グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園
学園に戻ったロウとみちるは
報告を終え・・・
「ふぅ~・・・報告終わり!」
みちるは思い切り伸びをする。
「それで、今日はどこに行くの?」
「? どっか行くのか?」
「もう、何言ってんの。ロウ君って、
クエストの後いっつも遊びに行ってるんでしょ?」
少し頬を膨らませる。
「まあ、確かにそうだが・・・。」
「だから、詳しいロウ君に聞いてるんだ。
で、いつもどんなとこ行ってるの?」
「特に決まってないな。」
「そうなんだ・・・・・あ!」
腕を組んで考えた後、
何かを思いつき手を叩く。
「いいこと思いついた! ・・・行先、
ロウ君に任せちゃおっと。」
「俺に?」
「そっ! そうすれば、どこに行ってるか
自然にわかるってすんぽーだよ。」
自慢げに胸を張る。
「それじゃあ・・・どこまでついていきます!
行こ!」
<ロウ、みちる、移動中>
「・・・うわー・・・こんなところあったっけ?」
2人が来た場所は
学園から少し離れた
デパートの屋上だった。
「今時デパートの屋上にカフェって
珍しいけど・・・・うん、いいね。」
にっこりと笑う。
「ここのカフェのコーヒーがうまいんだよ。
あまり人が来ないから静かでいい。」
「確かに静かだね。それに、学園が見えるのがいいね。
意外と近いんだなぁ・・・。」
みちるの言うように
学園がはっきりと見える。
「・・・おみそれしました。」
丁寧な口調でみちるは頭を下げる。
「だろ?」
ロウはにやりと笑う。
「うん。こんないいところ、知らなかったし。
お茶もおいしいし。やっぱりロウ君、やり手だね?」
「何の話だ?」
「ふふ、なんちゃって。でも素直にすごいなぁって
思うよ。うん。」
そう言いながら、何度も頷く。
「・・・元々さー、私って入学以来地味だったから。
それに、暴走する一発屋だったしね。」
自嘲気味に笑う。
「まあ、以前はあまり話さなかったしな。」
「まさかロウ君のような有名人と話すなんて
思わなかったよ。話してみたら、有名人って
感じなさ過ぎてびっくりしたけど。」
「そもそもそんな扱いとは知らなかったからな。
今はどうだ? 俺の過去については一通り
聞いたろ?」
「・・・確かに聞いたけど、それでもまた
すごいなーって思い始めたんだ。」
ゆっくりと空を見上げる。
「ロウ君ってさ、どんな辛そうなクエストにも
行くじゃん?」
「まあな。」
コーヒーを一口飲む。
「どんな時でも頼み事を断らないっていうか
・・・みんなに頼られてて、それに応える
ことができるって、理想なんだよね。」
「俺が理想か?」
「そう、理想。私の。私ね、ロウ君みたいに
頼られて、それに応えられて・・・ようするに
頼もしい人になりたいんだよね。」
・・・こんなこと言われるようになるとはな・・・。
微かにロウの口角が上がる。
「でも、今ロウ君の真似したら、1日で
つぶれちゃうよ、きっと。絶対。」
「確かにそうかもな。」
「だから、頑張らなきゃね。諦めたりはしないよ。
ロウ君の真似するからダメなんだもんね。
私の魔力量と威力で私にできることをする。
それが、ロウ君から教えてもらったことだもんね。」
ピピピピピ!
「・・・・ん?」
みちるのデバイスが鳴った。
「智ちゃんからだ。なんだろ・・・・・
・・・今月・・・沖縄・・・ええ!?」
デバイスに表示された内容を
見て、みちるは思わず立ち上がる。
「どうした、みちる。」
「ろ、ロウ君! 知ってた!?」
「何がだよ。」
「何がって、沖縄だよ沖縄! 沖縄に
行くんだって!」
「・・・沖縄?」
随分、急に決まったな・・・。
「ど、どうしよう! 水着買わなきゃ!
・・・はっ! ちょうどいるじゃん!
街に! このビルに!」
「かなりテンション上がってるな。」
「だって沖縄だよ沖縄! 去年、ロンドンに
行って、これ以上はちょっと贅沢だな~って
思ったけど・・・今年も行けるってなったら、
そりゃもうテンション上がるでしょ!」
「・・・確かに、そうかもな。」
ロウは穏やかに笑う。
「・・・//」
みちるの顔が少し赤くなる。
「? どうした?」
「え? あ、な、なんでもないよ!?」
手を慌ててバタバタと降る。
「あ、もうすぐバスの時間! 行こ!」
「ああ。」
そう言って、一気にコーヒーを
飲み干した。
2週間後
沖縄 百名ビーチ
「うひゃー! わー! ただいまなのだー!」
故郷に帰ってきた里奈は
砂浜を駆け回る。
「はぁ、はぁ・・・り、リナちゃん・・・
元気すぎ・・・。」
「萌木先輩も急ぎましょう~! 今日は
泳がなきゃですよぉ~!」
里奈につづき、ちひろも
駆け出していく。
「もう・・・遊びに来たわけじゃないのに・・・。」
「与那嶺にとっては久しぶりの地元だ。
仕方ない。」
「ひゃ。か、会長・・・。」
「それに、魔物が海から来るなら、浜辺に
いるのは問題ないだろう。アタシはまず
浜辺で足腰を鍛えるかな!」
そう言って、虎千代も浜辺に向かう。
「そんな・・・いいのかな・・・
・・・いいのかな?」
萌木は嬉しそうな顔を浮かべた。
「いい天気ねぇ~。それに暑いわぁ。
沖縄って感じがするわねぇ~。」
「・・・も、もうついたか?
目を開けてもよいか?」
アイラが目を閉じたまま
ふらふらとやってくる。
「大丈夫ですよ。砂浜です。」
そのアイラをエミリアが誘導する。
「・・・・・・ちらっ。う、海が
近いが・・・陸地じゃ! 助かったぞ!」
「船の上ではずっと気分が悪そうでしたから。
心配しましたよ。」
「飛行機が危ないのはわかるが、よりに
よって船でなくてもよかろう!
このこの。忌々しい海め。」
心配するシャルロットをよそに
アイラは海を睨む。
「さあ、私たちは少し離れたところで
待機よ~。紅芋アイスでも食べて、魔物が
来るのを待ちましょう~。」
「・・・あやせさん、頼もしいですね。
魔物が来るってわかっててもいつも通りです。」
「ありゃマイペースと言うんじゃ。妾たちも
行くぞ、ほれ。」
アイラたちも浜辺に行く。
「・・・魔物の出現を予期するような
テクノロジーはありません。なのに
ここまで確信している・・・というのは・・・
予知の魔法でしょうか・・・?」
午後
「・・・まだ来ないか・・・。」
ロウは海に入らず、
日影で寝っ転がっていた。
「・・・・・・・・んん?」
「・・・現れませんなぁ。」
刀子は周囲を警戒するが
魔物の気配はない。
「あー眠い・・・泳ぎつかれたっす・・・。」
「お主はだらけすぎだ! 動けなくなるまで
遊ぶな!」
「同じくらい遊んで動ける刀子先輩が
おかしいっす~。」
刀子と自由が話していると・・・
「・・・しっ。2人とも静かに。」
姫が制止する。
「「「・・・・・・・。」」」
海より魔物のうめき声が聞こえる。
「ぎゃ! ちかっ!」
「・・・騒ぎが起きていると思いましたが
耳を澄ます必要もありませんでしたね。
魔物が現れたようです。さあ、着替えますよ!」
「御意に!」
「ひぃ~。体がダルい~・・・」
3人は引き返す。
「リナちゃん! 早く着替えないと!」
「わかってるのだ! リナは着替えるの
早いから、萌木は先に行っててくれ!」
萌木を行かせると、里奈は
海にいる魔物を見る。
「・・・来たな。初日に来てくれて
よかったさ。リナがさくっと倒して、
みんなに沖縄を楽しんでもらうのだ。
お前たちなんかに、沖縄を好きにはさせないさ・・・!」