グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第174話 灰街

裏世界

 

灰街

 

「なになに・・・今回のクエストが7回目の

 探索・・・ふーん・・・。ニュートンに会った時の

 クエストは目的が違うから別カウントなのかしら。」

 

「ついに・・・ついに来たんよ!」

 

「・・・ま、そんなこと気にしてもしょうがないか。

 今は・・・」

 

「ダーリンとの! クエスト! 特別な!」

 

「・・・お父さんに、会えるかもしれないんだし。」

 

「ニュージーランドよりもこっちやえ! こっちで

 一緒の方が特別やよ!」

 

夏海がひとりごとを言っているそばで

香ノ葉は1人はしゃいでいた。

 

「・・・ちょっと香ノ葉。人がシリアスな雰囲気

 出してるんだから合わせてよ。」

 

耐えきれず夏海がつっこむ。

 

「・・・深刻にならないようにって言ってたから

 テンション上げたんやけど・・・。」

 

「そうだっけ? まぁ、あたしもまだ実感ないし・・・。

 死んだと思ってたお父さんがここにいるって

 言われてもねー。」

 

大きくため息をつく。

 

「・・・大丈夫やえ。会ったら絶対、わかるんよ。

 ずっとお父さんを目標にしとったもんなぁ。」

 

「うん。でも・・・そうね。10年くらいだったら

 そんなに変わってないわよね、きっと。

 ・・・にしても、やむ気配がないわね。」

 

灰街に着いてからずっと雨が

降り続いていた。

 

「遊佐さん、言ってたえ? この街はずっと雨が

 降ってるって。」

 

「そんな場所どこにあるっていうのよ・・・って

 ここのジメジメっぷりを見ると・・・信じるしか

 ないわね・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ

 

「・・・夏海ちゃん大丈夫かな。怜ちゃんに

 頼まれてきたけど・・・。」

 

「南、お前も来てたか。」

 

智花が夏海を心配していたところに

ロウがやってくる。

 

「あ、ロウさん。」

 

「神凪も来ると思ったんだがな。」

 

「別のクエストが入ったって・・・。だから、

 私が夏海ちゃんをサポートしますね。ロウさんも

 その・・・あっ、神宮寺さんたちが来ましたよ!」

 

「ったく、んなもん着なくてもいいとは

 思うんだが・・・。」

 

「まあ、そう言わないで! 何かあったら、

 頼ってくださいね。」

 

「ん。」

 

ロウはデクの準備に向かった。

 

 

 

 

 

 

「・・あ、あの。あたし、どうしてここに

 いるんでしょう・・・?」

 

ももは鳴子に尋ねる。

 

「まあ、指名されたことを不思議に思うのは仕方ない

 けど・・・回復魔法を使えるってだけで、欲しい人材

 なのは確かだよ。それに今回は君にもいろいろと

 見てほしいものがある。」

 

「?」

 

「君にしか見られない景色だ。この街に見覚えは?」

 

「・・・・・・。」

 

ももはゆっくりと周りの景色を見る。

 

「えっと・・・ここ、もしかして・・・」

 

「さあ、行こう。君を()()()()()人がいるだろうから。」

 

 

 

 

 

「これでよしっと・・・。」

 

茉理は手の汚れをパンパンと払う。

 

「一応、汎用素体だから・・・それなりに

 快適だと思うけど。まあ、部位補強の鎧

 みたいなものだから。」

 

「・・・たしかに。違和感はないな。」

 

デクを装着したロウはひじやひざを

曲げたりする。

 

「おー、似合ってるぞ、ロウ!」

 

「カムロジクシーみたいな全身スーツは扱いが

 難しいし・・・あなたの気力なら防御特化のそれで

 十分だと思うわ。ていうか、お蔵入りした製品が

 こんなとこで役立つとは思わなかったわね・・・。」

 

沙那は何度か頷く。

 

「まさに裏道とはこのことですね。免許がないと

 使えないのは表世界・・・。国家が崩壊したこちらでは

 違法も何もありません。」

 

「そーゆーこと。まあそれでも、無免許で着せるのは

 非推奨だけど・・・火器も取っ払って誤射の危険も

 ないし、筋力サポートも並だし・・・。大丈夫でしょ。

 歩いてみて。」

 

「ああ。」

 

言われたように、ぐるぐると歩き回る。

 

「よしよし。双美心だっけ? がいるから遠隔

 サポートはできないけど・・・もし異変が起こったら

 この発信機を押してね。」

 

「デクのロウの活躍見たかったんだけどさー。アタシら、

 ここから茉理姉さまを護衛して帰らなきゃいけねーんだ。

 あーあ。これなら申請しとけばよかった。」

 

初音は残念そうな顔を浮かべる。

 

「それは次の機会ということで・・・。」

 

「う、うわー・・・あんた改造人間みたい・・・。」

 

夏海はロウのデク装着姿をじろじろと見る。

 

「それは・・・すごいな。CM-05JXの

 派生じゃないか。全身スーツは運用に制限が

 かかるから、致命部位の補強と運動性・・・主に

 斥候兵向けだった幻の製品だよ。」

 

「随分と詳しいな。」

 

「ミリタリーマニアということにしておいてくれ。

 ちなみに強度や防護壁はカタログ通りかい?」

 

「カムロジクシーに合わせたらしい。」

 

「そうか。ロウ君。デクの感触をよく味わって

 おいてくれ。きっと役に立つ。」

 

「そうさせてもらう。さて・・・行くか。」

 

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

 

「・・・ジメジメして嫌なとこやえ。なんだか

 ずっと雨が降ってるみたいなんよ。気味が悪いわぁ。」

 

「静かだね。魔物もあんまり強そうなものは

 いないし・・・。テロリストもいなさそう。」

 

「人もいなさそうだけどな。」

 

周りを警戒しながら進む。

 

「でもどうしてこんなところに・・・。」

 

「レジスタンスの隠れ家やったっけ?」

 

「遊佐先輩、ずっと前から知ってたのかなぁ。

 ・・・夏海ちゃんのお父さんが生きてること。」

 

「うーん・・・でも、それやとちょっとひどいって

 ならへん?」

 

「事情があると思うんだけど・・・・・」

 

「まっ、あいつのことだ。ただ驚かせたいが

 ために黙ってた、なんてことはねぇだろ。

 必ず理由がある。」

 

「・・・あ・・・・。・・・まさか、ここは・・・。」

 

後ろを歩いていたももは険しい顔になり、

何度も周りを見る。夏海はその反応に気づいた。

 

「もも、どうしたの? 何か気づいた?」

 

「岸田先輩・・・ここ、なんだか・・・・

 見覚えがあります。」

 

「え? なんで?」

 

「なんでかはわからないんですけど・・・あたし、

 ここにいたような・・・。・・・・・!?」

 

ももの頭にある光景が脳をよぎる。

ふらつき、座り込む。

 

「ちょ、ちょっともも! あんた大丈夫!?」

 

「い、いえ・・・なんでもありませ・・・・

 ・・・ここ、もしかして・・・。」

 

 

 

 

 

 

「ロウさん、デクの調子はどうですか?」

 

「今のところは問題ない。」

 

首をコキコキと鳴らす。

 

「遊佐先輩がいるから大丈夫といっても、やっぱり

 気になりますね・・・。でも私に任せてください。

 今日は夏海ちゃんに協力するのとロウさんを守りに

 来てるんですから。」

 

「・・・朱鷺坂君から魔法の練習をした方がいいと

 言われなかったかい?」

 

「ひゃ!? あああ、あの、どうして練習の

 ことを・・・!」

 

手をばたばたさせて慌て始める。

 

「魔法? 時間停止か。」

 

「は、はい・・・。と、朱鷺坂さんはまず夏海ちゃんを

 助けに行ってあげて、と言ってました。その分、

 帰ってからの練習を厳しくするからって。」

 

「ああ。きっと言葉通りになる。夏海のことは

 まかせたよ。・・・実は、今回のクエスト、僕には

 あまり余裕がなくてね。」

 

「お前に余裕がないとは珍しいな。」

 

「言ってくれるね。きっと、慎吾氏に会ったら、僕は

 平静を保つのに精いっぱいだろう。」

 

「・・・え?」

 

「だから頼んだ。・・・今のところは桃世君の

 ケアに回るか。」

 

鳴子はフッと笑う。

 

「桃世を?」

 

「ああ、彼女にとっても重要な人物・・・・」

 

「「!?」」

 

ロウと鳴子は何かの気配に気づく。

 

「誰だ!」

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