グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第9.5章 やるべきこと 生きている価値
第187話 座標


「・・・僕の『電子の妖精』が破られた。」

 

鳴子の顔が険しくなる。

 

「・・・へ? あのセキュリティソフトですか?」

 

「そう、セキュリティと同時に、相手にいろいろ

 プレゼントするソフトだ。それを潜り抜けて

 どうやら学園の機密情報にアクセスしている。」

 

「そ、それって宍戸さんのセキュリティも抜けて、

 ですか?」

 

「そうだ。自画自賛になるかもしれないけど、

 自信はあった。僕と宍戸君のセキュリティがあれば、

 問題はないと。」

 

「・・・・・・・つまり、裏世界の私がやったと?」

 

心の人格が入れ替わる。

 

「最初はそう思った。でもどうやら違うね。

 君の魔法なら、やろうと思えば痕跡は一切

 残らないはずだろう。」

 

「そうですね。わざと残した可能性はありますが。」

 

「裏世界の君とは、阿川奈で戦っただろう?

 意見を聞きたい。」

 

「・・・そういった遊び心はもってなさそうでしたね。

 痕跡を消すなら徹底するはず。おそらく・・・

 別人かと。」

 

「ありがとう。なら誰がやったか・・・心当たりは

 あるかい?」

 

声を低くし、心に尋ねる。

 

「あなたはすでに検討がついているはず。

 なぜ私に聞くのですか。それと答えるメリットは?」

 

「君のお墨付きが出て自信が持てる。君は

 僕を使う権利を得る。なにかの折には呼んでくれ。

 ジャーナリストは信用が大事でね。」

 

「・・・わかりました。その時は絶対に、

 来てもらいますよ。ログを見せてください。」

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

ログを調べた心はパソコンを閉じる。

 

「マーヤー・デーヴィーです。」

 

「・・・・・そうか・・・始祖十家か。」

 

「彼女は明晰な頭脳を持った研究者。語弊を

 恐れずに言うならば・・・ハッカーとしても

 有名ですからね。」

 

小さくため息をつく。

 

「博士とあなたによるセキュリティをここまで

 見事に破る・・・。それほど卓越した技術を

 持つ者はそういません。その中で動向が

 つかめないのはデーヴィーだけです。」

 

「同意見だ。問題は、彼女が閲覧した情報・・・。」

 

「学園の見取り図。そして、どさくさ紛れに

 ロウさんのパソコンにも侵入していました。」

 

「デーヴィーがほしがっているのは・・・外部から

 隔離されている情報。今最もホットなのは・・・」

 

お互いに向き合う。

 

「間違いなく、ロウさんのこと、ですね。」

 

 

 

 

 

 

 

学園

 

「それで、話ってのはなんなんだ?」

 

「・・・実は、イギリスのネテスハイム学園が

 特急危険区域の攻略をしています。」

 

薫子の顔が険しくなる。

 

「そして解放された暁にはグリモアにもその先に

 同行してほしいと。」

 

「手柄に便乗ってわけか。」

 

「まあ、そうなってしまいますが・・・。学園同士の

 結束を固めるという意味では有益。」

 

「こっちは裏世界には何度も行ってるしな。」

 

コーヒーを一口飲む。

 

「ひいては人類のためになる・・・ってとこか。」

 

「ええ。その時はきっと、あなたにもクエストの

 依頼が来るでしょう。活躍を期待していますよ。」

 

「そりゃどうも。」

 

「あっ、それと・・・。」

 

1枚の紙を取り出す。

 

「明日のクエストです。」

 

「連続でクエストか。面倒だな。・・・・・

 どこだ、これ? 釜伏山?」

 

「周辺の調査です。不審人物および

 魔物の姿が見られた・・・と。」

 

「・・・そうか。んじゃあ、明日に備えて

 今から寝だめするかね。」

 

そう言って、ロウは寮に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

寮 ロウの部屋

 

「さて・・・寝る前に・・・。」

 

部屋に入るなり、机に座り

パソコンを開く。

 

「釜伏山、釜伏山・・・。」

 

調べる単語を何度もつぶやく。

 

「・・・埼玉の山か・・・・・・ん?」

 

ある数字の羅列を見る。

 

36.0926671,139.14339066

 

「これって座標か・・・。・・・・・・!!」

 

血相を変えたロウは引き出しから

USBを取り出し、つなげる。

 

「確か・・・・・あった!」

 

<36.0926671,139.14339066>

 

「・・・・・・・。」

 

ロウは静かにずっとその数字を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

釜伏山

 

「・・・・・・・。」

 

「ロウさん。・・・・ロウさん?」

 

返事をしないため、智花はロウの

肩をたたく。

 

「・・・ん? どうした?」

 

「あ、いえ、こっちには特に怪しい人は

 いないって、遊佐さんが・・・。」

 

「ああ、そうか。こっちも特にいないな。

 なぁ、ロカ。」

 

ヤヨイに問いかける。

 

「うん、そうだよ、兄さん。」

 

「どうやら、ガセの可能性が高いね。

 もう少し奥を調べて、異常がなければこのまま

 帰るとしよう。」

 

鳴子はやれやれという顔をする。

 

「そうだな。ったく・・・どうせ何も

 ないだろうけどな。」

 

そう言って、デバイスを取り出す。

 

このまま奥に行けば、あの座標の

位置か・・・。

 

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

 

「・・・何もねぇな。」

 

「うん・・・。」

 

一気に疲れた表情になる。

 

「・・・・ん?」

 

地面をじっと見ていた鳴子は

何かに気づく。

 

「これは・・・。」

 

土を手で払い始める。

 

「・・・見つけたよ。」

 

「? 何をだ。」

 

ロウたちは鳴子の近くに集まる。

 

「扉だよ。」

 

土に隠されていたのは

さび付いていた扉だった。

 

「こんなところに扉か・・・。いかにも

 怪しいな。」

 

扉を何度か触り、取っ手に手をかける。

 

「鍵は・・・かかってないな。」

 

「は、入るんですか・・・?」

 

「テロリストの罠って可能性はあるよね。」

 

ヤヨイは何度も周りを確認する。

 

「けど、周りに人の気配はない。クエスト前の

 情報では不審人物の情報・・・。」

 

「・・・入るしかなさそうだな。」

 

ロウは扉をゆっくりと開けていく。

 

「・・・!」

 

中を見たロウは驚いた。扉の外見からは

判断できないくらい、通路や壁がきれいになっていた。

 

「・・・明らかに、人の手がかかっているね。」

 

「やっぱり、誰かが・・・。」

 

「・・・・・行くか。」

 

「・・・は、はい!」

 

警戒しながら入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

釜伏山 地下施設

 

ロウたちがしばらく進むと、

前の扉が自動で開く。

 

「電気が通ってるのか・・・。」

 

「それも最近使われてるね。僕たち以外の

 足跡が多くある。」

 

入った部屋には比較的まだ新しい

足跡が残っていた。

 

「でも途中で消えてるね。」

 

「扉は見当たらない・・・。どこかに

 隠し通路があるな。」

 

「さ、探しましょう。」

 

それぞれ、壁に手を当て、通路を

探していく。

 

「う~ん・・・・・どこにあるんだろう・・・。」

 

智花はちょっとずつ歩いていく。

 

「え~と・・・・。」

 

パタン

 

「ひゃ!?」

 

急に壁の一部が裂け、智花は

中に入ってしまう。

 

「智花姉さん!?」

 

「ここにあったか・・・! 俺が入る。

 遊佐とロカはここで見張っといてくれ。」

 

「ああ、わかった。」

 

「そうだな・・・南を見つけたら、連絡する。」

 

そう言って、ロウは壁の中に入っていった。

 

「大丈夫かな・・・兄さん。」

 

「彼なら大丈夫だろう。僕たちは

 ここで待っていよう。」

 

2人が話す中、徐々に白い煙が

立ち込める。

 

「・・・あれ・・・なんか・・・急に・・・。」

 

ヤヨイの体がふらつき始める。

 

「? ロカく・・・う・・・これ・・・

 しま・・・。」

 

2人は目を閉じ、床に倒れた。

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