グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「もしかして・・・魔力が回復した?」
「・・・・・・。」
焔は手のひらに炎を出現させる。
「ワケわかんねぇ・・・だが、気のせいとか
じゃねぇ・・・。アンタ、魔力を回復させることが
できるのかよ!」
焔はロウの胸倉をつかむ。
「正確には魔力を渡すんだがな。そして、俺の
魔力量は全魔法使いに行きわたるくらいはある。
その代わり、ほとんど魔法は使えないけどな。」
「なんだよそれ、ギャグみてぇな話じゃねぇか。
んな都合のいい力を持ってるヤツがこのタイミングで
現れるなんてよ。」
「・・・た、確かに都合が良すぎます。でもこの力、
邪魔するには不向きなのは確か。共生派や
テロリストの可能性は低くなったかも・・・。」
萌木はしばらく考え込む。
「・・・・・それでも、安全だとは言い切れません。
水無月さん・・・生徒会長が言ってました。」
「水無月?」
あいつ、この時点で生徒会長だったか・・・。
「
あったら報告するように、と。」
「するワケねえだろ。今コイツを連れてったら、
この戦いの間は解放されねぇ。なんにしたって
怪しいんだ。便利だから使うとはならねえだろ。」
「あ、当たり前じゃないですか・・・せめて
身元を確認しないと・・・。」
「だがな、コイツの力は今ここで必要なんだ。
この第7次侵攻でな。取り調べなんてちんたら
待ってらんねえんだよ。」
ロウをちらっと見る。
「・・・ちょ、ちょっと来栖さん、まさか・・・!」
萌木には焔の考えが分かった。
「ああ、コイツは通報しねえ。させねえ。
このままアタシに付き合ってもらう。」
こいつの正確じゃ、そうなるか。まあ、
都合がいいけどな・・・。
「コイツの力を使って、アタシが前線の
魔物を一匹残らず灰にしてやる。だが、
その前に・・・アンタ。」
「ん?」
「戦闘服に変身しろ。その制服は目立つ。」
「来栖さん!」
「どうせ前線に行けばコイツは目立つ。戦いが
終わればすぐ見つかる。今のうちに、アタシは
コイツを使って、討伐数を稼ぐぜ。」
ロウは戦闘服になる。
「そんな勝手に! そもそもこの人、魔法が
ほとんど使えないんですよ!戦場で身も
守れないのに・・・・」
「問題ねぇよ。このまま前線に出る。」
てか、一度出たしな・・・。
「こっちにもいろいろあるんだよ。」
「・・・あんたの目的には興味はねぇ。アタシに
魔力をよこせばいい。近くにいる場合は
守ってやる。ギブアンドテイクだ。それが
一番後腐れがねーからな。・・・見てろよ、
メアリーの奴・・・・。」
ロウが来る前
「・・・・ん?」
「ん・・・・よぉ、来栖。」
メアリーは軽く手をあげる。
「ああ、あんたか・・・。」
「どうよ、精鋭部隊やめて、なにか変わったか?」
「変わってねえよ。アタシにとって、精鋭部隊は
どうでもよかったってことだ。」
「・・・だろうな。テメーは1人である程度の
成果を上げてきたからな。・・・悪かった。
本当ならテメーこそケアしないとダメだったんだな。」
「はぁ? 何言ってんだ、あんた。」
メアリーをにらみつける。
「もうアタイはテメーの上司じゃねぇが、
1つ言わせろ。精鋭部隊から出たら出たで、仲間は
いずれ必要だ。孤立すんなよ。前線じゃ、
そういうヤツから死んでいくんだ。」
「・・・・好きに言ってろ。この戦いで
証明してやるよ。あんたのやり方よりも、
アタシの方が効率がいいってな。」
そう言って、メアリーの前から消える。
「・・・ありゃあ・・・マズイな・・・。」
メアリーのこの言葉は焔に届いていなかった。
「・・・来栖? どうした?」
「! ・・・なんでもねぇよ。」
「まあ、いい。とにかくここは、協力しよう。
お前も傷の魔物を倒すまで死にたくねぇだろ。」
「・・・・な・・・!?」
焔の目は大きく開く。
「・・・すべてを話す。」
「・・・・・。」
萌木はじっとロウを見る。
「・・・俺は、もう1つの世界から来た。
グリモアの学園生だ。」
「・・・・い、今・・・なんて・・・」
「バカ野郎! マトモに付き合ってどうすんだ!
・・・バカにしやがって・・・だけど・・・
なんで知ってんだ! 傷の魔物を!」
「じゃあ・・・私のことも・・・。」
「もちろんだ。図書委員で、おとぎ話が
好きで、誕生日は・・・・」
萌木について、いろいろ話す。
「・・・・・・。」
「調べて分かることじゃねぇ・・・。誰にも
言ってねえんだぞ!」
焔はロウの手をつかむ。
「もうあんたはしゃべんな! 調子が狂うんだよ!
黙ってついて来い! そんで、前線で魔力を
よこせ!」
「だめ! 絶対にだめ! 連れて行ったらだめ!」
萌木は2人の前に立ちふさがる。
「こんなことを言う人を、そのまま連れて
いける訳ないでしょう!? 生徒会長に
引き渡します! この人の言うことが本当なら・・・」
「霧塚は信じるのかよ! なんてほざいたか
もう一度言ってやろうか! もう1つの世界だぞ!?
んなアホなことがあるかよ!」
「確かに辻褄は合う・・・。私たちのことを知って
いるのも・・・今が第7次侵攻だって知らなかったのも
それを理解する早さも・・・学園のパーソナリティを
知ってるのも・・・こんな力を持っているのに、
誰にも知られていなかったのも・・・・・!」
「そりゃつじつまが合うように言ってるだけだ!
でたらめだ! おい、あんた、いったい何がしてえんだよ!」
ロウの体を何度も揺らす。
「アタシたちを助けたいなら、水無月のところに
行くのはダメだ! アイツにそんな話してみろ。
一発で拘束されて取り調べだ! 簡単に解放
されると思うなよ・・・!」
「そう、そう・・・信じられる訳がない。そんなの、
お話の中だけのことです。・・・現実は・・・
もっと残酷・・・。」
萌木の顔が暗くなっていく。
「私たちに逃げる場所なんて、ない・・・。」
「・・・ちっ。こうなったらあんた!
今のうちに来い! 霧塚がショック受けてるうちに
行っちまうぞ!」
「・・・・ああ、そうだな。」
「あ・・・ま、まって! 待って! だめ、
連れて行ったら・・・!」
2人は前線に向かうが、萌木は追いかける。
「くそ・・・。だがアイツはそう簡単に
動けねえ立場だ。このまま前線に出ちまえば、
追ってこれねえ。いいな! ・・・・・!?」
「ん・・・なんだ、来栖か。」
「・・・与那嶺?」
こいつも戦闘服が違うな・・・。
「お前、まだ休憩中だろ? そんな急いで
どこに行くんだ?」
「いやなところで・・・!」
「・・・ん? 誰だ、そいつ。見ない顔だな。
まさかこんな時に転校生か?」
「り、リナちゃん! その2人を通さないで!」
萌木の大きな声が聞こえる。
「・・・ああ。最近来たんだ。」
「手が足りねえからアタシが戦いを教える
ことになったんだよ。」
「ふーん・・・そっか。来栖・・・お前、
嘘つきだな。」
里菜は焔をキッとにらんだ。