グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第217話 明かされる動機

学園

 

校門前

 

「・・・こ、こんにちは。あの・・・

 ロウさん、どうでしょうか。」

 

智花はおそるおそるロウの様子を

兎ノ助に聞く。

 

「なんつーか・・・まだ、だな。大けがした

 とか、そういうことはないらしい。つかさたちが

 一斉にかかっても倒せないんだからな。」

 

「な、生天目先輩・・・たち? たちって

 ことは・・・!」

 

「ああ、アイラやチトセ、卯衣に梓。

 攻撃の間をするりと抜けていくそうだ。」

 

「・・・・・。」

 

心配そうな顔をする。

 

「あ! で、でもちゃんと進んではいるんだぞ!

 学園生たちも歯が立たないとかじゃないんだ!

 ちゃんと妨害はできてるし、その間に近づく

 こともできてる。」

 

兎ノ助は必死にフォローする。

 

「ただ慎重にやってるから時間がかかってる

 だけだ。大丈夫だって!」

 

「や、やっぱり私・・・!」

 

「きえええい!」

 

ロウの元へ行こうとした智花の

行く手を遮る。

 

「う、兎ノ助さん・・・?」

 

「隣にいるだけが一緒に戦うってことじゃねえ!

 俺だっていつもお前たちと戦ってるつもりだし・・・

 ロウと一緒に戦ってるつもりだ! 念を飛ばせ!

 絶対に誰1人欠けずに帰ってくるってな!」

 

「ね、念ですか・・・?」

 

「そうだ! 俺はいっつもやってる! おかげで

 ここ数年はみんな無事だ! きっと俺の力だ!」

 

「・・・兎ノ助さん・・・。」

 

「ここに立て。俺の隣。」

 

「は、はい。」

 

いわれた通り、兎ノ助の隣に立つ。

 

「いいか、念を飛ばすぞ。こうやって・・・

 無事に帰ってくるって、願うんだ。」

 

「わ、わかりました! ・・・・・・。」

 

ゆっくりと目を閉じる。

 

「・・・無事に、帰ってきますように・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風飛中心街

 

「私を殺して、止めてみなさい・・・!」

 

「くどい!」

 

周りの4人が一斉に攻撃する。

 

「攻撃が止まった。行くよ! ロウ君、ここまで

 来たら、あなたにはすべてを聞く権利がある。」

 

「当然だ。てか、もとからあるんだよ。

 その権利は。」

 

()()()()()()()()()()。だから・・・私は

 あなたに協力する。守るんじゃなくてね・・・。」

 

「・・・デーヴィーさんなら、きっと・・・。」

 

ロウがデーヴィーに迫る。

 

「はぁ・・・はぁ・・・。」

 

「いやはや・・・4人がかりでこれッスか・・・。

 ほかの人が来れば、止まるんです・・・かね?

 ・・・! せ、せんぱ・・・」

 

「『シャンブルズ』!」

 

ロウと梓の位置を入れ替える。

 

「センパイ!」

 

「はああ!」

 

「ぐ!」

 

マーヤーの攻撃で、つかさは後ろに下がる。

 

「「これで・・・・・・」」

 

ロウは拳に強化魔法をかける。

一方でマーヤーも光の銃弾を

ロウに撃とうとする。

 

「「終わりだ(よ)!!」

 

「先輩! デーヴィーさん!」

 

ロウとマーヤーの間に、浅梨が

割って入る。

 

「!!」

 

辺りが光に包まれた。

 

時間が経ち、光が消えていく。

 

「・・・・・そんな・・・。」

 

「く・・・!」

 

梅が腕を押さえ、膝を突いていた。

 

「え・・・お、お姉ちゃん、どうして・・・!」

 

「あんたがアレくらったら、死んじゃう

 からよ・・・。」

 

「・・・どうして・・・梅。デクの装甲、

 障壁魔法・・・どうして貫けてないの・・・。」

 

ロウのデクに傷はなかった。

 

「・・・俺の攻撃は・・・ぎりぎり

 届かなかったはずだ・・・。」

 

「・・・・! ジェイソン! あなたね!」

 

ジェイソンがマーヤーに近づく。

 

「終わりだ。マーヤー。彼は君の元まで来た。

 今の攻撃はアンフェアだ。だから俺が守った。」

 

「こんなときにフェアだのどうだのと!」

 

「君は始祖十家だ、マーヤー。正義を裏切っては

 ならない。これ以上は、俺を殺してからにしろ。」

 

マーヤーをにらむ。

 

「・・・・・・。」

 

マーヤーは膝から崩れ落ちる。

 

「まさか・・・ひよっこの学園生に・・・

 追いつめられるなんて・・・私の・・・負けだわ・・・。」

 

声を震わせ、負けを認めた。

 

「・・・つかさ。学園生は一時、退避。

 ロウ君だけに話をする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロウ以外の学園性は学園に戻った。

 

「・・・こんなに間近で落ち着いて

 見るのは初めて・・・ね・・・。」

 

「あの時は殴り合いしてたからな。」

 

「・・・・・。」

 

マーヤーはロウをじっと見る。

 

「なるほど・・・そんな目をしていたの・・・。

 負けても、仕方ないかも。」

 

自嘲気味に笑う。

 

「すべてを話せ。マーヤー・デーヴィー。」

 

「彼も、覚悟はできてるわ。」

 

「・・・・後悔するわよ・・・。」

 

ロウと向き合う。

 

「・・・ロウ君。最初に結論だけ言うわ。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「あなたは・・・『ムサシ』よ。」

 

「・・・・ムサシ・・・・。」

 

マーヤーの言葉を重く受け止める。

 

・・・父さんは・・・いったい何を・・・

何を考えて・・・。

 

「・・・これを遊佐鳴子に渡しなさい。

 『パンドラのキー』よ。」

 

「パンドラだと?」

 

「裏世界からジェイソンが持ち帰ったものは

 裏世界の私が残した資料・・・。その中に

 『武田虎千代に託されたキー』があった。」

 

「・・・なんだと?」

 

「! 会長・・・。」

 

虎千代がロウたちに合流する。

 

「アタシに託されたキーだと? アタシは

 第7次侵攻前にリタイアしたんじゃないのか。」

 

「武田虎千代・・・なぜここに。」

 

「俺の独断だ。」

 

ジェイソンが軽く手を挙げる。

 

「・・・そう。とにかく・・・このキーと

 一緒にあった資料。」

 

資料をロウに手渡す。

 

「それを読めばわかる。ロウ君。裏世界の

 あなたは・・・・『風飛大深度地下で霧に

 汚染され、魔物化した。そしてムサシと

 なり、風飛を壊滅させた』。」

 

・・・風飛・・・大深度地下・・・。

 

「・・・これ以上、この街を封鎖することは

 できない。マーヤー、行こう。」

 

「・・・ええ。」

 

ジェイソンに促され、

マーヤーは立ち去ろうとする。

 

「ねえ、マーヤー。私もあなたと同じように、

 学園と学園生を見ていたよ。それなのに、

 なんで正反対の結論になるんだろうね。」

 

「・・・さあ・・・・信じる者が違ったの

 かしらね。あなたたちは今日、1つの

 選択をした。」

 

そう言って、ロウを見る。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()のよ。

 ここで彼が死んでしまえば、少なくとも、

 第8次侵攻でムサシは出ないのに。・・・さようなら。

 もう会うこともないでしょう。世界が終ろうと、

 続こうとね。」

 

マーヤーは立ち去って行った。

 

「・・・・さて、帰るか。」

 

「・・・ロウ。」

 

「なんだ。」

 

「・・・・・・。」

 

虎千代はロウを見る。

 

「なぜ何も言わない。アタシはお前を

 守らねばならなかったのに。何を

 言われようとも、お前のそばにいるべきだったのに。」

 

「大丈夫だ。お前にはお前の立場がある。

 それはしょうがないだろ。」

 

「いや。口では威勢のいいことを言っておいて、

 少し難しい局面になったらこれだ。」

 

顔を強張らせる。

 

「バッカねー。授業をエスケープしたのは

 ロウ君の方なのに。」

 

「だ、だが・・・」

 

「それより、すぐに警戒が解かれて

 マスコミがやってくる。マーヤーが

 残していった、でっち上げの話、

 叩き込んでおいて。・・・そうだ、最後に。」

 

「?」

 

「マーヤーからロウ君に伝言があるの。」

 

「伝言? なんだ?」

 

梅の目が鋭くなる。

 

「月明りのない夜は気を付けろ。」

 

「・・・・な!?」

 

「アッハハ! 冗談冗談・・・あ、ごめん。

 冗談になってなかった?」

 

「なるわけねえだろ・・・。」

 

「・・・ホントは羨ましかったってさ。」

 

「・・・羨ましい?」

 

「あんなに多くの仲間が、あなたの命を

 救おうとしてね。仲間を死なせたくなかったら、

 死ぬ気で探せとも言ってた。ムサシに、

 ならずに済む方法を。」

 

「・・・そうか。・・・・・・。」

 

ロウは穏やかな笑みを浮かべる。

 

「・・・うぐ!?」

 

突然、胸を押さえ、苦しみ始める。

 

「!? ロウ!?」

 

「ロウ君!?」

 

「・・・単、なる・・・反動だ・・・ぐぅ!?

 ・・・少し疲れた・・・悪いが・・・・

 運んで・・・くれ・・・・」

 

ゆっくりと地面に倒れる。

 

「ロウ!!」

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