グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第221話 親との思いで

「あのね。ネネがおなかすいたって

 いうとね、虎千代ちゃんがね・・・」

 

「ふむふむ。ふんふん。」

 

相槌大げさすぎるだろ・・・。

 

「おやつくれるんだけどね、それがすごーく

 固くってね・・・。」

 

「なるほど、会長殿は普段から歯も

 鍛えておられるということですな!」

 

「あははは! もー、ちがうでしょー!」

 

お腹を抱えて笑う。

 

「刀子ちゃん、くんれんのことばっかり

 かんがえてるー!」

 

「然り! 拙者訓練バカゆえ、学園長殿を

 持ち上げて、筋力を鍛えまするぞー!」

 

「認めるかよ・・・。」

 

「きゃー! あははは!」

 

刀子を寧々を持ち上げようと

追いかける。

 

「・・・ふふ、なにやら姫殿が学園長殿

 くらいの時も、よくそうしてコロコロと

 笑っておりました。」

 

「コロコロ?」

 

「そう、鈴の音のようなお声で、拙者の

 名を呼び・・・」

 

「鈴ってしゃべれるの?」

 

刀子が話すたびに、寧々は首をかしげる。

 

「ものの例えだ。」

 

「そ、そうです。姫殿は幼少のころから

 お気が強くいらした。ただそれだけではなく

 責任のある立場で皆を守ろうとしている

 ところや・・・」

 

寧々はきょろきょろと周りを見る。

 

「寂しくても弱音を吐かず、堂々と胸を張る

 姿は可憐ながら、凛と高潔で・・・そのすべてが

 野薔薇としての自覚を持ったご立派な心構えに

 よって成せる・・・」

 

「ふーん・・・?」

 

「わかってねえだろ。」

 

「あ、たいやきにあんこ入れてる!

 見たーい!」

 

たい焼き屋に駆け寄っていく。

 

「いじらしく気高いその姿、学園長殿にも

 共通して・・・・・・あれ!? 学園長殿?

 学園長殿ー!」

 

「お前の話飽きて、たい焼き見に行ったぞ。」

 

「な、なんと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ

 

「さすが歴史のある街ですね。陶器屋さんにも、

 すてきな器がたくさん。」

 

「お土産に適しているものは、どれなのかしら・・・。」

 

卯衣とましろは一緒に観光していた。

 

「南条さんにこの豆皿はいかがでしょうか?

 梅干しを少しのせるのにぴったり。」

 

「・・・きれいなお皿でぃっしゅね。」

 

「・・・!!」

 

急に来たダジャレに目を大きく開く。

 

「た、立華さん・・・今、ダジャレを・・・!?」

 

「・・・マッシュポテトにも合うかも。

 ありがとうございまっしゅ。」

 

「昆布も一緒に買ったら、きっとよろこんぶ。」

 

「・・・・! こちらの湯飲みが言うの。

 YOU KNOW ME?」

 

「湯飲みに注げるのは、お湯のみ。」

 

ダジャレの応酬が続く。

 

「あぁ・・・すごい、すごいです、立華さん・・・!」

 

「・・・雪白さんの会話の傾向を、真似て

 みたのだけれど・・・おかしくないかしら。

 気に入ってもらえた?」

 

「ええ、それはもう・・・! 難しく

 なかったですか?」

 

「簡単よ。習得している言語から似た発音の

 単語を抽出。そこから文章を成立させる・・・

 これなら話すときに自動化できそう。

 望むならもっとダジャレを考えるけれど。」

 

「た、たくさん聞きたいのはやまやまなのですが・・・」

 

そう言って、少し頭を抱える。

 

「自分で作らないと、腕が落ちてしまう気が

 します。」

 

「・・・そう。喜んでもらえると思ったの

 だけれど・・・。」

 

「ああ・・・お気持ちは嬉しいですよ。

 ありがとうございます。」

 

笑みを浮かべる。

 

「これは負けていられませんね。私も

 頑張らなければ・・・!」

 

「・・・ところで、ダジャレを会話に用いる

 ことで、どんな利点があるの?」

 

「ふふふ・・・その場の空気が変わって

 みんなが笑顔になりますよ。」

 

「空気を変えたいとき・・・行き過ぎた緊張感が

 ある時かしら。笑顔になれるのなら・・・笑顔が

 ないとき、が最適ね。」

 

しばらく考える。

 

「わかったわ。試しに戦闘中に使ってみる

 ことにする。ありがとう。」

 

「ふふふ・・・。」

 

「ふふ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・!?」

 

一瞬、ロウの背筋が凍った。

 

「? どうかしたの?」

 

「いや、なんか・・・寒気がな・・・。」

 

気のせいか・・・?

 

「おや、ロウさん。」

 

ましろと卯衣が合流する。

 

「ああ、ましろか・・・。・・・まさか。」

 

「?」

 

ちらっと卯衣を見る。

 

「・・・いや、ねえな。」

 

頭を振って、否定する。

 

「・・・あら、お寺ですよ。みんなで

 お参りしましょうか?」

 

「わぁ・・・人がいっぱい・・・。」

 

寧々の言葉通り、多くの人が

行き交っている。

 

「なんか・・・お年寄りが多いね。」

 

「信心深さは年齢が上がるほど高い

 傾向があるわ。」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・? 学園長、どうした?」

 

「・・・あそこも、ここも、全部おじいちゃんと

 いった。・・・おじいちゃん・・・・。」

 

目に涙が浮かびそして

 

「・・・うっ・・・ひっく・・・・。」

 

涙を流し始める。

 

「あらあら・・・どうしましょう。」

 

「ハンカチとティッシュを持っているわ。

 涙を拭いて。」

 

ハンカチ、ティッシュを取り出し

寧々に渡す。

 

「あ・・・ありがと・・・。」

 

受け取り、涙を拭う。

 

「・・・うぅ・・・うわあぁーん・・・。」

 

しかし、涙は止まらない。

 

「・・・仕方ねえか。親と行った場所を

 思い出せばな・・・。」

 

「ええ。私だって、そうなってしまいます。」

 

「ひっく、ネネ、我慢してたけど、ひっく・・・

 なんで・・・なんでおじいちゃん・・・ネネを

 置いて・・・・・うわあぁーん・・・。」

 

「大丈夫です、大丈夫ですよ。みんなが

 ついてますから。」

 

ましろが優しく頭をなでる。

 

「学園長。あまり泣くと目が腫れるわ。

 ・・・違うわね。どういったらいいのかしら。

 こういう時、私は無力だと感じる・・・。」

 

「学園長殿ー!」

 

まだ知らない刀子が駆け寄ってくる。

 

「お待たせいたした、浅草名物の

 芋ようか・・・」

 

寧々の様子を見て、言葉が止まる。

 

「えええぇぇぇ!? どどど、どうしたのです!」

 

「ああ・・・。親父さんのこと思い出しちゃってな・・・。」

 

「い、芋ようかんですぞ! ほら・・・」

 

目の前に差し出すが・・・

 

「ひっく・・・うっ・・・いらな・・・

 ひっく・・・」

 

「むむむむ・・・」

 

一瞬困るが、寧々の目をじっと見る。

 

「学園長殿。御父上を慕い、案じるその姿勢・・・

 ご立派です。お気持ち、痛いほどわかりますぞ。

 拙者もいつも姫殿が心配で心配で・・・。」

 

「ぐす・・・うえぇ・・・」

 

「泣かないでくだされ! 学園長殿、

 笑って笑って! ほら、芋ようかん以外の

 お菓子もございます。甘いですぞ~!

 アコとチョメ、どちらがよろしいですか!」

 

「・・・・・・ん?」

 

今たしか・・・。

 

「・・・・ちょ、チョコと飴、どちらが

 よろしいですか!?」

 

「・・・・・・ぷっ・・・あはは・・・

 ひっく・・・あははは・・・!」

 

体を震わせ、笑い始める。

 

「ふふふ・・・支倉さんったら。今、笑いの

 神がついていましたよ。」

 

「私でもわかったわ。今のは全く場に

 そぐわない言い間違いだった。」

 

「お前、あのタイミングで・・・くくく・・・。」

 

「や、やめてくだされ! やめてくだされー!

 ま、まあ、学園長殿が笑顔になってくれれば・・・

 拙者の恥くらい、かまいませんとも!」

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