グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第191話 消えたロウ

生徒会室

 

「ロウがいなくなっただと!?」

 

あまりの驚きに虎千代は

机をバンとたたく。

 

「えっと・・・ロウさんってクエストは・・・」

 

「薫子、どうだ?」

 

「この間のクエスト以降入れていません。」

 

「そうか・・・。」

 

「会長、このままではまずいかと。」

 

薫子は深刻な顔になる。

 

「え、どういう・・・」

 

「もし、テロリストたちにこのことが

 漏れれば、ロウさんが監視されないところで

 拉致されかねません。」

 

「そんな・・・。」

 

「とりあえず、全員に話して捜索を・・・!」

 

「いえ、それはだめです。それでは、余計

 情報が漏れてしまいます! ここはまず、

 精鋭部隊と風紀委員のみに・・・」」

 

「く・・・!」

 

「・・・・・。」

 

 

 

 

 

山奥

 

「ちっ・・・! ロウのやつ・・・

 余計な仕事増やしやがって・・・!」

 

ぼやくメアリーは苛立ちから

地面を蹴る。

 

「先輩・・・どうしちゃったんでしょう・・・?」

 

「知らないわよ! 大体なんでライバルの

 ツクに何も言わずに・・・!」

 

「ぶつぶつ言ってないで、探すぞ。」

 

焔はスタスタと歩いていく。

 

「・・・くそ、あの野郎・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

智花の部屋

 

「ロウがいなくなったぁ!?」

 

「しー! しー!」

 

大声を出した夏海の口を押える。

 

「風紀委員にも話は来ていた。しかし

 まさか・・・。」

 

「まったくよ! 大体、私たちが

 なにかした!?」

 

「・・・そういうことじゃ・・・ないと

 思う・・・」

 

「「・・・!?」」

 

夏海と怜は驚いた。

話していた智花の目から涙が

流れていた。

 

「ちょ、と、智花!?」

 

「大丈夫か!?」

 

「え・・・あれ・・・」

 

どんどん涙があふれていく。

 

「う・・・うぅ・・・!」

 

「と、智花!?」

 

しばらく、智花の涙は止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「・・・・・。」

 

そのころ、ロウは高台から

景色を眺めていた。

 

「・・・・。」

 

黙ってみているロウのそばに

一冊の本が置いてあった。

 

『自殺の名所』

 

「・・・・・。」

 

地面に座ると、中身を

パラパラとめくっていく。

 

「・・・・・。」

 

・・・次はどうするかな・・・・。

 

本をパンと閉じ、立ち上がる。

 

「・・・・・行くか。」

 

 

 

 

 

 

 

智花の部屋

 

「あ、ありがと・・・夏海ちゃん、怜ちゃん・・・。

 私・・・ロウさんが・・・いなくなっちゃう

 ような・・・そんな予感がしちゃって・・・。」

 

夏海と怜から渡された

ハンカチで涙を拭う。

 

「いなくなるって・・・・・」

 

「なんでだ?」

 

「わかんないけど・・・けど・・・。」

 

「・・・そうなると・・・急がなければ・・・。」

 

「・・・うん・・・。」

 

(ロウさん・・・いったいどこに・・・?)

 

「・・・あ!」

 

智花に1つの考えが浮かんだ。

 

「え、な、何かわかったの!?」

 

「もしかしたら・・・」

 

そう言って、智花はすぐに部屋を出る。

 

「ちょ、ちょっと智花ぁ!」

 

 

 

 

<智花、移動中>

 

 

 

 

「もしかしたら・・・・!!」

 

智花がたどり着いたのは

純雄の寺だった。

 

「・・・! 純雄さん!」

 

「んん? おや、智花ちゃん。久しぶりだねぇ。」

 

純雄は穏やかな笑みを浮かべる。

 

「じゅ、純雄さん・・・! あの・・・!」

 

「・・・ここじゃ、話しづらいことかな?」

 

「・・・は、はい・・・。」

 

「そうか・・・。じゃあ、中に入ろうか。」

 

 

 

 

 

 

2人は部屋に入り、座る。

 

「それで、なにかあったのかい?」

 

「あの・・・ロウさん・・・こちらに

 来てませんか?」

 

「ロウ君? いや・・・両親の命日の前日には

 ここで会ったけど・・・最近はあまり。」

 

小さく首を横に振る。

 

「そ、そうですか・・・。」

 

「ロウ君に何かあったのかい?」

 

「じ、実は・・・」

 

智花はロウが学園からいなくなって

しまったこと、そして天羽大地のことを

純雄に話した。

 

「そうだったか・・・。まさか、あの人が・・・。」

 

「会ったこと、あるんですか?」

 

「2、3回ほどだけどね。ロウ君は彼を信頼していた

 ようだったからねぇ・・・。」

 

深くため息をついた。

 

「それで・・・ロウさんの行きそうな

 ところとかは・・・。」

 

「心当たりはない、かな。ここに来れば、連絡するよ。

 えっと・・・・・・。」

 

純雄は携帯を取り出すと、少し固まる。

 

「・・・? あの?」

 

「えっと・・・ごめんね。電話番号って

 どう出すのかな?」

 

「え?」

 

「いや、機械はどうも弱くてね・・・。」

 

「そうだったんですね。えっと・・・

 ここを押せば・・・。」

 

智花は純雄の携帯を手に取ると、

それを操作し、自分のデバイスに番号を

登録した。

 

「おお、そうやるのか。いやいや申し訳ない。」

 

丁寧に頭を下げる。

 

「あ、いえいえ・・・。」

 

「じゃあ、ロウ君が来たら・・・ちゃんと

 連絡するよ。」

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

お礼を言うと、智花は寺をあとにした。

 

「・・・さて・・・・。」

 

純雄は小さくそうつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5日後

 

生徒会室

 

ロウがいないとわかってから9日が

経過したが、いまだに見つかっていなかった。

 

「会長・・・どういたしますか?」

 

「決まっている。見つかるまでだ。」

 

「しかし、今は多くの生徒に知られています。

 このまま見つからないとなったら・・・。」

 

「だが・・・どうすればいいというんだ。」

 

「・・・最悪の事態も・・・考慮しとおく

 べきかと・・・。」

 

「・・・・!!」

 

虎千代の顔が一気に青ざめた。

 

 

 

 

 

 

 

「ダーリン・・・一体どこおるの・・・?」

 

 

「ロウさん・・・。どこですかぁ・・・?」

 

 

「少年・・・・。」

 

 

「お兄さん・・・・。」

 

 

「先輩・・・早く帰ってきてくださいっす・・・・。」

 

 

徐々に学園は不安に包まれていった。

 

「・・・このまま・・・本当に

 帰ってこなかったら・・・・・。」

 

智花は両手を祈るように握る。

 

「・・・帰ってきてください・・・ロウさん・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ

 

純雄の寺

 

「・・・・・。」

 

純雄は険しい顔をして、

離れに向かっていた。

 

「・・・・・。」

 

静かに戸を開ける。

 

「まったく・・・急に来たと思えば・・・。」

 

中には目を閉じ、胡坐の

ロウの姿があった。

 

「・・・純雄さん。俺がここにいること、

 学園には・・・」

 

「何度も言っているだろう。誰にも言っていない。

 しかし、智花ちゃんが来たときは少し

 焦ったよ。」

 

「しかし、演技が上手ですね。『ロウ君が来たら・・・

 ちゃんと連絡するよ。』よく言えますね。」

 

純雄の声真似をする。

 

「君が黙っててくれと言ったんだろう!」

 

「・・・そこまで声を荒げたのは、

 初めてですね。」

 

「・・・すまない。」

 

「謝らないでくださいよ。・・・茶化しすぎました。」

 

「・・・そろそろ、話してくれないか?

 君はなぜ・・・学園から出て行ったんだい?」

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