グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「な、なんですか!?」
「・・・・・!」
「地震か!?」
「い、いえ、これは・・・あなたが、
現れたときの・・・!」
・・・ここで・・・ここで戻るってのか・・・?
ロウは萌木たちを見る。
「・・・戻ってしまうんですか・・・? 私たちを
ここに残して、戻ってしまうんですか!?」
萌木は声を荒げる。
「萌木、やめろ!」
「・・・わかってた。アタシたちは、ここで
死ぬ。だから、協力しようとしたんだろ?」
「・・・ま、まさか・・・。」
「・・・ああ、本当だ・・・。お前らは、
この侵攻で、死ぬ。」
ためらいながらもロウは
事実を伝えた。
「・・・そうだったんですね・・・。」
ソフィアはゆっくりと目を閉じる。
「・・・萌木さんと与那嶺さんは、逃げて
ください。2人で大丈夫ですから。」
「・・・・・・・。」
「来栖さんも、先に言ってくれれば・・・。」
「アタシは死ぬつもりはねえ。今から
全力でぶち込んで温泉までの穴を開けてやる。」
手に炎を作り出す。
「・・・あの・・・」
「ん?」
「そちらの世界の私に・・・1つだけ伝えて
ください・・・。」
萌木の声は震えていた。
「・・・ああ、わかった。言ってくれ。」
「あなたの、知識を惜しんではいけないと。私は
理論立てて考えたから、間に合いませんでした。
でも・・・あなたの知識を、水平思考で活用
したら・・・思いもよらぬ答えが・・・。」
「・・・ほんの少しでしたが、さよなら、です。
あちらのワタシによろしくと言っておいて
ください。」
その瞬間、ロウは霧の嵐に飲み込まれた。
霧の嵐
「・・・・! これは・・・!」
・・・あの時と・・・同じ・・・。
ロウの頭の中に、映像が流れ込む。
「・・・・・・・。」
ソフィアが頭から血を流す姿。
萌木が魔物の攻撃を受ける姿。
焔が力尽き、地面に倒れる姿。
里菜が起きないまま、水面に浮かぶ姿。
「くそ・・・・!! くそぉ・・・!!!」
ロウの意識はそこで途切れた。
学園
校門前
「・・・・う・・・こ、こは・・・?」
頭を押さえ、ゆっくりと起き上がる。
「・・・戻ってきたのか・・・。・・・!!」
表世界だと確認すると、ロウは
一気に駆け出す。
「あ、ロウさーん! 探してたんですよー!」
ソフィアが呼びかけるが、ロウは
そのまま校舎に入っていく。
「・・・ロウ、さん?」
「・・・なんだ、アイツ・・・どこ行くんだ?」
萌木は不安な顔をし、里菜は
首をかしげる。
校舎に入ると、ロウは焔とすれ違う。
「・・・・なんて顔してんだよ・・・・。」
そして、ロウは勢いよくある部屋の
ドアを開ける。
「・・・・・んん?」
ロウが来たのは報道部部室だった。
「やあ、ロウ君。夏海ならもう・・・」
「そんなことはどうでもいい。話がある。」
「・・・ずいぶんと、重要な話
みたいだね?」
ロウの顔から鳴子は何かを察する。
数日後
学園
「・・・ってわけだ。」
ロウは報道部部室で、自分の過去を
夏海に話していた。
「ふぅ・・・にしても、あんた、
結構ためこんでたのね~。」
「・・・そうなるな。」
「まあ、それより・・・。」
顔をロウに近づける。
「? なんだ?」
「あんた、今回のこと、ちゃんとみんなに
謝った?」
「・・・・・そういやそうだった・・・!」
うなだれ、頭を抱える。
「やっぱり。」
「とはいっても何すればいいんだ? 自分で
言うのもなんだが、結構迷惑かけたぞ?」
「まあ、そりゃねぇ~。・・・!」
夏海は何かをひらめいた。
「ねえ、ロウ。ここはあたしの提案に乗るって
いうのはどう?」
「お前の提案・・・・?」
夏海を怪しんだ目でじーっと見る。
「か、簡単なことだから! ね!」
「・・・・まあ、一応聞いてはやろう。」
「なんで上からなのよ・・・。まあいいわ。
耳貸して。」
「・・・・。」
耳を近づける。
「こうすんのよ。まず・・・・・・・」
廊下
「あ、ダーリーン!」
「よっ。」
ロウは軽く手をあげ、香ノ葉は
勢いよく抱き着く。
「やっと会えたでぇ・・・!」
「・・・あの時は、心配かけたな。香ノ葉。」
「うん、本当にさみし・・・・・え?」
ふと顔を上げる。
「? どうした、香ノ葉。」
「い、いいいい今な、な、名前・・・。」
「ん、ああ、これか。いや何、今回のことで
いろいろと迷惑かけたからな。俺自身も
少しはいろいろ変えようと思ってな・・・。」
「~~~~!!」
香ノ葉はその場でぴょんぴょんと跳ねる。
「・・・大丈夫か? 香ノ葉。」
「はうぅ!?」
ばたりと倒れる。
「え、ちょ、おい!? しっかりしろ!
・・・なんなんだ? やっぱり失敗か・・・?」
保健室
「おーい、開けてくれー。」
ロウは足でドアをコンコンとつつく。
「あ、ロウ君。って、白藤さん!?」
顔をかなり赤くした香ノ葉が
ぐったりとしていた。
「いや、話してたらこうなってな・・・。
ベッド、空いてるか?」
「あ、うん・・・。」
「よっと・・・。」
香ノ葉をベッドに寝かせる。
「それにしても、なにしたの? ロウ君。」
「何もしてねえよ。名前呼びに変えたくらいだ。」
「・・・名前呼び? あ、だからか・・・。」
ゆかりはうんうんと頷く。
「?」
「ロウ君、それって誰かの提案?」
「よくわかったな。きし・・・夏海だ。」
一瞬、名字で言いかける。
「う~ん・・・・・。」
ゆかりは頭を抱える。
「どうした?」
「えっとね、ロウ君。」
ロウの肩をつかむ。
「名前呼びはいいと思うんだけど・・・
その、なんていうか・・・」
「? なんだ、ゆかり。」
「・・・・///」
顔を赤くし、下を向く。
「・・・?」
「///・・・あ、えと、や、やっぱり、
なんでもない。」
「そうか。んじゃあ、俺もう行くぞ。」
そう言って、ロウは保健室から
出て行った。
深夜
廊下
「くそ・・・教室にデバイス置いて
帰るとは・・・。」
置いてきてしまったデバイスを取りに
ロウはぶつぶつ言いながら歩いていた。
「・・・ん?」
後ろに気配を感じ、振り返る。
「・・・なんだ、純か。」
見えたのは、歩く純の姿だった。
そして、教室のドアを開ける。
「・・・・・・。」
「あ、ロウじゃん。アンタも忘れ物?」
「・・・んん?」
ロウの前に、なぜかさっき後ろにいた
純が教室にいた。
「どしたの、ロウ?」
「いや、お前さっき俺の後ろにいなかったか?」
「え? あたしはさっきここに来たんだけど。」
「・・・・・そうか・・・。」
・・・じゃあ、あれはいったい・・・?