グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第227話 2人の言い分

報道部部室

 

「! ウィルスでもファイアーウォールでも

 ない・・・。これは魔法障壁・・・やはり

 双美心がこちらに来ています!」

 

双美の存在を確認した心は

操作のスピードを速くする。

 

「深入りしないでくれ。どうせここで

 決着を着けることはできない。大事

 なのは君がネットワーク上の彼女を知ることだ。」

 

「わかっています。しかし端末を介しては・・・

 仕方ありません、ダイヴします!」

 

「ダイヴ?」

 

心は目を閉じる。

 

「! 会長! 彼女を支えてくれ!」

 

「・・・・・・。」

 

ゆっくりと倒れる。

 

「おっ・・・と・・・双美、双美

 どうした。」

 

「・・・魔法は何でもありか・・・とはいえ

 ・・・ふふ・・・完全にSFだな。」

 

パソコンの画面を見て、鳴子は笑う。

 

「・・・これは・・・僕へのメッセージ

 だな。意識はしっかり体に残ってるのか・・・。

 なるほど。LANケーブルでつないでいるのはそれが理由か。」

 

 

 

 

 

???

 

「・・・・・ここは・・・・。」

 

「双美心さん。初めまして・・・。」

 

心の前に双美が現れる。

 

「あなたなら、できると思ったわ。電子空間上への

 意識の投影。無駄な肉体を捨て、電子情報体と

 なる。そして・・・敵のいないネットワークを

 隅々まで探検し、破壊も思いのまま。」

 

「私に、ネットワークを壊す理由などありません。

 どうやら・・・私と裏世界の私は、まったくの

 別人のようですね。」

 

「ふふ、間ヶ岾が聞いたら真っ赤になって

 怒るわね、それ。」

 

くすくすと笑う。

 

「単刀直入に聞きます。こちらのネットワークを

 破壊するつもりでしょうか。」

 

「さあ・・・気分次第ね。私も単刀直入に

 聞いていいかしら。あなた、ネットワークを

 破壊されたら、どういう気分になる?」

 

「経済が崩壊し、各国間の連携は失われ

 正しく世界の終わりが来ます。」

 

()()()()どういう気分になるかって

 聞いてるの。悲しい? 悔しい? 怒る?

 泣く? 喚く? 笑う?」

 

目を大きく開き、悪い笑みを浮かべる。

 

「できるだけ、あなたを苦しめたいの。

 できるたけ、あがいてほしいの。

 できるだけ、長く悲鳴を聞きたいの。

 ねえ、あなたは何をされた・・・苦しいのかしら?」

 

「・・・・・・・。」

 

心は双美をじっと見る。

 

「今、あなたが目の前にいるのが一番苦しい

 ですね。耐えられないほどに。いくら洗脳

 されているとはいえ、ここまでのクズとは

 思いませんでした。」

 

「じゃあ・・・ここでずっと、2人で暮らす

 なんてどう?」

 

「・・・・・!? しま・・・遊佐さん!」

 

 

 

 

 

 

「双美君・・・双美君。」

 

何度も心の体を揺らす。

 

「う・・・うぅ・・・。」

 

ゆっくりと目を開ける。

 

「・・・よし、なんとか戻ってこれた・・・。

 あと少し遅かったら、危なかった。」

 

鳴子の手にはLANケーブルが

握られていた。

 

「お、おい。いいのか、その線を抜いて。

 意識だけ、その、ネット空間に残って

 しまうかもしれないんじゃないのか?」

 

「そんな映画みたいなことは起きないよ・・・

 とは言い切れないな、魔法なら。でも

 少なくとも今回は、双美君が指示してくれた。」

 

パソコンの画面を指さす。

 

「キーボードが打てるってことは、意識は

 間違いなく双美君の中にあった。LAN

 ケーブルさえ抜いてしまえば、すぐに

 元通りさ。詳しいことは置いておく。すぐ

 保健室に運ぼう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「中に・・・うわ、えぐい。たくさんおるわ。」

 

中の様子が伝わり、驚く。

 

「警察の人が詳しく知りたがってます!

 ワタシが絵を描きますよ!」

 

「よし・・・葵。お前は俺と作戦立てるぞ。」

 

「は、はい・・・。ロウさん。私、どうしても

 父を助けたいのです。ですが、一般の方を

 魔法で攻撃してはいけない。」

 

「ああ、そうだ。」

 

「ですが! 警察に任せて、何もしないというのは

 耐えられません! ですから私にできることで

 ・・・といっても魔法なのですけれど・・・。

 どうすれば・・・教えていただけないでしょうか・・・!」

 

「・・・・・。」

 

目を閉じ、作戦を考える。

 

「・・・なら、一個思いついた。お前ら、耳貸せ。」

 

「!!」

 

ロウは3人に作戦を伝えた。

 

「・・・よし、始めるぞ。」

 

「えっと・・・ウチら、ほんとに目を

 つぶらんでええん?」

 

「はい、頭上に出しますので。警官隊の方にも

 念のため・・・頭上を見上げないように、と。」

 

そう言って、葵は弓を天井に向ける。

 

「らじゃです!」

 

「・・・ソフィアちゃん、速いなぁ。はりきっとるわ。」

 

「おっけーです。行きましょう!」

 

すぐに戻ってきた。

 

「・・・ホンマ速いわ。」

 

「よし・・・行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

「なぜだ・・・なぜ、私がこんな小娘

 どもに・・・私の全力が・・・・!」

 

デレックはぼろぼろで膝を突いていた。

 

「瑠璃川春乃、彼がウチらに負けた原因を

 教えてあげてくだせー。」

 

「秋穂を攻撃しようとしたからよ。」

 

きっぱりと言う。

 

「あ、つまり真面目にそーゆーことを

 話す気はないって意味ですよ。もー

 あなたの顔を見ないですむと思うと、とても

 気分が晴れやかですね。」

 

にやりと笑う。

 

「貴様らは私たち魔法使いが虐げられてきた

 歴史を忘れたのか! 現在もはびこる差別意識を

 なぜ貴様らは殊勝に受け入れているのだ!」

 

「アンタらのよーな人がいるからですよ、

 オマヌケさん。」

 

ビシッとデレックを指さす。

 

「魔法は使い方を誤ると危険なのは事実です。

 過去に利用されたのも、アンタらのよーな

 勘違いが現れたのも魔法のせい。今現在、差別が

 はびこっているなら、それも魔法のせいです。

 ですから魔法使いは、鉄の精神と訓練で魔法を

 制御する必要があるんです。」

 

「魔法使いを利用するだけ利用して捨てる

 連中のためにこの力を抑えるのか・・・!

 私たちはより高位のステージに立ったんだぞ!」

 

「錯覚です。同じ人間です。ただ常に包丁を

 持っているってだけのね。料理人が包丁を持って

 いても怖がらない。そうなるようにするんです。」

 

徐々にデレックに近づく。

 

「グリモアはここ数年、それを実践してきました。

 おかげで里中の料理を食べたいという人が

 増えました。他の高校と同じように、コンクールに

 出られる種目も出てきました。」

 

さらに近づく。

 

「祭りに屋台を出せば、買っていってくれるように

 なったんです。アンタらはそれを一発で台無しに

 しようとしてるんですよ! どんだけめーわく

 被ってると思ってんですか! まだ喚きますか!」

 

「魔法使いが受けた仕打ちを知りつつ、一般人に

 おもねるつもりか!」

 

「対立を煽ることが無益だと、すでに歴史が

 証明してるのに無視しますか! モンマスの悲劇を

 暴力の道具にして、何の恥もないんですか!」

 

「わかったような口を聞くな! かつて

 ヨーロッパは地獄だった! 中世の魔女狩りが

 引き続き行われ、戦わぬ魔法使いは魔物と

 呼ばれた! 一般人は数の暴力で私たちを支配しようとしたのだ!」

 

2人の言葉の応酬は続いた。

 

「それらは事実ですが、その憎しみを今に

 持ち込まねーでくだせー。これ以上、

 時代遅れの寝言を垂れ流すことは許しません。」

 

「み、水無月先輩・・・そろそろ警察の

 人たちが・・・。」

 

「・・・わかりました。浦白と合流します。

 手助けに感謝します。アンタさんがたの

 おかげで勝てましたよ。」

 

そう言って、その場をあとにした。

 

「・・・おねえちゃん・・・水無月先輩が

 あんなに怒ったの、初めて見た・・・。」

 

「ああいう奴だってだけの話よ。どっちが

 正しいってわけでもない。今の言い合いに

 何か感じたなら、よく考えて。戦うってのは

 難しい事だから。」

 

「・・・うん。でも何言ってるか、全然

 わかんなかったよ。」

 

「・・・英語の勉強もしよっか。」

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