グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第226話 間ヶ岾の思惑

議員会館

 

「なるほどなるほど・・・代議士の

 命と引き換えに、ライ団員を解放ですか・・・。」

 

風子は少し何度か頷く。

 

「頭おかしーんですかね。テロリストと交渉

 しないのは世界のじょーしきですよ。」

 

「建前が守られていないのも世界の常識だ。

 私たちにとって代議士の命など価値は

 ないが、そちらにはあるのだろう?」

 

デレックはにやりと笑う。

 

「黙っててくれませんか。意見を求めた

 わけじゃねーんですから。」

 

「同胞は返してもらう。理想の世界を作るために。」

 

「・・・黙ってて、くれませんかね。」

 

デレックをキッとにらむ。

 

「黙るものか・・・黙っては、私たちの

 意志は誰にも届かん!」

 

「じゃあ黙らせてあげます。不快ですから。」

 

「み、水無月先輩!」

 

春乃、秋穂が駆け寄ってくる。

 

「おや・・・あなた方も来ましたか。

 見られてませんよね。」

 

「そんなヘマするわけないじゃない。秋穂が

 危険になるもの。」

 

「この男も十分危険ですよ?」

 

「どんな相手でも、1人だけなら秋穂に

 傷はつけさせない。秋穂。お姉ちゃんの

 サポートをお願い。まだ秋穂が戦うには早い。」

 

デレックと対峙する。

 

「う、うん・・・わかった!」

 

「おやおや・・・これはまた・・・

 驚きですね。姉妹一緒で戦いますか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ

 

ロウたちは議員のいる場所に

向かっていた。

 

「魔法使いはもうおらんから大丈夫かな・・・。

 正宗、悪いけどもうひと頑張りしてや。」

 

正宗に議員の場所を探させる。

 

「ここから少し進んだら、食堂があって、

 人質はそこにおるんよ。」

 

「ですが・・・もう私たちの突入は知られて

 いるのでは。一刻も早く行動しなければ

 みなさんが危険な目に・・・。」

 

心配から焦りの表情が見える。

 

「心配するな。警察の連中から聞いたが、

 風子が戦っているおかげでそっちに注目が

 集まっている。こっちもこっそりテロリストを

 倒したしな。」

 

「外では、警察の人が交渉を続けてます。まだ

 ワタシたちがここまで来てることは知らない

 はずだって言ってました。」

 

「それなら・・・いいのですが・・・」

 

わずかながらに安心した顔になる。

 

「でも風子ちゃんと戦ってる魔法使いが

 いつ報告するかわからんのよ。早めに

 行動せな・・・。よし、行ってきぃ、正宗。」

 

 

 

 

 

 

報道部部室

 

「如月さんから聞きました・・・私が、

 私が相手するのですね。」

 

心は今、裏の人格になっている。

 

「相手は裏世界の私で確定しているのですか?」

 

「もし双美心が出てきているなら、僕に

 わかるような証拠は残らない。君でなきゃ

 確定できないのさ。」

 

「具体的に相手がどういう行動をとるかは

 推測できていますか。」

 

「相手の目的が混乱を起こすことだとすると

 裏世界の資料を発表するはず。」

 

鳴子は画面の声明を見る。

 

「先ほどの声明に信憑性を与えるためですね。」

 

「それだって荒唐無稽だ。心から信じる人は

 少ないだろう。だけど・・・繰り返しになるけど、

 これは真実なんだ。人々がそれに気づいたときの

 ダメージは計り知れないぞ。」

 

「・・・わかりました。しかし止められるとは

 限りませんよ。」

 

「僕たちが勝手にやることには大きすぎるし

 相手も強い。ただ、双美心だと確信したい。

 もし危険を感じたら、何もかもを捨てて

 それだけを目指すんだ。」

 

「言われなくとも、私が最も優先するのは

 心ちゃんを守ることです。」

 

自らの胸に手を置く。

 

「敵わない相手ならすぐに退散しますよ。」

 

「いいね。じゃあ・・・始めよう。」

 

 

 

 

 

 

 

「~~♪」

 

恍惚とした表情で双美は

パソコンを操作する。

 

「やっぱりこっちのネットはいいわ。

 速いし脆いし。」

 

「君の魔法を相手に、脆いも堅いもないだろう。

 それよりまだかかるのかね。さっさと流して

 しまうがいい。」

 

腕時計で時刻を確認する。

 

「どうせ今の段階ではただの怪文書だ。

 もったいぶることもあるまい。」

 

「私のやることに口出しをしないでもらえる?」

 

不満な顔でにらむ。

 

「何か狙いがあるならいいがね。下では

 デレックが学園生とやりあっている。やつが

 負けるかもしれない。我々も離れる機会を

 逸しないようにせねば。」

 

「っていうか私たち、ここにいる意味あるの?

 さっさと逃げましょうよ。」

 

「キネティッカにデレックを回したのは私と

 あの男だ。光男君には荷が重かったようでね。

 それに煽った私たちがここにいなければ

 連中は動かなかったさ。」

 

「それを動かすのがあなたの手順だったんじゃ

 ないの・・・ああ・・・」

 

間ヶ岾の考えに合点がいった。

 

「そう、追い詰められているのね。なりふり

 構わないと。」

 

「デレックが優生思想でなければ、もっと

 使い道はあったと思うが・・・この作戦で

 奴と手を組むのは終わりだ。あとは自分で

 どうにかしてもらおう。」

 

にやりと笑う。

 

「じゃあ1つ、私からサプライズよ。食堂の

 議員さんたち、もう救出されるんじゃないかしら。」

 

「そうかね。」

 

特に表情は変わらなかった。

 

「・・・驚きなさいよ・・・それだけ、

 してやられてるってこと?」

 

「魔法使いを相手にしているんだ。何が起きても

 驚かんね。」

 

「キネティッカに教えなくていいの?」

 

「好きにしてくれ。私の目的は世界情勢の

 混乱だ。君が()()()()を流してくれれば

 このテロは成功だよ。それより・・・気になる

 ことがある。始祖十家が学園生を殺そうとした件だ。」

 

「ああ。最初に私が調べたもの? 表向き、

 魔物狩りの。」

 

「実際、本当に魔物狩りだったのかもしれんよ。

 殺しの対象は私も会ったことのある男だ。」

 

間ヶ岾の頭の中にロウの顔が浮かぶ。

 

「あの男のスパイだとはわかってはいたが・・・

 マーヤー・デーヴィーが殺そうとしたと

 なると、非常に興味深い。」

 

「どういうこと? あの学園生がなにか

 特別なの? ・・・実はモンスターだとか?」

 

「モンスターというだけで殺されるいわれはない。

 というより、ある一点を除き、わざわざ始祖十家が

 一個人を殺す理由などない。彼は・・・私が

 これまで見つけられなかった()()()かもしれん。」

 

どこか嬉しそうな笑みを見せる。

 

「切れ端・・・? そういえばあなた、私を

 攫うときにも言ってたわね。ものすごく

 久しぶりに聞いたわ。あなた以外誰も使っていない変な言葉。」

 

「当たり前だ。私がそう呼んでいるだけだからな。

 くく・・・ぜひとも彼を手に入れたくなってきた。

 彼はもしかすると・・・()()()()()()()()()()()

 かもしれんぞ。」

 

「切れ端・・・今度、しっかり意味を

 教えてちょうだい。・・・・! 待って。来た。」

 

操作するスピードを急速に早める。

 

「会えると思った。遊んであげるわ、双美心さん。

 まずはこの流出、止められる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「・・・・・・間ヶ岾はうまく

 やってくれてるな・・・・。」

 

椅子に腰かけた天羽大地がにやりと笑う。

 

「さぁて・・・どうする? ロウ?」

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