グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
自由と買い物を終えたロウは
寮に戻ろうとしていた。
「ああ、そこのアンタさん、
ちょっといいですか?」
「ん?」
ロウに声をかけたのは
風紀委員の腕章をした金髪の
ツインテールの女子生徒だった。
「どーもどーも、風紀委員長の
水無月風子です。」
「風紀委員・・・?」
そういえば、そんな奴に
会ったことあるような・・・。
「アンタさんが噂の転校生でしたね?
交友関係が乱れているという・・・。」
「? 何の話だ?」
「いえいえ、氷川から話を聞いて
来たんですが、あれは少し
厳しすぎる傾向にありましてね。」
「・・・ああ、あいつか!」
氷川という人物に合点がいった。
「その節は失礼しましたね。今日は
これを言いに来ただけです。」
「ああ、そうか・・・・。」
「まあ、うちも明らかな違反を見つけた場合は
・・・どんな手を使ってでも懲罰房に
入れるので。」
にっこりと笑う。
おっかない奴だな・・・。
「ああ、あと、生徒会副会長が
呼んでましたよ。」
「副会長? どこに行けばいいんだ?」
「生徒会室にいますよ。では、
これから巡回なので、これで失礼します。」
スタスタと歩いて行った。
<ロウ、移動中>
言われた通り、ロウは
生徒会室に入る。
「失礼しますっと。」
「あら、どうも。」
すでに白い制服の生徒が座っていた。
「あんたが副会長か?」
「ええ、生徒会副会長の
水瀬薫子といいます。」
にこりと笑い、手を差し伸べる。
「・・相田ロウだ。」
互いに握手を交わす。
「で、何の用で呼んだんだ?」
「いえ、少しお話をしたかっただけです。」
「話? 何話せばいいんだ?」
「もちろん、あなたのことを・・・ね?」
妙に怪しいな・・・。
「ロウさん、あなたに、夢はありますか?」
「唐突だな。」
「私はともかく、会長には大きな夢があるのです。」
「・・・会長に?」
それは気になるな。
「皆の平等な、新たな国を作る。それが
虎千代の目指すものです。」
「・・ふっ。」
馬鹿馬鹿しい。
「あら、おかしいですか?」
「少なくとも、俺の夢とは相容れないな。」
「・・では、あなたの夢、とは・・・?」
「・・・今ここで語る気はないな。」
生徒会室を出ようとする。
「そうですか、それは残念ですわ。
よければ、あなたを生徒会に引き入れようと
思いましたのに。」
「それは当てが外れたな。俺はもう
そういう風に組織みたいなのに入る気はない。」
そう言って、ロウは
生徒会室を出た。
「そう、もう二度と・・・・。」
ロウの顔は少し険しくなっていた。
翌日
屋上
サングラスを外し、ロウは
たそがれていた。
「・・・・。」
ボーッと空を眺めている。
「・・・・。」
「あ、ロウさん!」
屋上に来た智花が
ロウに声をかける。
「・・・・。」
「ロウさん?」
「! おお、南か。いつ来た?」
「ついさっきですけど・・・。」
全然気づかなかった。
「ロウさんは何をしてたんですか?」
「・・少し、昔のことを思い出していた。」
「昔・・・ですか? 昔は、
どんな人だったんですか?」
「ふっ、語るほど大それた人間
じゃねえよ。」
サングラスをかける。
「それにペラペラ話せるような
もんじゃねえしな。」
小さい声でつぶやいた。
「え?」
「いや、なんでもない。気にするな。」
そのとき、屋上のドアが
勢いよく開かれる。
「あー! やっと見つけたっすよー!」
「ん? 小鳥遊か。どうした?」
「話してる時間はないっす!
ちょっと来てください!!」
そう言うと自由は
ロウを思い切り引っ張って
連れていく。
「え、ちょっと、自由ちゃん!?」
「うおっ!?」
<ロウ、自由、移動中>
噴水前
「お嬢ー! 連れてきましたよー!」
「お嬢?」
お嬢と呼ばれた人物は
金髪をロールにした生徒だ。
「うちの主、野薔薇姫っす!」
「野薔薇姫です。以後お見知りおきを・・・と
言いたいところですが、今はそれどころでは
ありません!」
「なんかあったのか?」
「魔物が出現したのです! それも・・・
私が大事にしている薔薇園に!」
「学園内に魔物だと? 今までにも
あるのか?」
「ええ、でもそれは侵攻が起こる
前兆とされてます。ですが、今は
私の薔薇園を守るため、その力を
貸してください!」
「・・ああ、わかった!」
サングラスをくいっとあげる。
「あれ、お嬢、そういえば刀子先輩は?」
「待ちきれずに先に行きましたわ。
自由、クエストの申請は?」
「すでにしといたっすよ。」
「なら、俺は準備でき次第、
すぐに向かう。」
デバイスを取り出し、クエストを受けた後、
寮に武器を取りに行った。
「さあて、いっちょいくか。」