グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
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「今年中に解決しなければ・・・
また人類は負ける。」
「そんな・・・。」
驚きから、智花は口を手で押さえる。
「だが、そうなるよな・・・。くそ、
めんどくせぇ・・・。」
ピピピピ
「・・・ん?」
薫子のデバイスが鳴る。
「・・・! ロウさん。」
「なんだ。」
「今すぐ、伊賀へ向かってください。」
「伊賀・・・? 確か服部が向かっていたん
だったな。」
「大規模な魔物の襲撃が確認されました。」
「「!!」」
「今度は魔物か・・・。・・・んじゃあ、
ちょっと行ってくる。」
「あ、は、はい!」
智花の返事のあと、ロウは準備を
整え、伊賀に向かった。
<ロウたち、移動中>
忍者の里
あちこちで爆発音が
鳴り響く。
「ロウ、こっちだ!」
怜が方向を指示する。
「ったく、危ないとこだったな。」
「けほっ、けほっ。あんなに火の回りが
早いなんて・・・。」
紗妃は軽くせき込む。
「早く回るように火を放ったのだ。
ヤツらは風を読み、屋根に穴を空けていた。」
つかさは淡々と分析する。
「自分たちの家なのに、ですか?
そんな・・・。」
「忍者とはそういうものだ。行くぞ。
服部のいる砦は目の前だ。」
<ロウたち、移動中>
「服部、無事だったか!」
4人は梓のもとに駆け寄る。
「先輩! みなさんも・・・来てくれたんスね。」
「服部さん! もう・・・心配しましたよ。」
紗妃は安堵の表情を浮かべる。
「なんとか合流できたな。しかし、ここまで
魔物の数が多いとはな・・・。」
「前の襲撃もこうだったのか? 一度は
魔物を追い払ったのだろう?」
「・・・あー、はい。それがですね・・・。」
言いにくそうにし、目を泳がせる。
「無駄話はあとだ。これからどうするのか言え。」
「そ、そうだったな、すまない・・・。一刻も
早くこの状況をなんとかしなくては・・・。」
「・・・こちらこそすみません。着いた途端に
てんやわんやで。伊賀の中でも色々ありまして・・・。
後で説明します。それで、これからの動きなんですが・・・」
梓は地図を取り出し、広げる。
「今、自分たちのいた砦がここです。里の方に
魔物がワーッといるんですけど・・・
グループになってるんですよ。」
「グループ? それって・・・・。」
「国軍・・・が来ているのは聞いてますよね?
前線を持ってもらってます。で、彼らと伊賀忍者隊、
学園生でなるべく戦力を均等に分配しますんで・・・
それぞれ、定点で戦ってください。」
「・・・・定点、だと?」
つかさが不満な表情を浮かべる。
「そうです。生天目先輩、勝手にどっか
走ってっちゃダメですよ。」
「索敵はせず、その場で待ち受けろ、ということか?」
「追跡や撤退はどうするんだ?」
「えーと、基本動かないでください。作戦
ですので・・・。里周辺はあちこち罠が
仕掛けられてて危ないんです。魔物に向けて
作ってますから。人間がかかったら死にますよ。」
「ふん、そんなもの・・・。」
「生天目、ここは従え。」
ロウは鋭い目で見る。
「服部の方が戦況は理解しているしな。」
「クエストですよ、生天目さん。ここへ
来る前に契約もしましたね。」
「・・・私たちが戦っている間、貴様は
どうする、服部。」
「ちょいちょい偵察に行きますけど、基本
みなさんとご一緒しますよ。で、自分が
いないときの指示は先輩にお任せします。」
「・・・・ああ、わかった。」
一瞬、梓を見て了承する。
「わかりました。服部さんの不在時は
ロウさんの判断で戦います。」
「そして伊賀の頭領なんですが、今は砦の奥に
います。状況が状況なんでちょっと出てこられないん
ですが・・・戦いが終わったら、会ってくださいね。」
「・・・ええ。伊賀をみんなで救いましょう。」
「・・・ありがとうございます。よし、じゃあ
自分についてきてください。持ち場まで
案内します。」
梓の後に続き、ロウ、怜、紗妃が
走っていく。
「・・・この切迫している状況で、戦力を均等に?
定点で戦えだと? 魔物の量からして、端から
殺しつくすつもりでやらねば、つぶされるぞ。
服部・・・いや、伊賀者か? なにを考えている?」
つかさ1人は伊賀の思惑を怪しんでいた。
<ロウたち、移動中>
「・・・・・。」
「服部。」
「・・・・。」
つかさは梓に呼びかけるが
返事がない。
「・・・おい。」
手を肩に置こうとする。
「・・・!」
殺気を感じ、後ろに下がる。
「・・・あ、す、すみません・・・急に手を
伸ばされたんで、とっさに・・・。」
「くく・・・いいぞ、その殺気。素の貴様はもっと
面白いのだろうな。」
つかさはにやりと笑う。
「素って・・・何言ってんですか。いつも通り
ですよ、自分は。」
「ほう? いつも通りか・・・。なら、あの
おかしな口調はどうした。」
「え? ・・・もしや『~ッス』ってヤツ
ですか? 里のエライ人、厳しいですからね。
一応気を付けてるんです。」
「エライ人・・・。貴様ら伊賀忍者は
何を企んでいる?」
つかさは鋭い目で梓を見る。
「え?」
「ここまであからさまに怪しい動きをさせるのは、
何が目的だ?」
「・・・あんまり詳しい説明ができなくて、
申し訳ないと思ってます。」
「頭領とやらの命令か?」
「・・・・。」
図星なのか、顔を若干伏せる。
「頭領は貴様より強いのだろう? それとも、
魔法使いがほかにいないなら・・・この里では
貴様が最強か?」
「えと・・・すみません。ちょっと余裕
ないんで、あとでいいですか。」
「・・・いつもの軽口でごまかさないのか。
なるほど・・・。釣られてやろう。だがつまらん
真似はするなよ。貴様も、伊賀忍者も。退屈な
戦いを強いるならば、魔物ごとつぶす。」
低い声で言う。
そして、魔物に攻撃を始める。
「・・・生天目先輩、相変わらずですよねぇ・・・
不安なような、心強いような・・・。・・・・・
覚悟することが多すぎるんですよねぇ。」
「『ROOM』!」
青色のサークルを張る。
「『ラジオナイフ』!」
周りの魔物を切ろうとするが、
ひらりとかわす。
「ちっ・・・すばしっこいな。」
「・・・! こっちにも来たな。ロウ、
氷川、後ろを頼む!」
怜が別の魔物に向かっていく。
「は、はい! あ、っとと・・・。」
バランスを崩しかける。
「動きにくい地形だ。なるほど、不慣れな人間では
ただ戦いが長引くだけだな。」
「生天目さん、なにをボーッとしてるんですか!
いくらあなたでも・・・きゃあ!」
爆発音が鳴り響く。
「火薬のにおい・・・また屋敷を燃やしたな。」
「ああ。まるで里が丸ごと魔物を殺すための
仕掛けのようだな。」
「服部さんがかわいそうです。故郷がこんな
ことに・・・。」
「余計な考えは捨てろ。これが脈々と続いた
忍者の戦い方だ。」
「そんな言い方・・・! 心配するのが
当たり前でしょう!」
紗妃はつかさに詰め寄る。
「服部があのようすならば、外野があれこれと
考えるのは無駄だ。手助けしたいなら、心配より
一体でも多く魔物を倒せ。」
「そ、それはそうですけど・・・言い方が・・・」
「貴様こそうわべの心配など捨てろ。今は
道徳など何の役にも立たん。」
「ま、魔法使いが人の心を捨ててはおしまいです!」
「お前ら、いい加減にしろ。魔物来てるぞ。
早くやれ。」
そういいながら、魔物を数体霧散させる。
「・・・どけ、邪魔だ。」
「邪魔とはなんですか、邪魔とは!
学園生は橋梁しあってこそ・・・」
2人は言い合いながらも、魔物に
攻撃していく。
「ったく・・・。」
「・・・まあ、息があっているならいいか。」