グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第218話 突然の休み

学園

 

校門前

 

「・・・・ってことで、今回の事件は終了。

 やっぱり、マーヤーはあそこで籠城する

 つもりだったみたいね。注目を集めてから、

 幻覚を残して学園に忍び込む予定・・・って話。」

 

梅は兎ノ助にマーヤーによるロウ暗殺の

その後を話していた。

 

「そうか・・・一度侵入されてるからな。

 それだったら危なかった。」

 

「結果的にすぐに学園を出たロウ君は彼女の予想を

 覆し、計画を止めることに成功した。まさか

 本当にたどり着けるなんてね。」

 

ため息をつく。

 

「褒められたことじゃないけど・・・それが

 最善だったのかもしれないわ。」

 

「つっても、アイツのことを心配してる生徒も

 大勢いる。命を狙われてたからこそ・・・・

 落ち着いたら俺から言って聞かせねーとな。

 あんまり無茶すんじゃねえって。」

 

「言ってあげて。私は一度、IMFに行くから。」

 

「マーヤーの連行か?」

 

「そう・・・いったんこの事件については

 伏せられる。始祖十家が1人の学園生を殺す

 ために世間を欺いたとなったら・・・」

 

険しい顔になる。

 

「魔法使い全体の問題になるから。」

 

「・・・うぅ、なんかおさまりの悪い終わり方だな。」

 

兎ノ助はもどかしい顔になる。

 

「何かが終われば何かが始まる。人の口に戸は

 立てられないとも言う。マーヤーがロウ君を

 狙ったことは遅からずどこからか漏れる。

 そしたらまたひと悶着よ。隠しても意味ないって

 いったんだけど・・・タイミングが大事なんだって。」

 

「・・・なんにしろ、ほかの始祖十家はアイツの

 命を狙ってるわけじゃないんだろ?」

 

「ええ。それははっきりしてる。今回のことは

 マーヤーの独断。・・・マーヤー・・・せめて

 もっと相談してくれたら・・・。」

 

すぐに首を横に振る。

 

「いや、代案を出せなかった私たちが悪いのか・・・。」

 

「始祖十家がそう言ってるなら一安心だ。

 少し時間はかかるだろうが、いつもの

 生活に戻れるな。」

 

「私はロウ君に協力するって言った。少ししたら

 戻ってくるよ。それまで、ケアしといてね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

保健室

 

「・・・んん・・・・?」

 

目をこすり、ロウはゆっくりと起き上がる。

 

「あ! ロウ君!」

 

ゆかりが駆け寄ってくる。

 

「ゆかりか・・・。俺って確か・・・。」

 

「もう、覚えてないの? 始祖十家と

 戦った後、倒れて会長に運ばれたのよ?」

 

「そうだったか・・・いや、また

 心配かけたな。」

 

大きくあくびをする。

 

「本当に、心配したんだからね?」

 

顔をぐいっと近づける。

 

「わ、わかってる、わかってる。」

 

「それで、まだ昼前だけど、どうするの?」

 

「いったん、寮に戻る・・・・前に、

 教室に顔出してくる。」

 

「よろしい。では、行ってよろしい。」

 

「へーい・・・。」

 

軽く返事をした後、保健室を出て行った。

 

「・・・ふぅ・・・。」

 

ゆかりは安心した顔を浮かべ、

椅子に静かに腰をおろした。

 

 

 

 

 

 

廊下

 

「えっと・・・3日も寝てたか・・・。」

 

デバイスで日付を確認する。

 

「・・・!? ごほ、ごほ!!」

 

咳を手で押さえる。

 

「・・・・!」

 

手を見ると、自分の血が

べっとりとついていた。

 

「・・・・・・。」

 

・・・反動が前よりも

重くなったな・・・それに・・・。

 

近くの水道で血を洗い流す。

 

「血なんて吐かなかったけどな・・・。」

 

あのROOMを使う反動・・・

それは、自分の寿命を消費すること・・・・。

 

「・・・もしかすると、もう長くねえかもな・・・。」

 

 

 

 

 

 

少し前

 

学園長室

 

「えーと・・・これと、これにハンコ

 おして・・・んん?」

 

慣れない手つきで寧々は

書類に判子を押す。

 

「学園長、朝から申し訳ありません。

 こちらの書類を優先で処理をお願いします。」

 

隣の薫子から別の書類が出てくる。

 

「えぇ~、昨日の残りがあるんだけど。

 やんないとダメ?」

 

「すみませんが、お願いします。」

 

「あう・・・ネネおなかすいた・・・」

 

「学園長。昨日提出した予算の承認ですが

 午前中にいただけますか。」

 

前の聖奈からも頼まれる。

 

「待ってぇ・・・そんなに早くできないよぉ。」

 

「では、いつごろできそうでしょうか。」

 

「わかんない・・・これがおわったら・・・」

 

「目処だけでも。」

 

「・・・・ううぅ・・・やだやだ~!」

 

椅子の上でじたばたし始める。

 

「もう疲れたよおぉ~! ・・・おじいちゃんに

 会いたい・・・。」

 

「・・・! 学園長・・・。」

 

「・・・・・!」

 

顔を伏せた寧々だったが、

ふと顔を上げる。

 

「いいこと思いついた。」

 

そう言って、学園長室から出ていく。

 

「が、学園長!? どちらへ・・・!?」

 

寧々が向かったのは・・・

 

 

 

 

 

 

報道部部室

 

『ちょ、ちょっと! それ全校放送の

 ・・・あ!』

 

『ぴんぽんぱんぽ~ん! きょうは学園

 おやすみにしていい日にしま~す!

 学園長命令だからね! さからったら、

 退学だよ~!』

 

 

 

 

 

教室

 

「ひゃっほー! なんだからわかんねーけど

 休みだってよー!」

 

「マジ? 今日だるい授業ばっかだから

 ラッキーじゃん。」

 

放送を聞き、律と千佳は大喜びだ。

 

「な、なにを考えているんですか、

 学園長は・・・!」

 

「ううむ・・・生徒会を通して決まった

 ことなのか? それとも・・・。」

 

一方、紗妃と怜は戸惑っていた。

 

「よーっす。」

 

のんきにロウが教室のドアを開ける。

 

「! ロウさん!」

 

「なんか、久しぶりだな。」

 

「3日も寝てたんですよ!?」

 

「ああ、俺も驚いてる。ところで、

 さっきの放送・・・」

 

「みんなー! きょうはおやすみだからねー!」

 

寧々が教室に入ってくる。

 

「それでね、ネネ浅草いきたいから、

 いきたい子はついてきてもいいよ~!」

 

「・・・浅草?」

 

「あ、お兄ちゃん!」

 

ロウの元に駆け寄ってくる。

 

「お兄ちゃんはぜったいついてきてね!

 門の前に集合ね~!」

 

「・・・浅草ねえ・・・。」

 

 

 

 

 

 

校門前

 

姫や刀子、ゆえ子たちが集まっていた。

 

「・・・集合場所はここでいいのかしら。」

 

そこに卯衣がやってくる。

 

「あら、立華さん。立華さんも行くんですか?」

 

ましろが話しかける。

 

「ええ。急に休みといわれても、何をして

 いいかわからないの。それなら他の学園生に

 ついていったほうが、勉強になると思ったから。」

 

「そうですね。私も今日は買い物だけ、と

 思っていましたが・・・せっかくですし、少し

 観光もしてみようかしら。ふふふ・・・

 情報を集めて観光雑誌を刊行しちゃったり・・・。」

 

「報道部ではないのに取材をするのね。とても

 意欲的だと思う。」

 

ダジャレに全く気付かない。

 

「あらまあ。フフフ・・・。」

 

「結構、集まってるな。」

 

ロウと寧々がやってくる。

 

「遠足みたいだねぇ、うれしいなぁ!

 じゃあいこっか! れっつごー!」

 

みんなをつれ、浅草へと向かった。

 

「・・・よかったんですか?」

 

聖奈と薫子が出てくる。

 

「ええ、1日くらいでしたら、あとから

 どうにでもなるでしょう。学園長はよく

 我慢してらっしゃいます。たまの休みは必要なこと。」

 

「・・・・そう、ですね。ほかの生徒たちも、

 これで少しでも気が晴れれば・・・。」

 

「あら。ロウさんのことですか?」

 

「・・・が、学園生全員です。先日は

 大騒ぎでしたから。」

 

「・・・ふふ、そうですね。あんなに全校

 挙げて、というのも珍しかったかしら。

 さて、会計。私たちも待機です。今日は一息

 つきましょうか?」

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