グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
ロウたちは梅のところに戻った。
「・・・霧がないと魔法が使えない・・・ですかぁ?」
「ええ。グリモアには宍戸さんがいるから、
わかってたんじゃないの? ここ数年の研究で判明して
きたことよ。魔法は霧の一形態。本質的には
魔法と魔物は同じよ。」
「ま、待ってください・・・え? ま、魔法が
魔物と同じ?」
智花は戸惑いを隠せない。
「みんな教えられてないの? 仕方ないわね・・・
でも後で。戦闘にかかわる部分は教えておく。
今の魔法って普段の数分の一の威力くらい?
それが本来の威力よ。」
「・・・・・。」
「私たちは魔法を使う際に、大気中に蔓延している
『霧』を消費しているの。」
「つまり、本来は威力のない魔法を霧で
威力を上げているのか?」
「そう。威力は、厳密には魔力と霧の掛け算で
決まる。消費できる魔力量が違うだけで、威力は
大幅に変わる。だから、彼のそばを離れないでね。」
ロウを指さす。
「ゴリ押しでいつも通りの威力を発揮することが
できるから。撃ち疲れにも気を付けるように。」
<ロウたち、移動中>
「サトナカ、ここからネテスハイムはグリモアと
別行動だ。」
「ああ、もうそったら奥まできてたっきゃ?」
「そうだ。ここにキャンプを設置し、手分けして
調査することになる。だが先ほどのワガツマの
話を聞くと・・・」
周りのロウたちを見る。
「探索も慎重にならざるをえんな。私はともかく
魔法が使えないのは思った以上に辛い。」
「わかったべ。」
「また会おう。こちらもなにがしか見つける。」
レティシアはほかのネテスハイム生と
合流した。
「・・・さてと・・・」
「シロー、なんだか不思議ですねぇ~。」
『わんわん! わん!』
同意するように、シローは鳴く。
「とってもきれいなところなんですけど・・・
とっても、さびしいです。なんででしょうかぁ?」
『わん!』
シローはさらとは別方向に
駆け出す。
「え? そっちですかぁ? わわ、シロー!」
急に勢いよく走り出したシローを
抱え上げる。
「もー。シロー、ダメですよ、急に走り出したら。
怖い魔物さんがいるんですから。」
『ぎゃん! わん!』
「シローが守ってくれるんですかぁ? えへへ、
うれしいですぅ。でも無茶しちゃダメですよ。
シローがおけがすると、わたしが悲しいですから。」
ふと、さらはある木を見る。
「あれ? この木・・・。」
「ちっちゃな冒険家さん。なにしてんの?」
梅がのぞきこむ。
「あ、この木なんですけど・・・」
「木がどうかしたの? ・・・・ん、変ね。
もしかして他の木も?」
「・・・ここの獣、なに食って生きてんだ?」
「どういうことでしょうか? これだけ自然に
溢れているのですから・・・木の実やほかの獣など
食べるのには困らなさそうですが。」
シャルロットは木に触る。
「一番大事な木の実がねえんだ。見ろ。その辺の
草花でも低木でもいいすけ。」
「・・・確かにそうだな。」
「実のなっているものは1つもありませんね。」
「んだ。植物に詳しいわけじゃねぇけど・・・
木の実は食物連鎖に必要なものだすけ。栄養あるし
逃げねえ。・・・例えばここまで木だらけになったら
種なんていらねえってなるか?」
「そこまでわかるかよ・・・。詳しい奴は
いねえしな・・・。姫でもいれば・・・。」
「とりあえず記録しておくすけ。帰ったら
報告するべ。ここもやっぱり・・・ただじゃ
すまなそうだべ。」
<ロウたち、移動中>
「・・・なんだぁ? これまでとちょっと
違うべ。」
「・・・!」
ロウが違和感の正体に気づく。
「ビルの根元が木に覆われていないな。
中に入れる。」
「んだんだ。それと・・・あれ見ろ。」
ある場所を指さす。
「鉄くずが山になってるべ。もしかして、人が
住んでたんじゃねえか?」
「その可能性はありますね。何年前かは
わかりませんが。・・・皆さんを呼んできます。」
「おらとロウはレナを探すすけ。そこまで
遠くさ行ってはねぇべ。」
「少し前まで一緒だったんだがな。急に
いなくなっててな。」
いつの間にどこ行ったんだか・・・。
「うぅ~・・・レナ、しるしてる。」
レナは周りをきょろきょろと見ている。
「レナ。探したぞ。ったく、ずいぶん深く
入っちまった・・・。」
「かりん、ろー! レナ、しるしてる!
ちょーろ! ちょーろう!」
「・・・ちょーろ?」
「ちょーろう! あっち、ちょーろう!
いく!」
レナは勢いよく走っていく。
「あ・・・レナ、様子がおかしいな。」
「ここを知ってるのか? さっきから
知ってるっつってるし。」
「でもどうして・・・。とにかく行ってみるべ。」
2人はレナのあとを追いかける。
「レナ、どうしたんだ?」
「ちょーろう! ちょーろう!」
「かなりでかい木だな。今までよりも
一際大きい。」
ロウはレナが示した木を見上げる。
「ちょーろう・・・長老? レナ、この木
長老って言うべか?」
「みないうしてる! ちょーろう! あっち
あっち!」
「長老・・・でけぇ木のこと長老って呼んでて、
それがここにあって・・・」
花梨はしばらく考え込む。
「・・・なあ、ロウ。」
「ん?」
「おら、ちょっと思ったんだけどね。さっきから
レナの言ってること考えると・・・」
花梨が話す途中、レナが木の穴の中に
入ろうとする。
「レナ! 穴さ入ったら危ないど!」
「レナ、ちっちゃレナ、ねむねむ。」
目をこすりながら、穴の中に
入ろうとする。
「うんしょ・・・うんしょ・・・レナ、
ちっちゃレナない、入らない?」
穴が小さくて、レナの体が入らなかった。
「レナ、この木のことを教えてくれ。」
「えっと、ちっちゃレナ、ねむねむ!
みな、レナといっしょ、ねむねむ!」
「みな・・・そのみなって、あんたの
母親のことか?」
「ない! レナはは、ここない! みな、ニンゲン!
レナ、たくさんニンゲン!」
「・・・ここにたくさんの人間がいて・・・
レナもここにいた・・・?」