グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第208話 薫子の考え

「こっちがシャケ、こっちがメンタイ・・・

 おっわりぃ!」

 

「・・・ふぅ。やっと陳列は終わりですわね・・・。

 長い道のりでしたわ。ありがとうございます。

 李さんにも手伝っていただいて・・・。」

 

丁寧に頭を下げる。

 

「いいのヨいいのヨ。困ったときは

 お互いさまネ。」

 

「しかしこんなに人に頼ってしまうなんて、

 完璧とは程遠い。もっともっと頑張らねば。

 それができないのなら、私は・・・ロウさんを

 野薔薇にお迎えする資格がありません。」

 

「ンン? ヒメ、アナタまだロウを婿にするとか

 言ってるのカ?!」

 

「まだ、とは? 私は冗談で言っているわけでは

 ありませんよ。」

 

軽く首をかしげる。

 

「え~、ダメヨ! ロウはアナタ1人の物では

 ないネ。それにワタシがお店を出したら、ロウは

 従業員として中国に・・・」

 

「・・・あの、みなさん。マスコミが来ていますから、

 そういった話題は控えて・・・控えてください。」

 

「・・・うぐ。」

 

絢香は遠くで3人の会話を聞いていた。

 

「李さんが反対するのはわかるけど、ふ、

 副会長まで? ロウ君が野薔薇に入ると

 何か面倒なことがあるのかしら。

 ・・・いやぁ、わかっちゃいたけど。

 モテモテよねぇ、ほんと。」

 

ロウののんきそうな顔が頭に浮かぶ。

 

「ここまで引っ張りだこなのに、アイツったら・・・

 もうちょっとはっきりしてもいいのにねぇ。

 ・・・なーんか、腹立ってきたなぁ・・・。」

 

 

 

 

 

そのころ

 

バックヤード

 

「・・・へっくし!」

 

ロウは静かに休んでいた。

 

 

 

 

 

1時間後

 

「あ~・・・すっかり寝ちまってた・・・。」

 

頭を掻きながら、ロウは

バックヤードから出てくる。

 

「ハイ、饅頭ヨ! ハイ、どーぞ!

 ・・・あ、ロウ!」

 

「ん、小蓮・・・。饅頭か?」

 

「ふかしたてだヨ。食うカ? 食うよナ?」

 

「んじゃあ、1個もらうか。」

 

饅頭を手に取り、食べる。

 

「よーし、食ったナ! じゃあついでに

 ワタシの手伝いするヨロシ。」

 

「お、お待ちください! ロウさんは

 私と・・・」

 

「少年ー! そろそろ妾に構えー!」

 

「む、すまん。こちらにも少し人手を・・・」

 

「すっすす、すみません! ロウさんに

 頼ろうとしてすみませえぇん!」

 

「・・・・・。」

 

薫子は静かに様子を見ていた。

 

「・・・さて、今日中に進展させるには・・・

 どうしましょうか。」

 

「・・・!? い、今のって副会長の・・・?

 うわ・・・えぇ・・・そ、そこまでして・・・?

 嘘でしょ・・・?」

 

絢香は薫子の心の声を聞いてしまう。

 

「ん、んんん・・・最終手段だとしても、

 それは・・・目的があるとはいえ、

 副会長がそこまでして・・・」

 

あまりの内容だったのか驚きを

隠せない。

 

「ロウ君を手に入れようなんて、おかしいよ・・・。」

 

ピピピピ!

 

絢香のデバイスが鳴る。

 

「は、はい、絢香です・・・え? 取材?

 ええっとおぉ・・・今ちょーっと現場の手が

 足りないのですが・・・。わ、わかりました。

 すぐ行きます!」

 

電話を切る。

 

「ど、どうしよう・・・。」

 

「アヤカー! 饅頭食べないカ? ふかしたてー!」

 

「李さん! ちょうどいいところに!」

 

顔を李の耳に近づける。

 

「あのね・・・ごにょごにょ・・・」

 

「ああ! そうそう、ワタシもロウ、

 元気ないと思ってたネ。わかった、任せてヨ。

 1人にしないようにするヨ。隙あらばこの

 饅頭いっぱい食べさせて元気出してもらうネ!」

 

「うん、お願いね!」

 

 

 

 

 

 

「南さんの魔法は、あと1年もつかどうか。

 私たちが今確実にできること。それはグリモワール

 学園の持つポテンシャルを・・・最大限に

 生かし、成長させ来るべき時に備える。

 そのために・・・・」

 

薫子はほかの生徒と話すロウを見る。

 

「ロウさんの存在は必要不可欠。ですが、彼には

 しがらみが多すぎる。いざというときに私たちと

 戦えない。絶対にそんなことがあってはいけません。

 まずは彼自ら、無理のない形で協力してもらう

 ことが第一。」

 

さらにロウをじっと見る。

 

「ロウさんの予定は今後もびっしり埋まって

 ますし・・・なんとか今日で一気に進展

 させたいものですが・・・。」

 

そう言った後、ロウに近づく。

 

「ああ、ロウさん。ちょうどいいところに。」

 

「副会長。どうした。」

 

「これから私と一緒に・・・」

 

「いたー! ロウー!」

 

小蓮が駆け寄ってくる。

 

「さっきワタシのふかした饅頭、持ってきて

 やったヨ! ささ、召し上がれ!」

 

「いや、さっき食ったろ。」

 

「いいからいいから。」

 

「あ、ああ・・・。」

 

言われるがまま、饅頭をほおばる。

 

「り、李さん・・・。」

 

「お? フクカイチョも食べるカ?」

 

「いえ、私は・・・今は勤務中ですので。」

 

「真面目ネ。ロウは饅頭食べたナ? お礼に

 これからワタシの仕事手伝うネ!」

 

ロウの腕をぐいぐいと引っ張る。

 

「え? あ、あの・・・」

 

「行こ行こ! 嫌だとは言わせないネー!」

 

「ったく、あんま引っ張るな・・・。」

 

そう言って、ロウを連れていく。

 

「ああ・・・これは・・・油断しましたね・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「にしても、今日はなんでこんなに

 気をつかわれてんだ?」

 

眠そうな顔で頭を掻く。

 

「ロウさん。」

 

「ん、ああ。副会長か。また会ったな。

 にしても、さっきは話の途中で悪かったな。」

 

「いいえ。学園生みんなに頼られる、それでこそ

 ロウさんです。」

 

「なんだそれ。」

 

「私としては、そんなあなたが生徒会に

 来てくれれば・・・」

 

「アイヤー! どこ行ったかと思ったラ、

 ここだったのネ!」

 

先ほどと同じように小蓮が

駆け寄ってくる。

 

「・・・李さん。」

 

「アイヤ! またフクカイチョ! どーなってるネ!」

 

「たまたま話してただけだ。」

 

「・・・そうだったカ。ふぅん・・・。」

 

小蓮は薫子をじっと見る。

 

「・・・な~んか、変ネ?」

 

「・・・変とは、何がですか?」

 

「ワタシの勘がいってる! 美女に

 気をつけヨ、と! いつもアナタ、カイチョに

 ベッタリなのに・・・今度はロウ、カ?

 なに企んでるノヨ?」

 

「・・・いやですわ、企んでるなんて・・・。」

 

2人はじっとお互いを見る。

 

「・・・フフフ。」

 

小蓮が笑い始める。

 

「なーんてナ! まあ、ここにはカイチョは

 いないからナ! ロウも頼れなくはないガ・・・

 カイチョに比べるとまだまだヨ!」

 

「言ってくれるな。」

 

「・・・・・・。」

 

2人の様子を見て、少し離れる。

 

「・・・何を企んでいるか、ですか・・・。」

 

小蓮の言葉を思い出す。

 

「私としたことが少し、ヒヤッとして

 しまいました・・・。」

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