グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「次はお月見寺に行くぞ! あそこの空は
清純なる奇蹟の無謬が・・・」
「何を言っておるんじゃ、お主。」
ミナの言葉に冷静に恋が
つっこむ。
「なんでもいい! 前のように星を見るぞ!」
「なんじゃなんじゃ、最近やる気ではないか。
わっちもやぶさかではないが、なにか
あったのか?」
「けいそ生物を探すんだ! 宇宙人を
見つけるぞ!」
目をキラキラと輝かせる。
「・・・ははあ。卯衣と心の話で
興味を持ったか。さっき図書館に行ったのも、
もしや宇宙の本を借りておったのか。」
「ふふふ! 宇宙にはダークマターがあるんだ!
我が最強の魔法使いであるからには、
ダークマターを手に入れるのも当然!」
「そのだーくまたーというのはあれじゃろ。
失敗した料理のことじゃろ。」
恋は頭の中に真っ黒に焦げた
料理を浮かべる。
「以前、わっちが貸した小説に
書いてあったぞ。」
「本物は違うの! ダークマターは
暗黒物質って書くんだぞ!」
「・・・ここも、誰もいません。
行きましょうか。」
近くを通ろうとした秋穂が
急に方向を変える。
「あ、ちょっと待ってよ!」
千佳はそれを追いかける。
「あんこくぶっしつ・・・墨か?」
「・・・・・・・あれ?」
ミナは秋穂をじっと見る。
「ミナ、宇宙が暗いのはもしかして墨が
まかれているから・・・・・ん?
なんじゃその顔。幽霊でも見たか?」
「・・・今、知らない大人の人が・・・」
「大人? 今おったのは瑠璃川と間宮・・・」
噴水前
「えっと、後はこっち・・・」
「・・・。」
歩いていた秋穂は春乃にぶつかる。
「あ、おねえちゃん。どうしたの?」
「!!」
春乃は急に血相を変え、魔法で
攻撃を仕掛ける。
「え・・・?」
秋穂はぎりぎりでそれをかわす。
「はぁ・・・あなた、正気!?」
秋穂の姿が消え、褐色色の
女性の姿になる。
「こんなところで魔法を使おうとするなんて・・・!」
「・・・・・は、はぁ?」
「秋穂に成りすました時点で、アンタは
一線を越えた。目的が何であろうと
許さないわ。こっちは悩んでるってのに・・・
変にかき回さないでくれる。」
手をぽきぽきと鳴らす。
「ちょ、る、瑠璃川じゃ・・・ない!?
どうなってんのよ!」
「成りすましたところで、あたしには
わかる。そして何より・・・風槍の目から
逃げた。」
「・・・か、風槍がどうしたって?」
「・・・ここまでか・・・!」
女性は魔法で目をくらませ、
逃走する。
「待ちなさい!」
屋上
「あ!? 知らん人が映った! え?
瑠璃川さん!?」
香ノ葉はその光景に驚きを隠せない。
「秋穂ちゃんが2人いると思ったら・・・!
あ、やば! 見つけたらすぐに連絡
せんと・・・えっと、ダーリン・・・やなくて!」
デバイスを取りだし、梅に連絡する。
「ロウー! 急ぎ過ぎアルー!」
ロウは明鈴より先を走る。
「さっきも言っただろ。妙なことが
起こってる予感がするって・・・!」
ロウの足はさらに速くなる。
「・・・・!?」
これは・・・殺気!!
刀に手をかける。
「・・・な!?」
「ふん・・・!!」
褐色の肌の女性が学園から
走ってくる。
ロウは横一線に刀を振るが、女性は
それを跳んでかわす。
「ちっ!」
「あなた・・・相田ロウね・・・!」
「ロウ! ・・・誰? 知り合いアル?」
「少なくとも、会うのは初めてだよな?
・・・マーヤー・デーヴィーさんよぉ。」
デーヴィーと呼ばれた女性を
ロウは鋭い目でにらむ。
「久しぶり、マーヤー。」
2人の間に梅が入る。
「・・・会いたかったわよ。」
「梅! あなたもこの学園を見たなら
わかるでしょう!? どれだけ、
彼が危険なのか!」
マーヤーはロウを指さす。
「そう? 私にはとっても楽しい
学園生活に見えたけど?」
「・・・私は、裏世界のような運命はもう
ごめんだわ。」
「・・・裏世界のようなだと? どういうことだ!」
「答える義理はないわ。始祖十家として・・・
すべきことを、する。」
「それ以上言うと、もう私たち・・・・
敵同士になるわよ。」
梅はマーヤーを睨む。
「・・・・・!」
一瞬、悲しそうな顔をする。
「・・・いずれ、いずれわかるわ。
この学園の危険性も・・・その原因である
彼の危険性も・・・私のすることが正しかったと
誰もが気付く日が来る。それで十分。」
「お姉ちゃん・・あ、あれ・・・
デーヴィーさん!? どうしてここに・・・!」
浅梨は駆け寄ろうとするが
「浅梨ちゃん! 待って!」
真理佳が止める。
「何か変だよ!」
「・・・あいつ、始祖十家だったのね・・・。
なんで学園に・・・・。」
「あなた、得意なことが多すぎ。他人に
成りすますのも上手だし。事前の調べもしっかり
してるし、幽霊騒ぎの件から、アドリブも
ばっちり。でもそこにいる子からすると・・・」
春乃をちらっと見る。
「姉妹の絆を侮ったでしょ?」
「まさか、こんなにあっさりばれるなんて
思わなかったわ。でも関係ない。もう十分、
学園の様子は見せてもらった。あなた・・・
あなたよ、相田ロウ。」
マーヤーはロウをにらむ。
「私は、あなたを殺す。人類のために。」
「・・・・・・・。」
「つかさ! 虎千代!」
「!?」
マーヤーに虎千代とつかさの攻撃が
襲う。
「ちぃ・・・!」
「・・・逃げられたか!?」
学生街
「・・・・・。」
マーヤーは学園の方向をじっと見る。
「あれが武田虎千代に生天目つかさ・・・
近接はかなわないわね。この戦力、そして
無尽蔵の魔力を持つ相田ロウ・・・・・。
・・・もっと、早く、気づいていれば・・・。」
「待ちなさい。」
「・・・梅・・・なんだ、気づいてたの。」
「言ったわよね。あの男子を殺すと言った
時点で・・・私とあなたは敵同士よ。」
梅は身構える。
「それはいいけど・・・私に手を出したら、
あなたが世界の敵になるわよ。『始祖十家は
争ってはならない』でしょう?」
「・・・・・・。」
「・・・でもまあ、次に会うとき、私は
殺人者。始祖十家が重大な犯罪を犯した場合は
粛清が認められるわね。」
「もう脅迫罪が成立してるでしょう。」
「個人に対する脅迫は、始祖十家が争うほどの
『重大な犯罪』かしら?」
ピピピ!
梅の携帯が鳴る。
「もしもし、ジェイソン? 今忙しいから・・・
・・・はぁ? 何言ってんのよ! これまで
探して見つからなかったのよ! ここで
マーヤーを逃したら、あの子は・・・!」
体が怒りで震える。
「・・・・! ざっけんな!」
携帯を地面にたたきつける。
「・・・ジェイソンもアイダも来るわ。ここで
逃げても、日本からは逃がさない。」
「覚悟の上よ。私の目的はあの男子1人。
彼に伝えておいて。しばらく猶予をあげる。
その間に・・・最後の学園生活を楽しんで、と。」
「アイダが来たら、もうあなたに隠れるところは
ないのよ。」
「その時が来れば・・・隠れなどしない。
じゃあね。」
そう言い残し、マーヤーは姿を消した。
「・・・・・・くそ!」
学園
「・・・・・。」
明鈴は警戒し、何度も周りを見る。
「もう気配はない。一度学園に戻るぞ。」
「うん・・・。いったい、何が起きたアル?」