グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第180話 主従を捨てる覚悟

「ずああ!」

 

刀子は目の前の魔物をなんとか

霧散させる。

 

「くそ・・・何体いやがる・・・・!」

 

「種よ!」

 

次々と現れる魔物を拘束していく。

 

「そろそろ拘束がもちませんわね。また

 かけ直さなければいけません。」

 

ピピピピピ!

 

姫のデバイスが鳴り響く。

 

「・・・? 誰からのメッセージでしょう。」

 

「俺が確認してやる。お前は魔物の拘束に

 集中しろ。」

 

すぐに姫のもとに移動する。

 

「ありがとうございます。」

 

「・・・・・・!! これは・・・。・・・野薔薇、

 一度撤退するぞ。」

 

「・・・・今、なんと?」

 

 

 

 

 

 

「ど、どうするんすかこれ・・・。あんな量の

 魔物、戦えるわけないじゃないっすか・・・!」

 

あまりの魔物の量に自由はおろおろ

していた。

 

「いけな・・・増援の人ら、どっちから来るんだっけ。

 連絡しとかないと・・・! お嬢・・・先輩じゃなくて

 お嬢に送った意味、わかりますね・・・。ここじゃ

 決めるのはお嬢なんです・・・ったって、どーなるか

 わかりきってるっす!」

 

頭を抱える。

 

「お嬢は反賀を死ぬまで守ろうとするし、刀子先輩は

 どういうことかわかってても戦う。先輩がいても

 2人が移動しなきゃ意味が・・・!」

 

 

 

 

 

 

「・・・ロウさん、しばしお待ちを。」

 

撤退しようとしたロウを呼び止める。

 

「なんだ?」

 

「そろそろ避難も完了するでしょう。もはや

 ここで戦う意味はありません。」

 

「ああ、そうだな。」

 

「ここは捨て、引きます。そして細い地形に

 誘い込む。今から私たちのルートをトレースする

 ように植物の壁を作ります。」

 

・・・こいつ・・・。

 

「魔物たちがそこしか通るしかないように。刀子を

 呼びます。そうすればわたしたちは正面さえ

 向いていれば戦える道理。囲まれることも

 ありません。より安全に戦えるでしょう。」

 

・・・あくまで完全に撤退する気は

ねぇってことか・・・・。

 

「刀子! 少しだけ下がりますよ!」

 

 

 

 

 

 

「・・・ったく・・・。放っておけるわけないか・・・。

 今度は先輩にメッセージを・・・。」

 

そう言って、デバイスに打ち始める。

 

「『自分、東の新手を止めておきます。ちっと

 つらいですが任せてください。もししっかり守れたら

 ご褒美くださいね』っと。1人で・・・かぁ。

 ・・・あれ、あなた方、支倉の。」

 

銃を持った男たちが近寄る。

 

「まだ避難してなかったんすか。てか、いても

 足手まといに・・・」

 

バァン・・・!

 

「ひっ!?」

 

自由の後ろの魔物に銃弾が当たり、

魔物は倒れる。

 

「もしかして弱点の目に狙撃を・・・? こりゃ

 失敬。支倉は戦闘が専門っすね。そーゆーことなら

 支倉の方々は援護お願いします。いっちょ、

 気合い入れますよ。」

 

 

 

 

 

 

「沙那! ちょっと待てこれ! アタシたち

 どこに行くんだよ!」

 

初音は反賀の状況を見て驚きを

隠させない。

 

「てか3人で戦えるか! 大規模侵攻ほどじゃねーけど

 滅茶苦茶多いぞ!」

 

「ええ。ドローンで確認したところ、野薔薇さんたちと

 合流しても・・・正面から魔物と戦うのは

 得策ではありませんね。」

 

「ど、どうするの? これじゃ私たちが

 来た意味なんて・・・」

 

「いいえ、意味はあります。まず、野薔薇さんたちの

 性格を考えると・・・ここで力尽きるまで戦う

 可能性があります。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「姫殿・・・くっ・・・。ここより下がれば、本家の

 敷地。野薔薇に仕える者として魔物の侵入は許せん。」

 

「忌まわしきを戒める縄となりませい!」

 

姫が魔物たちを拘束する。

 

「む! また魔物の動きが・・・好機!」

 

刀子は再び魔物に攻撃を仕掛ける。

 

「はぁ・・・はぁ・・・この量の魔物を止めるのは

 ・・・きついですね・・・。」

 

あまりの疲れに膝をつく。

 

「2回使っただけなのに、魔力の回復では補えない

 疲労感です・・・。」

 

「おい、そろそろ支倉を下げた方がいいぞ。」

 

「ですが、今下げれば前で戦う者がいなくなります・・・。

 ・・・どうすれば・・・」

 

「姫殿ぉ!」

 

「刀子!?」

 

突然、刀子が姫の名を叫ぶ。

 

「姫殿は野薔薇を継ぐ御方! 拙者はその手足、刃に

 ございます! 戦場で命ぜられるままに敵を蹂躙し、

 御身を守るのが支倉の役目! 逡巡など無用! 死ねと

 仰れば死に申す! 拙者を使い、最大限の戦功を

 あげるようにお願いいたします!」

 

「・・・・支倉・・・・。」

 

「・・・・ロウさん。」

 

「・・・・・少しマシな目になったな。どうする?」

 

「覚悟を決めました。 ・・・刀子! 下がりなさい!

 自由と合流し、ここから撤退しますよ!」

 

そう・・・それが・・・最善だ。

 

「姫殿! あ、あの・・・今おっしゃられたことは・・・

 もしや、拙者に下がれと!?」

 

「ええ、言いました。」

 

「な、なぜ! 反賀の地を捨てるのですか! あれほど

 大事にしていた・・・」

 

「いいのです、刀子。すでに避難が完了した

 反賀の地より、あなたたちの方が大事です。私の

 プライドよりも、仲間の命の方が、よほど。」

 

「・・・ひ、姫殿・・・拙者などにもったいない

 お言葉・・・・ですが・・・・・」

 

刀子は姫をじっと見る。

 

「それは命令ということで、よろしいですな。」

 

「ええ。命令です。」

 

「ならば・・・主従の関係を、ここで解消いたしたく。」

 

「待て。てめぇ、どういうつもりだ。」

 

「ここから先は、1人の娘が勝手に戦うだけで

 ございます。」

 

「・・・てめぇ・・・!」

 

ロウは支倉の戦闘服をつかむ。

 

「魔力を回復する俺なしで、いったいどうやって

 戦うってんだ!! ああ!?」

 

「だがそれでも! 今なら万の魔物とやりあえまする。

 姫殿のお気持ちに、心身ともに昂ぶっておる。

 先に避難を。拙者が魔物を蹴散らしてご覧に

 いれまする。」

 

「・・・そうか。なら、お前の手足バラしてでも

 撤退させるまでだ。」

 

刀を構える。

 

「・・・・やれるものならな・・・」

 

「だ、ダメダメ! そんなのダメー!!」

 

みちるが2人の間に入る。

 

「!? 松島・・・」

 

「お主・・・!」

 

「ロウ君! 魔力ちょうだい!」

 

「・・・・ああ。わかった。」

 

目を閉じ、魔力を渡す。

 

「えぇーい!!」

 

巨大な炎を魔物にぶつけ、霧散させる。

 

「お待たせ! グリモアからの援軍、まず

 私たちが到着!」

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