グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第210話 落とし穴

学園

 

廊下

 

「ったく・・・またクエストか・・・。」

 

朝からのクエストのため、

めんどくさそうにあくびをする。

 

「・・・ん?」

 

前から秋穂が歩いてくる。

 

「・・・あ、先輩! おはようございます!」

 

「ああ、おはよう。」

 

軽く挨拶をし、すれ違う。

 

「・・・・・ん?」

 

秋穂の後ろ姿を見た後、

周りをきょろきょろと見る。

 

「・・・あいつ、いないのか・・・?」

 

気配がない・・・うまく隠れるように・・・?

いや、それよりなにか・・・・

 

小さな疑問を持ったまま、

ロウは歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

噴水前

 

「ええ? それホント?」

 

「本当です。確かにお会いして、教室に

 向かってたんですけれど・・・途中で

 やっぱり大丈夫、という話になって

 お別れしました。」

 

「ええー・・・こわ。」

 

純の顔が青ざめる。

 

「とりあえず精霊さんを・・・ここと

 ここで・・・」

 

2人の横で香ノ葉は梅に言われたように

精霊を配置していく。

 

「学園全部は見れへんから、できるだけ

 カバーできるところを・・・」

 

「あ、白藤! アンタ、あの時学園に

 いなかったってマジで?」

 

香ノ葉の肩をたたく。

 

「あの時・・・? ああ、だってウチ、

 純ちゃんに送ってもらったやん。そのまま

 寝てしもうたから、学園には行ってへんて。

 もあっとでも言ったやろ?」

 

「嘘・・・・。」

 

「じゃあ、私がお会いしたのも・・・。」

 

2人の顔が引きつる。

 

「・・・前にな、一度幽霊騒ぎっぽいことが

 あった気がするんよね・・・なんやったけ・・・。」

 

「はぁ~、今日も授業かぁ~。」

 

千佳がとぼとぼと歩いてくる。

 

「千佳ちゃん・・・そうや、千佳ちゃんから

 聞いたんよ!」

 

「・・・何の話?」

 

 

 

<香ノ葉、説明中>

 

 

 

「・・・幽霊? あー、あれか。あれね。

 えっと、肝試しの時。もうすっごい前の

 話じゃん。よく覚えてたわ。」

 

「その肝試しの話、教えてよ。どんな

 だったの?」

 

「え? っていっても、うちもそんなに・・・」

 

しばらくう~ん・・・と

うなっていると

 

「・・・・あ、そうそう! 瑠璃川妹がね、

 霊感持ってるの!」

 

「・・・瑠璃川・・・。」

 

「瑠璃川秋穂さんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、ここですか?」

 

千佳たちは秋穂を連れ、

廊下に来ていた。

 

「でも私、幽霊見えたりは・・・

 そんなことありましたっけ。」

 

「ねえ、ホントの話なの?」

 

純は小さい声で千佳に聞く。

 

「だから自覚がないんだって。逆に

 本物っぽいっしょ? どう? なにか

 見えない?」

 

「うーん・・・別に、何も見えませんよ?」

 

「もしかして・・・移動したとかある?」

 

「ねえ、間宮。あんまり引っ張っても

 しょうがないよ、これ。」

 

「だ、だって怖いじゃん! 学園に

 ユーレイがいるとか! あの時だって

 しばらく1人でトイレいけなかったんだから!」

 

千佳は小さくため息をつく。

 

「先生に相談してみよっかな・・・あ、

 ごめんね瑠璃川。ありがと。」

 

「・・・もうちょっと、みまわって

 みましょうか。」

 

「え?」

 

「わたしが何か見えるっていうのはよく

 わかりませんけど・・・もしかしたら

 間宮先輩の言う通り、移動しちゃったかも

 しれません。見たらわかるんですよね?」

 

「う、うーん・・・ま、せっかくだし、うちも

 ついていくよ。ホントにいたら追い出さないと。」

 

「追い出すって・・・できるの?」

 

秋穂と千佳は別の場所へ探しに行く。

 

「・・・そういや、いないな。妹のこと

 いつも見てるって話しなのに。」

 

「誰が秋穂のこと見てるって?」

 

「ひぃ!? るる、瑠璃川!」

 

春乃が急に現れ、声が上ずる。

 

「答えなさい。あたし以外に、秋穂のこと

 いっつも見てるのは誰?」

 

「ち、違うって。アンタのこと言ったの!」

 

「・・・気になったから見に来たけど・・・」

 

秋穂の後ろ姿をじっと見る。

 

「あれ誰よ。秋穂の格好して。」

 

「・・・・・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ

 

 

ロウは明鈴とクエストに来ていた。

 

「ねえねえ、クエスト始める前にちょっと

 いいかな。」

 

「なんだ?」

 

「ボク考えたんだけど、魔物って人の声を

 追いかけてくるのもいるアル。」

 

「ああ、そんなのもいるな。」

 

軽く頷く。

 

「だからこっちから探すんじゃなくて・・・

 大声を出して、待ち伏せしてみたら

 どうかな?」

 

「・・・・。」

 

ロウはじっと、学園の方向を見ていた。

 

「・・・ロウ?」

 

「・・・ん、ああ、いいんじゃないか?」

 

「うん。もし魔物に耳がついてたら

 きっと引き寄せられてくるのだ。」

 

「ついてればな。・・・! 早速・・・。」

 

2人の前に魔物が一体現れる。

 

「まずは魔物に耳があるか確認するアル!

 はぁ! やぁ!」

 

明鈴が攻撃を仕掛ける。

 

「簡単に言うな・・・。『ROOM』!」

 

青色のサークルを作る。

 

「『タクト』!」

 

近くの石を浮かべ、魔物の顔の

近くで、カチッと音を鳴らす。

 

魔物はそれに反応したのか、

ピクッとなる。

 

「はぁぁ!」

 

明鈴の一撃をくらい、魔物は霧散する。

 

「どう? どう? あった?」

 

「ああ。音に反応したからな。

 まず間違いなくある。」

 

「やったぁ! これで試せるのだ!」

 

飛び上がって喜ぶ。

 

「ボク、頑張って考えたのだ。どうやったら、

 魔物をたくさん倒せるかって。いろんな人に

 聞きに行ったらね、ヤヨイが言ってたアル。」

 

「? ヤヨイ?」

 

「音でひきつけたり、罠を仕掛けてその間に

 逃げちゃうって。」

 

「罠か・・・。」

 

「でも別に逃げなくても、倒しちゃっても

 いいんだよね?」

 

「まあ、そうなるのかもな。」

 

ちらっと、学園がある方向を見る。

 

「やってみてもいいんじゃないか?」

 

「ボクもそのつもりなのだ。ロウ、

 いっしょに魔物に罠を仕掛けるアル!」

 

「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・。」

 

ロウはまた学園のある方向を見る。

 

「ロウ、さっきからどうしたのだ?」

 

「・・・いや、なんか学園で妙な

 ことが起こってるような・・・・・

 そんな予感がな・・・。」

 

「気のせいじゃないかな?」

 

「・・・明鈴、俺はこういう時の自分の勘を

 信じることにしてんだよ。てわけで、

 すぐに終わらせるぞ。」

 

そう言いながら、罠を仕掛け終わる。

 

「へへへ、この落とし穴! こっち側から

 魔物を呼べば・・・。おーい、魔物やーい!」

 

魔物がロウたちの方を向き、

襲い掛かってくる。

 

「これでここに立ってたら、ボクたちを

 見つけた魔物が穴に落ちちゃうアル。」

 

「んじゃあ、あれはどうすんだ?」

 

「え、あれ?」

 

ロウが指した方向には別の魔物が

2人に迫っていた。

 

「アイヤー!」

 

「前のはお前がやれ。後ろのは

 俺がやる。『ROOM』!」

 

「わ、わかったアル!」

 

「『切断(アンビュテート)』!

 

迫っている魔物の近くの

木を切る。

 

「『シャンブルズ』!」

 

切った木と自分の位置を入れ替え、

一気に魔物に近づく。

 

「『カウンターショック』!」

 

指を魔物につけ、電撃を浴びせる。

 

くらった魔物は倒れ、霧散する。

 

「はぁ・・・なんとか倒せたのだ。

 危なかった・・・油断してたアル。」

 

「わかったな? 落とし穴は確かに使えるが

 使い方を間違えればこうなる。」

 

「も、もしかして最初からわかってたアル?」

 

「ああ。エレンから多すぎるくらいに

 戦術叩き込まれたからな。」

 

自分の頭をつつく。

 

「うぅ・・・。こうなったら、帰って

 またヤヨイに話を聞くのだ!」

 

「なら、すぐに戻るぞ。」

 

この胸騒ぎ・・・一体なんだ・・・?

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