろーよ。」
険しい顔になる。
「遊佐とあのメイドくらいだからな。せめて
アタイらがいるときか・・・どっかのPMCから
兵士を連れてきて訓練させてからが無難だ。歩く
棺桶の名はダテじゃねーぞ。」
「そこは宍戸と神宮寺の力で補えると判断した。」
「じゃあいいんじゃね。別に止めはしねーさ。
うまく運用できれば、別の戦い方も教えなきゃ
いけなくなるけどな。」
「そうか。試す価値ありということでいいな? では、
JGJに連絡し、テスト運用を行うことにする。」
「おいおいマジでぶっつけ本番かよ・・・。
・・・ロウにデクねぇ・・・・。」