グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第212話 マーヤー・デーヴィー

8日後

 

『・・・本日午前10時、埼玉県風飛駅にて

 来日中の始祖十家・・・マーヤー・デーヴィー

 さんが魔物の出現を感知したと討伐に

 着任。出現は未確認ながらも・・・』

 

「・・・・・。」

 

ロウはテレビのニュースを

じっと見ている。

 

『政府はデーヴィーさんの宣言を信頼し、

 付近の住民を避難させる判断を下しました。

 これにより風飛市中心街は無人となり、

 経済活動の悪化が懸念され・・・』

 

テレビのスイッチを切る。

 

「・・・ついに来たか・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

校門前

 

「・・・ロウ君は中?」

 

梅はロウの所在を兎ノ助に尋ねる。

 

「あ、ああ・・・・魔法棟の地下実験場にいる。

 あそこは窓もないからな。」

 

声に戸惑いが見える。

 

「しかし・・・始祖十家がアイツの命を狙ってる

 なんて信じられないというか・・・てゆーか

 意味わかんねーんだよ! 何がどうなってんだ!」

 

「・・・・私だって、わからないよ。どういう

 ロジックで彼女がそこにたどり着いたのか。

 最も慈悲深き、なんて言われてたのにね。」

 

「慈悲深いねぇ・・・会った印象じゃ

 そんなイメージは一切ねえけどな。」

 

「ああ、そうだよな! ・・・・・・・って、え?」

 

梅と兎ノ助は会話に入ってきた

人物を見る。

 

「ろ・・・ロウ君!?」

 

すでに戦闘服のロウを見て、

驚きの声を上げる。

 

「あなた・・・どうして! 浅梨!

 なんで彼がここにいるの!」

 

「あ、あの、それが・・・」

 

「俺を閉じ込めておきたいんなら、

 全身をガッチガチに拘束するんだな。」

 

「・・・・! 伏せろ!」

 

ロウの頭を伏せさせる。

 

足元に攻撃が撃ち込まれる。

 

「・・・・外れた・・・いや、わざとか。

 なんで出てきたのか、聞かせてもらうわよ。」

 

「さっき、あんたが言ってたことを聞くためだ。

 なんで俺を殺そうとするか。俺にはそれを聞く

 権利くらいあるだろ。」

 

「・・・・・。」

 

「てか、おおおい! これ俺たちもヤバいんじゃ

 ねーのか!?」

 

兎ノ助は右往左往する。

 

「ロウ君・・・あなた、本当に行くつもり?

 本当にマーヤーに理由を聞くつもり?」

 

「そうだって言ったろ。」

 

「・・・命がいくつあったって足りない

 ってのに・・・。」

 

「ぼ、僕たちが守ります!」

 

「私も!」

 

真理佳と浅梨が声を上げる。

 

「それに・・・デーヴィーさん、答えて

 くれないの! なんでこんなことしてるのか

 聞かなきゃ!」

 

「・・・なんにしても、今は隠れてて。

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 アイツが確認しに行ってるから。」

 

「・・・アイツ?」

 

 

 

 

 

 

 

風飛中心街

 

「・・・人類はどれだけの犠牲を払ってでも

 魔物を討ち滅ぼすと決めた。なら・・・・

 いずれわかる。」

 

マーヤーはゆっくり目を閉じる。

 

「私の行動が無意味でなかったと、わかる。

 今、世界が敵に回っても構わない。彼を

 殺すことが・・・人類の未来につながる。」

 

「そうやって自分を奮い立たせなければ

 ならないなら・・・その決断は間違っているんだ

 マーヤー。」

 

マーヤーの前に星柄のマントを

羽織った1人の男が現れる。

 

「・・・ふふ・・・ふふふ・・・・。

 来てしまったのね。あなたが。

 コズミックシューター・・・いえ、ジェイソン。」

 

「マーヤー、考え直せ。今の君はテロリストと

 同じだ。人間を殺すことは人類に対する

 裏切りだぞ。俺たち始祖十家は魔法使いの・・・

 人々の希望でなければならない。」

 

「私は人々の希望であるつもりよ。これまでも

 これからも。あなたも知ってるでしょう・・・

 知って止めに来たならそれでもいい。けれど

 不争の誓いを忘れないでね。」

 

「マーヤー!」

 

「人類の希望であるがゆえに、私たち始祖十家は

 争ってはならない。ここで私とあなたが戦いを

 始めた途端・・・人々は絶望に陥るでしょう。」

 

目を開け、空を見上げる。

 

「でも仕方ないのかもね。これまで人々は

 私たちに多くを背負わせてきた。どれだけ

 乗せても耐えられると思い込んで。」

 

「人々の想いは耐えるものではない!」

 

「ならこの局面をどうにかしてみせてよ。

 人々を救うために私が出した答えがこれよ。

 意図も手段も明々白々。否定するなら、

 代案を出すことね。」

 

「・・・・・。」

 

唇を噛みしめる。

 

「口論では君にかなわない。だが説得は

 諦めないぞ。」

 

「彼に伝えてちょうだい。私は彼以外を

 狙わない。けれど、誰かがかばったりするなら

 ・・・・その限りではない、と。」

 

ジェイソンはその言葉を聞き、

立ち去っていく。

 

「・・・やはりあなたはバカだわ、ジェイソン。」

 

軽くため息をつく。

 

「本当に間違っていると思うなら・・・

 不争の誓いなんて無視。力づくで私を止める

 べきなのにね・・・。さて、相田ロウ君。

 あなたの人となりは観察してよく

 わかったわ。」

 

ロウのデータを見る。

 

「あなたはとても優しくて優秀・・・。なら、

 潔く退場して頂戴。愛する人々を殺したくは

 ないでしょう? たとえ学園に引きこもったと

 しても、関係ない。」

 

指先に魔法をためる。

 

「場所を特定して、一発で楽にしてあげ・・・・」

 

途中で言葉が止まる。

 

「・・・・なんですって・・・・・。

 学園から、出てきた・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・自分がどういう立場かを理解していての

 行動だろうね? もし自分が死なないとでも

 思っているのなら、私が分からせてあげるよ。」

 

梅はロウを睨む。

 

「う、梅さん!」

 

「そんな風に思ってたら、俺はとっくの

 昔に死んでるよ。」

 

「まったく・・・真理佳ちゃん。あなたなら、

 マーヤーに狙われるのがどういうことか・・・。

 彼に教えてあげられるわよね?」

 

「どの道教えてもらうつもりだ。俺は

 マーヤー・デーヴィーについては顔しか

 知らないからな。」

 

真理佳のほうを向く。

 

「う・・・デーヴィーさんは魔法使い

 随一の狙撃手です。」

 

「狙撃・・・?」

 

「はい。針の穴を通すような正確な光の

 魔法で遠隔から弱点を狙う。」

 

「なるほど。銃で狙撃したわけじゃないから、

 風の影響は受けないのか・・・。」

 

くそ、めんどくせえな・・・・。

 

「なので、より遠くまで狙える。もちろん

 遠くなれば、狙うこと自体が難しいんですけど・・・。」

 

「マーヤーにはそれができる。あの子、得意な

 ことはたくさんあるけど・・・一番得意なのは

 狙撃なの。だから隠れるのが一番安全なんだ。」

 

「そうか・・・。」

 

一瞬、ロウは自分の後方を見る。

 

「あなたが隠れているなら、私が守れる。

 でもマーヤーのところまで行くっていうなら

 ・・・命の保証はしないよ。」

 

 

 

 

 

「デーヴィーさん・・・どうして・・・」

 

「ったく、神宮寺とのミーティングが

 終わったと思ったら、これよ。せっかく

 予算が確定したってのに、おじゃんに

 するつもり!?」

 

「ボク関係ないじゃないかぁ・・・ロウめ、

 覚悟しろよ・・・!」

 

天と望は文句を言う。

 

「そう言うな。俺のためと思ってくれ。」

 

「はあ?」

 

「理由は浅梨から聞け。俺は少し

 作戦を練る。」

 

さぁて・・・・。

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