グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第197話 裏の第7次侵攻

???

 

「・・・・・・・・・。自分のフォローを

 していただいたこと、本当にありがとうございました。」

 

梓は丁寧に頭を下げる。

 

「いえ、自分は十分な情報を持ち帰ることに

 失敗しました。あの場で見捨てられていても、

 仕方がなかった。・・・今、こうして命があるのは、

 里のみんなのおかげです。」

 

表情が暗くなる。

 

「魔法使いとして覚醒したときにも、時代が時代なら・・・

 自分は忌み子として間引かれても仕方なかった。

 ・・・もちろんです。学園に戻っても、報告は欠かさず。

 ・・・が、学園ですか?」

 

変な質問に梓は戸惑う。

 

「えっと・・・楽しいです・・・。・・・いえ、心得て

 おります。」

 

ゆっくりと目を閉じる。

 

「身を思う心と中をたがわすは、身には心が仇と

 なるもの。流されず、迷わず・・・天理に背くことは

 いたしません。・・・はい、では、失礼します。」

 

部屋から出る。

 

「・・・・・はああぁぁ~・・・

 とりあえず、切り抜けましたね。・・・あ~

 しんど・・・。・・・忍者が感情に囚われるなんて

 まだまだ未熟ッスね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

魔法使いの村

 

「さー、ロウ! 調査開始するわよー。」

 

「てか、俺の記事まとめるんじゃなかったのか?」

 

そもそも遊佐に頼んだんだがな・・・。

 

「にしても、何の調査だ? わざわざ

 こんなとこまで来て。」

 

「この前撮影したの、見たでしょ? 霧の嵐よ。

 貴重な発生の瞬間をとらえた、しかも鮮明な

 動画!」

 

「ああ、あれか。」

 

「初音に渡して解析してもらってるけど、まだ

 結果が出るまで時間がかかるの。だから、

 並行してジャーナリストとして現場も調べて

 おかなきゃねー。」

 

「随分な心掛けだな。しかし、かなり熱心だな。

 霧の嵐に関しては。」

 

「ふふーん。これは部長もお父さんも関係ない

 あたしの仕事なんだから!」

 

鼻息を荒くする。

 

「・・・・?」

 

気のせいか? 揺れたような・・・。

 

「それじゃロウ! なにか怪しいものが

 あったらすぐに報告! いいわね!」

 

「ったく・・・・ !」

 

かすかに地面が揺れる。

 

「・・・? どうかしたの?」

 

「いや、今揺れなかったか?」

 

「え、揺れたっけ?」

 

「・・・この展開、まさか・・・!」

 

地面が大きく揺れ始める。

 

「ちょ、こ、これってもしかして・・・!」

 

「そのまさかだな。どうやら、俺だけに

 用があるらしい。」

 

その瞬間、ロウは霧の嵐に飲み込まれた。

 

「1人で行くなー! ロウー!!」

 

夏海の叫びがこだました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「・・・ん・・・・?」

 

おそるおそる目を開ける。

 

「ここは・・・。」

 

周りをきょろきょろと見る。

 

「学園の近くか・・・。だが、妙に

 ピリついて・・・・ !!」

 

何かを感じたロウは急いで伏せる。

すると、自分の頭上を攻撃が通過する。

 

「変身してねぇで、何やってんだ!」

 

「・・・!」

 

来栖・・・か・・・?

 

ロウの元に焔が駆け寄ってくる。

 

「くそ、国軍の連中、あっさり魔物通しやがって。

 こんな早くから前線に出て、学園生がどれだけ

 やれると思ってんだ・・・。」

 

小さな声でつぶやく。

 

「で、あんた、なんでこんなところにいるんだ?

 学園生じゃねーだろ。コスプレか?」

 

ロウの制服をつかむ。

 

「一般人がここにいて、なにしてやがんだ。」

 

「誰が一般人だ。それにコスプレじゃねーよ。」

 

「あぁ? あんまりなめてると・・・」

 

「それより、ここは今どこだ?」

 

念のために確認しないとな・・・。

 

「・・・いいか、ここは戦場だ。グリモアの

 関係者以外は、そもそも入れねーんだ。」

 

「・・・戦場? ・・・まあいい。

 なら前線はどうなっている、来栖。」

 

「・・・おいあんた、なんでアタシの

 名前知ってるんだ? 初対面だろうが。

 あんたなんか知らねーぞ。」

 

「く、来栖さん・・・その人は・・・?」

 

弱弱しい声が後ろから聞こえる。

 

・・・今度は霧塚か・・・。

 

やってきたのは萌木だが、戦闘服の色は

青ではなく、紫のドレスになっている。

 

「知るか。ちょうどいい。こいつを拘束しろ。

 勝手に入り込んで、学園生の情報を

 持ってる怪しい奴だ。」

 

「随分な言い方だな。」

 

「え・・・そ、それって・・・」

 

「共生派かもな。アタシは休む。」

 

そう言うと、スタスタ歩いていく。

 

「あ、く、来栖さん! もう少し詳しく・・・・

 ・・・はぁ・・・私だって忙しいのに・・・。」

 

深くため息をつく。

 

「・・・あ、あの・・・お名前、聞かせて

 もらっていいですか。」

 

「相田ロウだ。」

 

対面した萌木の顔は若干やつれ、

目には隈ができていた。

 

「えと・・・相田さん。拘束と言われていい気は

 しないと思います。ですがここは戦場ですから。

 優しい扱いは期待しないでくださいね・・・。」

 

「てか、聞きそびれたが、霧塚、今どういう状況なんだ?」

 

「・・・・え?」

 

萌木は驚きで、目を大きく開く。

 

「・・・正気ですか? 今、何が起こってるか、

 本当に知らないんですか?」

 

「ああ。」

 

「・・・第7次・・・」

 

「ん?」

 

「第7次侵攻中なんですよ!」

 

「・・・第7次侵攻だと?」

 

こんな状況の時に第7次侵攻中の

裏世界に・・・・確か、来栖と霧塚って・・・。

 

「・・・ったく、めんどくせぇ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「来栖さん! く、来栖さん!」

 

「なんだよ、うるせーな。」

 

萌木は休憩している来栖を呼びに行く。

 

「な、なんだよじゃないです! 詳細を

 お願いします!」

 

「・・・次の出撃まですぐだ。休憩させろよ。」

 

「そんなわけにはいきません! 来栖さんが

 第一発見者なんですから!」

 

「うるせぇ、喚くな。ちっ・・・・

 なんでよりによってこんな時に・・・。」

 

立ち上がり、焔はロウの元に行く。

 

「アタシが戦ってたらそいつが突っ立ってたんだ。

 一般人だと思ったから追い払った。だが、

 アタシの名前を呼んだ。」

 

「お、追い払ったんですか?」

 

「そうだよ。文句あるか。」

 

「せ、精鋭部隊なのに、校則違反じゃない

 ですか・・・。」

 

「もう精鋭部隊じゃねぇ。さっき抜けてきた。

 大規模侵攻の時まで足引っ張られてたまるか。」

 

精鋭部隊・・・ここのウィリアムズは・・・

いやだめか・・・あれは第8次侵攻前だった

からな・・・。

 

「・・・わ、わかりました。とにかく今は

 この人のことです。」

 

そう言って、萌木はロウを見る。

 

「この人は私の名前も知っていました。」

 

「・・・で?」

 

「身分証は偽造だと思われます。簡易的に

 調べましたが、該当なし。学園証もデザインが

 違います。しかし作り自体はしっかりしている・・・。」

 

「バレバレの偽造をしっかり作ってる・・・?

 意味わかんねぇな。おい。」

 

「なんだ? 来栖。」

 

名前を強調して言う。

 

「ただのコスプレ野郎なら、燃やす。それ以外に

 理由があってここにいるなら、吐け。じゃなきゃ

 燃やす。」

 

ロウの胸倉をつかむ。

 

「・・・魔法使いじゃないのに、ここにいる

 理由なんて・・・・。」

 

「・・・仕方ねぇ。ちょっとじっとしてろ。」

 

そう言って、ロウは静かに目を閉じる。

 

「きゃ!?」

 

「な、なんだ! ・・・え?

 なんだ、今の・・・」

 

「これが俺の能力だ。」

 

「・・・ほんの少しだけど・・・なにか・・・

 も、もしかして・・・魔力が回復した?」

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