グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園
「おはようございます、ロウさん。」
「ああ、おはよう。副会長。」
軽くあくびをする。
「本日はクエストにご一緒いただけるという
ことで、ありがとうございます。」
「しかし、お前が関わってくるってことは
生徒会案件か?」
「はい、そうです。他の学園生が失敗した
クエスト・・・通常より魔物が強いと
考えられるクエストになります。」
「ったく、めんどくせぇ・・・。」
「そう言わずに。それにタイコンデロガとまでは
行きませんので。私とロウさんなら、十分対処
できるでしょう。」
穏やかな笑みを浮かべる。
「そう言うなら、とっとと行こうぜ。」
「そうですね。少しお話したいこともありますし。」
「話?」
「ではロウさん、よろしくお願いします。」
「・・・・ああ。」
<ロウ、薫子、移動中>
旧魔導科学研究所
「それでは、行きましょう。ロウさん。
今回のクエストの目的としまして、効率の良い
魔力譲渡を行っていただこうと・・・。」
「効率のいい魔力譲渡?」
「ええ。今までにあなたは多くの人に魔力を
分けていると思います。」
「ああ、そうだな。」
軽く頷く。
「しかし、理論的にはさらに多くの人数を対象に
できる。それはわかりますね。」
「まあな。」
「でも一気に多人数に魔力を与える場合は注意が
必要です。」
「注意?」
「一律の譲渡ではある生徒は魔力があふれて無駄に
なってしまうことも・・・ある生徒には十分な量に
届かないこともります。」
「なるほど。今回のクエストはそのロスをなくすための
訓練を兼ねてるってことか。」
「そうです。しかし、そう簡単にはいかないでしょう。」
周りを警戒しながら話す。
「例えば20人が一斉に申告したとして、
把握できるでしょうか? もしくは、声が届かない
状況ではどうでしょうか?」
「普通に考えれば、無理だな。」
「ええ。あなたの魔力が無限に近いといっても、
無駄にしていいわけではない。ですから、戦闘の
経過を見て魔力残量を測る技術は必須なのです。」
「ああ、わかっ・・・・。 !」
2人の前に3体ほどの魔物が現れる。
「さあ、魔物が現れましたね。まずは、
試してみましょう。」
ようは今回はサポートか・・・。
「『ROOM』!」
青色のサークルを張る。
「はぁ!」
風の魔法が魔物を襲う。
うめき声をあげる。
「次は・・・・!」
手の中に水の魔法を作り出し、
それを一気に魔物に浴びせる。
魔物は次々と倒れていく。
「・・・・ここか。」
ロウは目を閉じ、薫子の魔力を
回復させる。
「ふぅ・・・。やはり、とは思っていましたが・・・
さすがですね。尋常でない出撃回数はダテでは
ない、ということですか。」
「・・・ほめてんのか?」
「ほめていますよ。」
そう言って、微笑む。
「嫌味を言う必要もありませんからね。あなたが
グリモアで一番の戦闘力を持つわけではありませんが
グリモアに一番必要な人材であることは自明です。」
「随分とほめるな。」
「ふふ・・・もちろんです。それに、その体質だけでは
ないのですよ。あなたが来たことで解決した
問題は多い。」
「解決ねぇ・・・。俺が手を貸した覚えはねぇけどな。」
「そうかもしれませんね。狙っているのか、それとも
自然体なのかわかりませんが・・・不思議な方ですね。」
眼を細くしてロウを見る。
「しかし」
「ん?」
「まだ精度があげられるのも事実です。それに
今は対象が私だけですからね。」
「まあ、確かにな。」
「私だけでなく、もっと多くの学園生に
ついても見る機会を増やし、どんどん、
慣れていただきましょう。」
<ロウ、薫子、移動中>
「『ラジオナイフ』!」
ロウは目の前の魔物を切り裂き、
霧散させる。
「ふぅ・・・もうそろそろ終わりか?」
「ええ。デバイス上でも、魔物の数は少なく
なりました。小物はほぼ殲滅しましたから、
あとはいわゆる親玉ですね。・・・・・。」
薫子はロウをじっと見る。
「? どうした。」
「・・・さすが。全く疲れていないようで。
私もあなたのおかげで、戦いはかなり楽に
進められています。」
にこりと笑う。
「油断は禁物ですが、一息つくくらいは
よいでしょうね。」
「ああ、そうだな。」
「・・・・本当は言ってはいけないのですが・・・」
申し訳なさそうな顔をする。
「かなり無理をさせてしまって、申し訳ありません。」
「・・・?」
「特にテロリスト相手の戦いでは、あなたに
危険が迫ることが多いですから。北海道で
撃たれた時はずいぶん肝を冷やしました。」
「あの時か・・・。迷惑かけたな。」
「いえ・・・。・・・・ところで、その北海道の
一件・・・いったい誰に撃たれたのですか?」
「・・・・何も聞いてないのか?」
あいつら・・・・話さなかったのか・・・?
「・・・知らない奴だ。顔も見たことはない。」
「・・・そうですか。ならば信じましょう。」
「根掘り葉掘り聞かないのか?」
「ええ。あなたを信じていますので。」
「・・・そうか。」
かすかに笑う。
「今後は、そのようなことが決して起きない
ように心がけます。・・・と言ったところで・・・」
「ああ、いるな。」
刀を構える。
2人の前に今までより何倍もの大きさの
魔物が現れる。
「行きます・・・!」
風を起こし、魔物の体勢を崩す。
「・・・・・。」
大体・・・このくらいか・・・!
薫子の魔力を回復させる。
「! これで・・・!」
一気に水の魔法を放出し、
魔物を霧散させる。
「これで、討伐終了ですね。」
「ああ。なんとか終わったな。」
「さて、どうでしたか? 私の魔力量を正確に
把握し、うまく供給できたと思いますか?」
「そうだな・・・・まあまあできてたとは
思うんだが・・・。そっちはどう感じた?」
「私から言うことは・・・・」
途中で止め、ためる。
「・・・・。」
「お見事です。何も言うことはありません。」
「本当か?」
「少なくとも私を含めた少人数では、訓練にも
なりませんでしたね。精度に関しても、すぐに
反映されましたし・・・討伐もスムーズに行えました。」
「まだかかるか?」
「・・・これ以上は戻りながらの方がよいですね。
改めて、お疲れさまでした。」
そのころ
学園
報道部部室
「・・・あ、あのぅ・・・わ、私、どうして
ここに・・・。何かお怒りに触れるようなことを
してしまいましたでしょうか・・・。」
心はおろおろしながら話す。
「いいや、違うよ。ちょっと協力を
頼みたいんだ。」
鳴子は穏やかに笑う。
「・・・僕の『電子の妖精』が破られた。」