グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
報道部部室
「・・・よし、始めよう。」
鳴子はマイクの前に立つ。
「夏海、南君のことを頼んだぞ。」
「は、はい・・・でも行けないなんて・・・」
「人にはできることとできないことがある。
それはわかるはずだ。始祖十家を相手にして
戦える人材は少ない。それに彼を信じるのも、
立派な応援になるさ。」
「・・・わかり・・・ました・・・。」
夏海は部室を出る。
「・・・早まるなよ・・・じゃあ・・・」
マイクのスイッチを入れる。
『学園生諸君に告ぐ。現在、相田ロウ君の命が
狙われているという・・・荒唐無稽な噂が
学園に広まっている。』
グラウンド
『不確実な情報で動くと相田ロウ君本人に
迷惑がかかる。彼のことを心配するので
あれば、落ち着いて行動するように。』
鳴子の放送が学園中に鳴り響く。
「・・・こうやって放送してる時点で
本当だって認めてるようなもんだろ。」
「・・・・・あの・・・。」
さらは涙を浮かべた目で
龍季を見る。
「別に遊佐がどうこういうわけじゃねえが・・・」
「・・・遊佐がやることには理由がある。」
龍季の隣の春乃が話し始める。
「動かないように呼びかけるなら、そうすべき
ロジックがあるわ。」
「ってことだ。信じられるな?」
「・・・・はいぃ・・・。」
「散歩部をまとめろ。部長だろ?」
「・・・・・わかりました・・・。」
元気なく答えると、散歩部のもとへ向かう。
「・・・・・ちっ。なんで俺がこんなこと
言わなきゃいけねぇんだ。さらにあんな顔
させやがって。死んだらぶっ殺すからな、ロウ・・・!」
風飛中心街
「・・・死んだら殺せねーだろっての。」
「? 何言ってんの?」
「いや、なんかつっこみたくなってな。」
ロウはにやりと笑う。
「なにのんきに・・・ ! 隠せ!」
ロウの周りを障壁で囲う。
「大丈夫か!? 撃たれてないな!?」
「ああ、問題ねえよ。」
「あぁ、くそ! 6枚の障壁が5枚も
ぶち抜かれてる!」
「馬鹿! そんなの後にしなさい!
・・・やっぱり壁くらい抜いてくる・・・。
隠れてすぐだったら、予測されるわね。」
「これで監視カメラまでやられてたら
完全アウトだな。」
苛立ち気味に舌打ちする。
「・・・身を晒しても、あくまで私は
撃たないってわけか。私や浅梨はともかく
真理佳ちゃんも・・・。やっぱりロウ君だけを
狙うつもりね。・・・・・。ナメてくれる
じゃない、マーヤー・・・!」
「真理佳。お前は空から全体を見ろ。狙いは
俺だけ。撃たれることはないはずだ。」
「は、はい!」
指示通り、上に飛び、全体を見る。
「それでいいわ。マーヤーが引きこもりの
スナイパーだと思ったら大間違い。近接も
辞さないのが彼女よ。」
「こっちの状況が変わったら、すぐに
降りてくれ。」
「わ、わかりました・・・!」
「よし、これで後は・・・・」
「・・・・!!」
ロウは後ろを振り返る。
「! しまった、ロウ君!」
「!?」
「え・・・!?」
背後にマーヤーが現れる。
「だめえぇ!」
「うぐ・・・!?」
仕掛けようとした攻撃は止められた。
ロウによって。
「ふぅ・・・危ねえ・・・。」
マーヤーの両手を押さえる。
「・・・私より先に・・・?」
「よく、わかったわね・・・!」
「予測してた。あんたがスナイパーだと
聞いた時からな。」
「!?」
攻撃しようとするが、ロウが手を
動かし、狙いを定めさせない。
「しばらく狙撃したのは、注意を弾に
逸らすため。そして、油断している背後から
俺を襲う。近接のできるスナイパーなら使う
手法だ。」
「でも、あなたの注意もそれて・・・!」
「それてねえよ。俺は最初から背後を
警戒していたからな。」
「最初から・・・?」
「狙撃の警戒ははっきり言って、仲間に
任せてた。」
「へぇ・・・!」
またロウを攻撃しようとする。
「ちっ・・・!」
しかし、マーヤーの手を払い、
攻撃を中断させる。
「ぐ・・・!」
「だから、させるわけねえだろ。」
攻撃しようとするが、ロウはそれを
させず、攻撃を繰り出す。
「・・・!」
ロウの拳がマーヤーの頬をかすめる。
「女性に暴力?」
「本来は主義じゃねえけど・・・」
ユウの顔が頭をよぎる。
「命狙ってる場合は、話は・・・別だ!」
拳や蹴りを次々と繰り出していくが、
マーヤーはそれを防御していく。
「・・・!」
回し蹴りをし、マーヤーを
壁にたたきつける。
「!」
マーヤーはロウを攻撃しようとする。
「・・・。」
ロウはマーヤーに飛びかかる。
「これで・・・!」
「『シャンブルズ』!」
「な・・・!?」
ロウが突如消え、代わりに現れたのは・・・
「マーヤー・・・デーヴィィィ!!」
攻撃しようとしたつかさだった。
「く・・・!?」
光で目くらましをし、姿を隠す。
「待て! 次は逃がさん!」
デーヴィーを追跡する。
「ちっ・・・あれでだめか・・・。」
「随分無茶するわ・・・。とはいえ、
あっという間にロウ君をやられるところ
だった・・・。」
梅は深くため息をつく。
「にしても、ロウ。お前なんで、能力
使えてるんだ? あれってたしか・・・」
「ここに来た時から透明な『ROOM』を
ずっと張っていたからな。」
「そんなこともできたのかよ・・・。」
とはいえ、便利な分、反動も
大きいけどな・・・。
「やっぱり頭と作戦じゃかなわないな・・・。
それにしても・・・」
ロウをじっと見る。
「いったい何者なの・・・?」
「・・・な、なんなのよ、アイツ! どうやって
現れたの!」
一方で天はイラついていた。
「そんなのわかったら苦労するか。あれが
始祖十家だ。・・・全然気づかなかった。
やっぱりムリゲーじゃないか・・・。」
「完全に私たちのこと無視してたわ!
絶対に許さない!」
「落ち着け。そんなにキレてたらあっちの
思うつぼだぞ。なんにだって攻略パターンが
あるんだ・・・それさえ見つけりゃ・・・」
「・・・油断した・・・まさか相田ロウが
あそこまでできるなんて・・・!」
マーヤーはそう言い、左腕を押さえる。
「それに生天目つかさ・・・あれがまだ
学園生だっていうの・・・? ・・・・・誰!?」
「ひぃ!?」
建物の陰からおそるおそる梓が出てくる。
「あわわ・・・お、お助けー・・・。」
「あなたは・・・ニンジャね!」
梓を攻撃しようとする。
「ちょ、ちょっちタンマ! まさか
気づかれるとは思わなくて・・・」
「死にたくなければすぐに去りなさい!」
「はいはい! 今すぐ! すぐさま!
とっとと! 自分弱いんで! だから・・・」
ニヤッと笑う。
「だから、こうやって気を引くのが
精一杯・・・ッス。」
「・・・なに? ・・・!!」
マーヤーを炎の魔法が襲う。
「結界!」
すぐさま結界を張って防御する。
「新手か・・・誰も・・・諦めないのね・・・。」
少し離れたところ
「なんと、障壁でなく結界か。ありゃ
厄介じゃ。」
「・・・さすがといったところかしら。
結界を抜くのはたやすくないわね。」
攻撃したのはアイラとチトセだった。
「個人であれを発動できる者がおるとは・・・
始祖十家も黄金期ということか。ところで
のう朱鷺坂。お主、生徒会じゃろ。勝手に
出てきていいのか?」
「勝手にじゃないわよ。生徒会長命令。」
「ほうほう。では生徒会は覚悟を決めたという
ことでよいのじゃな。」
「ええ、それに私たちは・・・」
「始祖十家ではない、からのう。くくく・・・。」
「ふふふ・・・。」
2人はいたずらそうに笑った。