グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
肝試しから数日後
「まったく・・・・いまだに
聞いたら背筋が凍る・・・。」
背中を少し掻く。
「ロウ、少しいいか?」
「? 会長か、どうした?」
登校してきたロウに
虎千代が話しかける。
「単刀直入に言おう。手を
貸してくれないか?」
「・・どういうことだ?」
「クエストだよ。魔物が出たのは
正確には昨日なんだが・・・。」
「?」
「どうやら、タイコンデロガが出たらしいが
まだ、正体不明なんだ。」
「正体不明・・・めんどくせえな・・・。」
「普通なら、出現してすぐに執行部が
大体のデータを出すものなんだよ。
今回はそれがなく、生徒会に出撃要請が出た。
様子がおかしいだろ?」
「きな臭いな。」
はっきり言う。
「しかも、出現したのは洞窟の奥深く。
人的被害はまだ出ていない。
それなのに、アタシを指名した。」
「・・・どう考えてもその
タイ、コン・・デロガだな。」
噛みそうな名前なんだよな・・。
「生徒会役員をはじめ、万全の
態勢で臨む。お前の力が必要だ。」
「・・そこまで言われたら断れねえな・・。
わかったよ、すぐに準備してくる。」
「ああ、頼む。」
「・・・で、このありさまか。」
クエストに向かった
ロウと虎千代であったが、
討伐最中、突如、洞窟が
崩れ、来た道がふさがれ、分断された。
「揺れは収まったが・・・・これでは
退路をふさがれた。」
「くそ、急に揺れたと思ったら・・・
これじゃあ、戻れないな。それに
下手に土砂を動かせねえ・・・。」
「ああ、お前の魔力が膨大なのは
知っているが、永遠に尽きないわけでもない。
ここはおとなしく先に進んで」
「運良ければ、合流できるってわけか。」
取り出していた刀を鞘に
しまう。
「ならさっさと進むか。」
「その前に、現状を確認したい。
適当に座ろう。」
手ごろな岩を見つけ、
そこに腰掛ける。
「今回の討伐対象は不明、洞窟の奥にいる
なにかだ。」
「なにかねえ・・・・。 ・・・!!」
急に立ち上がり、
あたりを見る。
「どうした?」
「今何かのうめき声が聞こえたような・・・。」
「? アタシには聞こえないが・・・。」
「いや、俺自慢じゃないが、耳はいいんだよ。」
耳に手を当て、注意深く聞く。
ゥォォ・・・。
「やっぱり聞こえるな・・・こっちだ。」
「・・ああ、さすがにアタシにも
聞こえたよ。」
「だろ?」
ニッと笑う。
グォォォ・・・。
「! あれは・・・。」
うめき声をあげていたのは
巨大な霧の魔物だった。
「あれは・・・ドラゴンか?」
「そうだ、想像上の動物だ。」
息をひそめ、会話をする。
「にしても、なんにでもなるんだな、
魔物って。」
「だとしたら、妙だとは思わないか?」
「? 何がだ?」
「ドラゴンは想像上の生き物だ。
魔物はそれを一体どうやって知った?」
「・・・そういえば・・・。」
どういうことだ?
「・・わからないんだ。」
「あっさり言ったな」
「でも、アタシたちは倒すことはできる。
ならば、戦うことに恐れはないだろう。」
「・・・だな。」
ロウと虎千代は
ドラゴンに向かい合う。
「行くぞ!」
「了解。・・・『ROOM』!」
ロウ、虎千代、そしてドラゴンの
上半身を青いドームで包む。
「『
突きを繰り出すが、
向こうはあまり意に介しない。
「そんな攻撃ではあまり効かないぞ!」
「くそ、でけえ図体しやがって・・・。」
2人はドラゴンの
両サイドに移動する。
「見ておけ、ロウ。」
虎千代が両手を合わせる。
「?」
「はあああ!!」
極太の雷が
ドラゴンの頭部に命中する。
しかし、弱った様子はなく、
炎を吐こうとする。
「『
深い切り傷を与える。
苦しみながらも炎を吐く。
「『タクト』!」
ドラゴンの炎を2人とは
全く別の方向に逸らす。
「よし、一気に叩くぞ!」
「ああ!」
腕に再び、雷を溜め、放つ。
ロウは一気に走り、
ドラゴンのそばまで近づく。
「『カウンターショック』!!」
ドラゴンの体に直接、
電撃を与える。
うめき声をあげながら、
ドラゴンは倒れ、消滅する。
「ふう・・・・やっと終わった・・・。」
「ああ、だがまだ油断はできない。
今はとにかく、奥に進もう。」
「そうだな。」
刀を鞘にしまう。
ロウと虎千代はさらに歩を進めた。
「・・ふう、大分進んだな、ロウ。」
「ああ、だがいまだに出口のでの
字も見えやしねえ・・・。」
きょろきょろと周りを見る。
「・・・・・ぐっ!?」
ロウが急に自分の
背中を抑える。
「!? どうした!」
「いや・・・古傷が傷んだだけだ・・・。
すぐに収まる・・・。」
痛みが引いたのか、少し伸びをする。
「・・・お前のことは、いろいろ
わからないことがある。」
「なんだ急に。」
「学園に入れる前には、その者をすこし
調べるんだが、お前の素性の一部が
一切わからなかった。」
「・・・だったらどうする?
追い出すか?」
おどけた様子で、
両手を軽く上げる。
「・・・いや、それでは
今度は科研が手を出してくるだろう。
ならば、学園にいた方がいい。」
「・・・あんたならそうすると
思ったよ。どうせ、あんたがわからないと
言ってたのは7歳の部分からだろ?」
「! わかってたのか・・・。」
「ああ、野薔薇にも同じことを言われたよ。」
「そうか・・・・!!」
「・・・どうやら、まだいたようだな。」
2人の前に先ほどより
大きなドラゴンが立ちふさがる。
「『ROOM』!!」
虎千代は両手に
今までより大きな雷を溜める。
ドラゴンは口の中に
炎を溜め、迎撃しようとする。
「なら・・・。」
刀で近くの岩を切断する。
「くらえ!」
切断した数個の岩を
ドラゴンにぶつける。
ドラゴンは気を取られ、
一瞬ひるむ。
「今だ!!」
「ああ! ホワイトプラズマ!!」
白い雷がドラゴンを襲う。
大きな叫び声をあげ、
消滅していった。
「すげ・・・。」
「はあ・・・ああ・・・。」
「相当消費してんな・・・・。」
眼を閉じ、虎千代の
魔力を回復させる。
「すまない・・・。」
「これが俺の役目だしな。
少し休んだら、また先に進むぞ。」
「ああ。」
「これで、討伐の方は終わりか・・・。」
「だが、クエストは受けた全員で
報告しなければならないからな。
早く脱出しよう。」
「ああ。」
2人は出口を探し、
当てもなく歩き続ける。
すると、2人の先に
人影が見える。
「! あれは!」
「うちの精鋭部隊・・・ということは
ようやく出られたか。」
「だな・・・。」
2人のもとに金髪の
女性が近づく。
「にしても、タイコンデロガ相手に
丸2日とはな。」
「! 2日も経ってたのか・・・。」
「・・・ん?」
ロウの姿を見て、首をかしげる。
「? どうした?
てか、あんた確か・・・。」
「メアリー。メアリーウィリアムズだ。
・・・てめえ、どこかで会ったことねえか?」
「・・・いや、人違いだろ。」
顔を若干下に向き、
メアリーの横を通り過ぎる。
「・・・。」
メアリーのもとに
守谷が近づく。
「ねえ、メアリー。あいつ知ってるの?」
「・・・いや、気のせいだ。」
(だが、なんだ? この違和感は・・・。)