グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

233 / 337
第224話 キネティッカ

生徒会室

 

「なんだと!? それは確かか、

 薫子!」

 

「は、いえ・・・私も信じられないのですが・・・。

 とにかく出動を、と。」

 

薫子の歯切れが悪い。

 

「馬鹿な・・・あそこがそんなに簡単に

 襲われてたまるか!」

 

「しかし現に、警察から応援要請が来て

 いるのです。執行部からも即時出動をと

 要望が来ています。確かな情報かと。」

 

「・・・冷泉を呼んでくれ! すぐだ!

 出るにしても、あいつに伝えておかなければ

 ならない!」

 

その時、ドアがノックされる。

 

「誰だ!」

 

「あ、あの・・・冷泉葵です。お話が

 ありまして・・・」

 

話題に上がった葵がノックした。

 

「な・・・ちょうどいい。入ってくれ!」

 

葵はおそるおそる部屋に入る。

 

「呼びに行こうと思っていたところだ・・・。

 その様子だと、もう知っているのか?」

 

「ええと・・・はい。先ほど家の者から・・・

 ですが・・・信じられなくて・・・・。

 生徒会長さんがそれほど慌てているということは

 本当、なのですね・・・。」

 

「出動要請が来ている。場所は・・・永田町だ。

 議員会館がテロリストに襲撃され、議員たちが

 人質に取られている・・・。お前の父、

 冷泉幸四郎議員もだ・・・!」

 

 

 

 

 

 

校門前

 

「・・・やけに学園が騒がしいな。」

 

「ほんとね。なにかあったのかしら?」

 

祝勝会から帰ったロウと月詠は

学園の異変を感じ取っていた。

 

「! ダーリン!」

 

慌てた様子の香ノ葉が駆け寄ってくる。

 

「ダーリン、よかった! 帰ってきてたんやね!」

 

「な、なに? どうかしたの?」

 

「あんな、葵ちゃんのお父さんがな・・・!」

 

「香ノ葉さん! 葵さんが来ました!

 ワタシたちも出られます!」

 

今度はソフィアが駆け寄ってくる。

 

「クエスト申請しますね!」

 

「あ、ありがと。ダーリン、どないしよ!

 あんまりダーリンに頼ってたらあかんって

 わかってるんよ。でも葵ちゃんのお父さんが

 人質にされとるんよ・・・!」

 

「人質だと? どういうことだ?」

 

「後生やから、葵ちゃんを手伝ってくれへん?

 そしたらウチ、なんでもいうこと聞くんよ。

 お願い、ダーリン!」

 

「おい、落ち着け。何があったか、

 ちゃんと説明しろ。」

 

慌てる香ノ葉をなだめる。

 

「ご、ごめんな・・・あんな・・・。

 国会議事堂のすぐ近くにある議員会館が

 ・・・・テロリストに占拠されたっていうて・・・。」

 

「・・・な・・・!?」

 

「なんですってぇ!?」

 

月詠の叫びがこだました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街中

 

「お父様! ああ・・・議員会館が・・・!」

 

議員会館周辺は物々しい

雰囲気に包まれていた。

 

「うわ・・・酷い・・・。」

 

「あ、葵さんのお父さんが捕まってるって

 りありーですか?」

 

「はい・・・笹岡が言っておりましたから、

 信頼できる筋の情報です。それに・・・

 電話がつながりませんし・・・。」

 

何度も電話をかけているが出ない。

 

「警察もわんさか来てるな。今回のクエストは、

 警察、消防への協力だ。葵、忘れるな。

 人質救出は向こうがプロだ。」

 

「存じております。私たちの本分が魔物との

 戦い・・・相手が魔法使いでないなら、

 傷つけることは許されません・・・!

 ですが・・・ああ、お父様・・・どうかご無事で・・・!」

 

不安な表情で議員会館を見る。

 

「・・・でも確かすぐ近くに警視庁も

 あるんですよね? それなのに、占拠されて

 しまうまで誰も気づかなかったのはなぜでしょう・・・?」

 

「と、とにかく警察の責任者にお会いしましょう。

 私たちが協力できることを、お伝えしなければ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園

 

報道部部室

 

「遊佐! 遊佐!」

 

虎千代が駆け込んでくる。

 

「おやおや、僕が役に立てるかな?」

 

「遊佐、いたか・・・!」

 

「・・・言っておくけど、今回の件に関して

 僕も詳細な情報は持っていない。それでもいいかい?」

 

「場所は議員会館だ! あんなに簡単に

 乗っ取られるような場所じゃない! いったい

 何が起きた!?」

 

「簡単にわかれば苦労はしない。だから今、

 苦労して調べているところだ・・・。」

 

まいった、という風にため息をつく。

 

「・・・ただまあ、今の時期にこんな大それた

 ことをやる組織は限られている。」

 

「霧の護り手か!」

 

「キネティッカだ。」

 

「・・・・・・キネ・・・ティッカ・・・?」

 

意外な名前に虎千代は戸惑った

表情を見せる。

 

「共生思想と陰謀論のサラブレッド。魔物を

 作り出したのは人間だの理念。年始に

 行われた国連会議と、この前見つかった500年後の

 裏世界・・・それを受けての行動だと、

 考えられる。時期的にもね。」

 

「・・・・。」

 

「もしくはデーヴィーの一件を掴んで

 しまったかもしれない。」

 

「ロウが狙われた件か?」

 

「キネティッカはそれだけ情報収集に長けている。

 あそこは情報が早いし大胆だ。国連会議の

 時にも仕掛けてきただろ?」

 

「だ、だが・・・キネティッカは日本での

 活動は消極的だったはずだ。」

 

「だから、煽られれば燃え上がる。その材料は

 十二分にある。とにかく、彼らはここまでの

 行動に出たんだ。待とうじゃないか。」

 

ゆっくりとコーヒーを飲む。

 

「今回は国に関することだ。いつも以上に

 失敗は許されない。」

 

「そう、撃退に失敗したら・・・いや、成功

 しても政権が終わるかもしれない。だから

 大事なのは第一手、あちらの目的を知ることだ。」

 

パソコンを開く。

 

「さて・・・テロリストなら、やることが

 あるだろう。僕は待ってるんだ・・・。

 君たちが声明を出さなきゃ、考えていることがわからない・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ

 

「さ、最初は周りの調査から・・・そして、

 突入のため中を調べること、だそうです。」

 

ロウたちは警察からの指示を聞いていた。

 

「中を調べる? ばっと、どうすれば

 いいんですか?」

 

「ここにいたか。探し回ったじゃねぇか。」

 

焔が近づいてくる。

 

「焔ちゃん? 精鋭部隊も来てくれたんやね!」

 

「ああ。だけどアタシがやるのは迷彩だ。

 あんたたちが見つからないようにな。」

 

「おー、メイサイですか!」

 

「光を曲げて、相手から体が見えないように

 する。突入するときは呼べ。いいな。」

 

「それはすぐにでも!」

 

「待て、葵。」

 

焦る葵をロウが制する。

 

「まずは追っかけ正宗に調べさせる。」

 

「そうやえ。せめて入口の周りだけでも確認

 せんと、ウチらだけじゃ戦えんのよ。」

 

「・・・そ、そうですね。」

 

「大丈夫。確実に助けるために、ウチの

 正宗で全部見るんやから。」

 

 

 

 

 

 

 

「秋穂、こんな危ないクエストを

 受けるなんて・・・。」

 

春乃は心配した顔で秋穂を見る。

 

「大丈夫だよ。警察のお手伝いなんだし。

 それに・・・わたし、おねえちゃんを支えたいの。

 そのために、しっかり戦うんだ。」

 

「・・・秋穂・・・。」

 

「だから、わたしが間違ったことをしようと

 してたら、教えてね。」

 

「ええ。とりあえず今回は・・・魔物じゃない

 から、傷つけてはだめよ。」

 

「そのとーりですよ。」

 

2人の後ろから風子が声をかける。

 

「水無月・・・。」

 

「相手が国家を揺るがす大罪人でも、あくまで

 一般人。魔法使いがそれを圧倒すると、人々の

 間には自然と恐怖が生まれます。」

 

「は、はい・・・。」

 

「これはどーしよーもないことなんですよ。

 本能的なものです。魔法使いの力が、当人の

 胸先三寸でいつ牙を向くかわかりませんから。」

 

「・・・そ、そうですね・・・始祖十家の

 人だってそうでしたし・・・。」

 

「それに、今回・・・敵にも魔法使いが

 いるよーですし。」

 

「・・・・なんだって?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。