グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第177話 末永く

学園

 

「ロウさん、本日はお日柄もよく・・・」

 

「それ長くなるか?」

 

葵の挨拶を遮る。

この日、ロウは葵とクエストに出ることに

なっていた。

 

「あ、失礼しました。よろしくお願いいたします。」

 

丁寧に頭を下げる。

 

「今日はお前と一緒だったな。」

 

「はい。このたびのクエスト、わたくしがパートナーを

 務めます。」

 

「大丈夫だろうな。」

 

「ご心配はお察しします。なにしろわたくし、

 世間知らずなもので。ロウさんにはものを教えて

 いただいてばかりですから。」

 

「確かにな。」

 

「ですが、もう家を出てしばらく経っております!」

 

葵はロウに詰め寄る。

 

「あ、ああ。」

 

「香ノ葉さんたちにも様々なことを教えていただき

 ましたし・・・。戦いも少々とはいえ、経験しております。

 ロウさんを守り、魔物を打倒してみせます!」

 

大きな声を出し、意気込みを見せる。

 

「それぐらいの気概があるならありがたいな。」

 

「はい。元来戦いの家系ではありませんが、意地っ張り

 なのは遺伝しています。このたびも、勝つまで

 戦いますので、わたくしにお任せくださいね。」

 

「ああ。んじゃあ、行くか。」

 

 

 

 

 

噴水前

 

「・・・あれ? 葵ちゃん・・・ダーリンと?」

 

2人の姿を香ノ葉は見た。

 

「ふぇえ!? だだ、ダーリンとクエスト!?

 そそそそんなこと、ウチにも言わんでどうして・・・!」

 

その場でわたわたと慌て始める。

 

「こ、こうしちゃいられへん! もし葵ちゃんが

 ダーリンに惚れてたら・・・。正宗! 2人を追k」

 

「白藤。」

 

「うひぃ!」

 

怜が後ろから声をかける。

 

「なな、なんやのん怜ちゃん!」

 

「今、魔法を使おうとしなかったか?」

 

「ぎくう。」

 

「しばらく注意を怠るなと委員長からのお達しだ。

 魔法の無断使用は校則違反だ。警告はしたからな。」

 

「うぅ・・・わかったえ・・・・。・・・あ、

 怜ちゃん。」

 

何かをひらめいたようだ。

 

「どうした?」

 

「もし風紀委員になったら、治安を守る名目で

 精霊さん使えるやろか?」

 

「・・・もし仕事に必要なら、使える。

 だがだめだ。」

 

きっぱりと言う。

 

「学園外でクエストをしているロウを監視するのは

 理由にならない。」

 

「ど、どうして!? ダーリンが外で女の子と

 一緒やん!? もしダーリンが手当たり次第に

 手を出しとったら風紀委員として・・・ずき。」

 

香ノ葉は自分の胸を押さえる。

 

「うぅ・・・ダーリンも葵ちゃんも悪く言うなんて

 できひん・・・・。」

 

「・・・お前も大変だな。」

 

 

 

 

<ロウ、葵、移動中>

 

 

 

 

「ところで、冷泉。」

 

「はい?」

 

「普段はどういうメンバーとクエストに行ってるんだ?」

 

いろいろ知っとかないと連携

とれないしな・・・。

 

「これまでは茶道部の皆様とご一緒するのが多かったの

 ですが・・・ふと、思ったのです。」

 

「?」

 

「わたくしは甘えているのではないかと。光の矢で

 後方支援といえば聞こえはよいですが・・・

 足を引っ張っているのではないか、と。」

 

「まぁ、わからんでもないが・・・だから

 俺とのクエストを請けたのか。」

 

「はい。一人前の魔法使いとなり、実力を向上

 させたいのです! ・・・あ!」

 

突然大きな声を上げる。

 

「どうした?」

 

「け、決してロウさんを軽んじているわけでは

 ないのですよ!」

 

「仮に思ってても言うんじゃねぇよ。・・・ん?」

 

何かの気配に気づく。

 

「魔物・・・ですね。」

 

「ああ。さっさと倒して終わりとするか。」

 

鞘から刀を抜く。

 

「わたくし、気合いを入れさせていただきます!」

 

「『ROOM』!」

 

青色のサークルを張る。

 

「行きます!」

 

弓を構え、魔物に向かって光の矢を放つ。

 

魔物はそれを何とかかわす。

 

「『タクト』!」

 

かわされた矢をロウが操って

再び魔物に向ける。

 

しかし、魔物はそれもかわし、

逃げてしまう。

 

「ちっ、逃がしたな。」

 

「倒せなかったのは残念です・・・。」

 

「だが方向はわかっている。行くぞ、冷泉。」

 

「はい!」

 

 

 

 

<ロウ、葵、移動中>

 

 

 

 

「う~ん・・・。」

 

葵は腕を組んで何かを考えていた。

 

「どうした、冷泉。」

 

「いえ、ロウさんに何か聞かないとと

 思っていたのですが・・・・ええと・・・。」

 

「・・・。」

 

「・・・・! そうです、思い出しました!」

 

「で、何を聞きたいんだ?」

 

「以前、お父様とお会いしたことがありましたよね?」

 

・・・あの時か・・・。

 

「ああ。」

 

「その、お父様と何かありましたか? ロウさんの

 話をすると、お父様のお顔が怖くなるので・・・。」

 

「さぁ? 何か別のことでも考えてたんじゃないのか?」

 

「けれど、お父様は以前からロウさんのことを・・・」

 

「・・・なんでもねぇよ。それより、そろそろ来るぞ。」

 

刀で前方を指す。

 

「! あれは・・・。」

 

2人の目の前には先ほど遭遇した魔物と

それより一回り大きい魔物がいた。

 

「父親のことも気になるだろうが、今は

 クエストだ。あれに集中してもらうぞ。」

 

そう言って、青色のサークルを張る。

 

「は、はい!」

 

弓を構える。

 

「『ラジオナイフ』!」

 

先ほど戦った魔物を一気に切り裂き、

霧散させる。

 

「はぁ!」

 

葵の光の矢がもう1体の魔物を襲う。

体にかすめながらも魔物はかわす。

 

「『タクト』!」

 

魔物の逃げ道を地面を隆起させ、防ぐ。

 

「これで・・・!」

 

光の矢を何度も放つ。

魔物に逃げ場はなくなり、すべての

攻撃を受け、霧散した。

 

「よし・・・終わりだな。」

 

「はい。それで・・・お父様のことですが・・・。」

 

「ん?」

 

「もう1度、会ってもらえませんか?」

 

「・・・まあ、話どうこう以前に、お前の

 親父さんは時間とれるのか?」

 

刀を鞘に戻す。

 

「・・・そ、そうですね。わたくしたちが

 よくても、お父様はお仕事中でしたね。」

 

こいつ、今日中にも会わせようとしたな・・・。

 

「あ、であれば、そのかわりにお出かけしましょう!」

 

「お出かけって・・・てか、んなことする前に

 まずは報告だろ。」

 

「し、失礼しました! あっと・・・・。

 ロウさん、本日は誠にありがとうございました。」

 

丁寧に頭を下げる。

 

「わたくしのような若輩にご協力いただき、

 とても感謝しております。」

 

「ああ、お疲れさん。」

 

「それで、もしよろしければ・・・・」

 

「ん?」

 

「またクエストの機会はあることですし・・・

 末永く、よろしくお願いいたします。」

 

「・・・・。」

 

「? ロウさん?」

 

「・・・いや、なんでもねぇ。」

 

どうせ気づいてねぇだろうな・・・。まあいいか。

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