グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「・・・これしかないか・・・。」
「これしかない・・・我妻!」
「なに?」
望は浅梨を呼んだのだが、
梅が振り返る。
「あ、アンタじゃない! 浅梨の方だ!
は!? やべ! またアイツが・・・!」
きょろきょろと周りを見る。
「大丈夫。もうあんな無様な真似は
しない。マーヤーが来るときはちゃんと
教えるから作戦会議してて。ロウ君は
しばらく動かないこと。今、学園生が
マーヤーを攪乱してる。」
「ああ、わかった。」
「・・・みんなに感謝しなさい。いいわね。」
「・・・わかってる。」
ロウは穏やかに笑う。
「いいか。見た感じ、結構な増援が学園から
来てる。」
「それでも、デーヴィーを倒せるとは
考えられない。倒そうなんて考えず、絶対に
深追いしないで、追い返す。」
「それもかなり難しいけどな。」
「わかってるわよ。アンタ、ちょっと骨折る
くらいは覚悟しておいてね。」
「問題ねえよ。死ぬよりましだ。」
「わがつ・・・浅梨。」
今度はちゃんと浅梨を呼ぶ。
「ここまで来たら腹くくるぞ!」
「大丈夫です。先輩を守るために、もう
覚悟はできてます。なんでも言ってください!」
「今回のシチュエーションはスニーキングゲームだ。」
ゲーム・・・望らしい考え方だな・・・。
「だけど相手の感知能力が半端じゃない。障壁を
絶やすなよ。ボク達がかけられる障壁、最大
6枚を常に維持しないと、ロウが死ぬからな。」
「わかりました。いざとなったら、私が
防ぎます。私、頑丈なんです。ちょっとくらい
撃たれても・・・」
「実際に撃たれた俺か天が感想言ってやろうか?」
「まったくよ。二度とそんなこと言うんじゃ
ないわよ。どっちにしろ・・・あの狙撃弾に
人体なんか紙っぺらくらいの耐久力しかないわ。」
「で、でも・・・。」
「ただまあ、盾になるってのはアリだな。」
「不争の誓い、か・・・。一瞬でも
反応は遅らせられるな。俺の背後に立てばいい。」
ロウは後ろを指さす。
「あ、それで後ろからの攻撃を・・・」
「そうだ。敵を信じるっていう情けない
作戦だけど・・・使えるルールは全部使ってやる。」
「委員長。私たちのクエストを確認します。」
風子達、風紀委員が別地点で
集まっていた。
「封鎖された地域に無断でテロリストが
侵入する可能性をつぶすため・・・その
警戒と阻止、です。」
「し、しかしそれでは、ロウさんの助けに・・・。」
「氷川。気持ちはわかりますが、誰かが
やらなきゃいけません。」
「・・・そうでもしなければ、ここに
堂々と入れませんし。」
イヴが小さい声でつぶやく。
「何か言いましたか?」
「いえ。」
「とりあえずデーヴィーとは距離をとりますよ。
彼女の現在地捕捉は困難を極めます。服部でも
難しーよーです。そーゆーわけで、何人かに
ヘルプを依頼しました。確認するよーに。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
怜と紗妃はロウを心配する顔をする。
「いーですね。自分らはルールを守らなければ
いけません。その原則はただ1つ。学園の
風紀、治安、そして・・・学園生の命を
守ることで。風紀委員の仕事を果たしますよ。」
「・・・! はい!」
「わ、わかりました!」
「・・・チャンスがあれば・・・ですね。」
「・・・・・さて、どうしましょうか・・・。」
沙那はマーヤーを捜索する。
「・・・! 立華さん。貴女もいらしたのですね。」
同じくマーヤーを探す卯衣と合流する。
「ええ。部長に、ロウ君の助けになるように
言われて。その様子だと、マーヤー・
デーヴィーを見つけてはいないみたいね。」
「手厳しいですね。ですが事実です。
現在、服部さんや円野さんと連携をとりつつ
捜索中です。」
「そう・・・・・」
急に卯衣が沙那を睨む。
「了解。敵性存在、マーヤー・デーヴィーを
攻撃します。」
「!?」
卯衣の攻撃をかわすと、
沙那の姿は消え、マーヤーになる。
「・・・私の演技も、たいしたこと
ないってこと・・・?」
「いいえ。幻覚の魔法も演技も、完璧。
私個人では識別不能。しかし個人でなければ
識別は可能。攻撃を続行します。」
学園
天文部部室
「あう・・・。」
ミナは目に痛みが走り、何度かこする。
「ミ、ミナ! 大丈夫か!」
「その目、使いたくないんやろ? そんな
無理して・・・疲れるんやろ・・・。」
隣の恋や香ノ葉が心配する。
「いやだよ! だけどここで使わないでいつ
使うんだ! もっと見せるんだ! 我は
最強の魔法使い。この程度で・・・!」
「・・・わかったんよ・・・正宗、
追っかけて。」
「あ、ちょっと待って。調整させて・・・」
ヤヨイは目を閉じる。
「アタシ、魔法は苦手だから、ちょっと
苦労するなぁ・・・行くよ。おっかけ正宗と
ミナちゃんの視界を・・・よし、もう一度つなげる。」
「あ、あの・・・だだ、大丈夫ですよね?
本当に月宮さんじゃないですよね?」
横で心がおろおろする。
「ああ、私が卯衣ちゃんに間違ったことを
伝えてしまってたら・・・!」
風飛中心街
真理佳は卯衣の戦闘の様子を見ていた。
「・・・白藤センパイの精霊がデーヴィーさんを
探して・・・ヤヨイちゃんの魔法でミナちゃんの
目に映像をつなげる。そしてミナちゃんの目で
幻覚の魔法を見破る。こんなことできたんだ。」
学園生たちの連携に感心する。
「みんなが力を合わせたら・・・もしかして、
始祖十家が相手でも・・・! ・・・僕も
センパイのところに戻ろう。守らなきゃ・・・!」
教室
「どうして・・・私が行っちゃいけないなんて・・・」
ロウの助けに行けず、智花は肩を落とす。
「ま、そりゃしょうがねーよ。なにせアレだろ。
時間停止の魔法。アンタに何かあったら、
それが解けちまうんだ。今回みたいな何か
ある確率の高いクエストは無理だろ。」
「・・・・うぅ・・・。」
教室のドアが開く。
「ああ、こったらとこにいたべか。」
「・・・花梨ちゃん・・・?」
「調理室さおいで。今、料理部でうんめえ
料理、作ってるすけ。出動してる学園生、
多いすけ。みんな腹減らして帰ってくるっきゃ。
きっと料理足りなくなるすけ。あんたも手伝ってけろ。」
「・・お腹、すかせて・・・」
疲れた様子のロウが頭に浮かんだ。
「う、うん・・・わかった。そうだね・・・。
・・・ありがと、花梨ちゃん。」
智花は笑顔を浮かべ、調理室に向かった。
「ありゃー納得してねえべな。ロウのとこさ
行かねえように見とくべ。おらだって、
助けに行きてえ。みんなを抑えんのも・・・」
途中で言葉を止める。
「おっと。なんも大丈夫だ。それじゃな。」
花梨も調理室に向かう。
「・・・・・・。だよなぁ・・・こっちも
できる限りバックアップして、ちょっとでも
安心させないとな。」
デバイスを取り出し、時刻を確認する。
「・・・もうそろそろ届くか?」
風飛中心街
「みっけたぞ、朱鷺坂!」
「あら偶然。こっちもよ。」
アイラとチトセはマーヤーを見つけ
攻撃を始める。
「現在、東雲さんと朱鷺坂さんが交戦中です。
ロウさんは無事です。」
離れたところで沙那が戦況を
報告する。
「ええ、あの2人を相手に一歩もひいて
おりません。その他の実力者が出動して
これ、ということを考えますと・・・
彼女をノックアウトしての決着は難しいかと。」
顔を強張らせる。
「・・・・・ええ。時間どおりです。」
沙那の前に黒いカプセルのようなものが
落下する。
「カプセルの着弾を確認。デクをロウさんに
届けます。」