グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「アイラちゃんは平気?」
「今日は休んでもらったほうが
いいかもしれませんね。幸い、
私どもの手に負えない魔物、という
わけでもありません。」
どうやら、アイラはダウンしたようだ。
「そ、そうなんですね・・・あの量なのに・・・
いえ! 私だってレティに負けてられません!」
エミリアは頭を横に振り、
魔物に向き合う。
「この規模でひるんじゃだめ!
楽勝ですよね!」
「渡り者だから、ちょっと強いかも
しれないけど・・・みんなで力を
あわせれば、平気よ。」
「渡り者知ってるのだ!」
近くで聞いていた里奈が
元気よく手を挙げる。
「沖縄の人間なら身近だからな。」
「渡り者ってのは海から来た魔物のことさ!
おばぁたちはトゥケーマジムンって呼んでる
けどな。」
「とぅけーまむじん・・・ツクツクホーシ
みたいですねぇ~。」
「いや、どこがだよ。」
「そっか・・・マジムンって悪霊のこと
だから・・・ヴィアンネの人が魔物の
ことを悪魔って言うのと似てるんだね。」
ロウがちひろにつっこむ横で
萌木は納得する。
「沖縄は海に囲まれてて魔物があんまり
出ないから、国軍も少ないさ。魔法使いも
ほとんどいないから・・・リナたちが
いなかったら、ヤバかったのだ。」
浜辺に次々と魔物が乗り込んでくる。
「だから、帰ってきたからには・・・リナ、
魔物を一匹残らず倒すんだ。絶対に
許さないからな!」
国際通り
「・・・ふむ。楯野、お前の場所は
ここでいいのか?」
暑そうにしている望に
虎千代は心配そうに声をかける。
「もっとクーラーが効いたとこがいいけど、
目視は大事だからな。」
そういって、汗を拭う。
「それにしても暑い・・・せめて扇風機
ほしい・・・。」
「この気温でパソコンは大丈夫なのか?」
「直射日光さえ当たらなきゃ・・・・・
いざとなったら魔法で冷やすよ。船の疲れが
取れてないけど、せっかくのちょうどいい・・・
じゃなくて、規模の大きい事件なんだ。
魔物の動き方を観察させてもらうぞ。」
パソコンで魔物の動きを確認する。
「ちなみに、妙に数が多いけど大規模侵攻
じゃないよね?」
「ああ。そこまで多くない。もし大規模侵攻
だったらアタシたちだけじゃ無理だ。」
「だよね・・・沖から来る魔物がほとんどで
街での出現は少ない。今のところ、変な
動きはしてないな。逃げ遅れた人に
襲い掛かってるくらいだ。」
「学園生と、わずかながら国軍が対応している
から大丈夫だ。この厄介な情勢の時によく
動いてくれたものだ・・・・。」
虎千代はパソコンの画面をのぞきこむ。
「この点が魔物か?」
「宍戸経由でJGJに用意してもらった
最新型のレーダーさ。やろうと思えば、
離れたところからちょっとした挙動も
キャッチできる。」
画面上の動きをじっと見る。
「もし魔物が妙な動きをしてたら・・・
ボクが絶対に見逃さないぞ。霧、魔物、
裏世界・・・全部繋がってるはずだ。
ゲームの攻略と同じだ。僕が解き明かしてやる。」
百名ビーチ
「むん!」
刀子の振った薙刀の
一振りにより、魔物が霧散する。
「むっ・・・これは・・・。」
「ひぃー! 疲れるっす! なにこれ
むっちゃ疲れるっす!」
自由がその場にへたりこむ。
「鍛錬が足らんぞ、自由。砂浜に足を取られ
無駄な力が入っているのだ。」
「体力不足は認めますが、そういわれても
すぐに解決できないっす!」
「確かにそうだ。姫殿もきっとお疲れ
だろう。ここはひとつ、道路まで
後退するのも手か。」
「どうした、疲れたのか?」
里奈は2人のもとに駆け寄ってくる。
「これは与那嶺殿。ちょうどいいところに。」
刀子は里奈に後退する案を伝えた。
「んんー、なるほど。リナは全然
平気なんだけどなー。」
「確か去年の今頃も、湘南あたりで
無双してましたよね・・・。」
「ん? なんでそのこと知ってるさ?」
「そりゃ・・・・えっと・・・」
自由の目が泳ぐ。
「どうしよ。アフィサイトのための
情報収集って言ったら刀子先輩に
怒られそう・・・・・あ! いやー、
実は自分もちょうど申し込もうとしていた
クエストでして・・・。」
若干震えた声で答える。
「嘘をつけ。おぬしがそんなに熱心なわけが
ない。ところで、与那嶺殿はどう思う?
多くの生徒が砂浜での戦いに不慣れでござる。
多少、浜は荒れてしまうかもしれないが・・・。」
「いーや、それで魔物を逃がしちゃったら
意味がないさ。っていっても、ビーチで
戦わないと上陸できるところが増えちゃうのだ。
だからお前、リナと一緒にビーチで戦ってくれないか?」
「拙者が?」
「そうだ。リナたちは砂がへっちゃらだから、
ビーチで戦える。で、ロウや萌木たちに
援護してもらうさ。リナたちが倒せなかった分を
任せるのだ。」
「ふむ・・・・。」
刀子は周りの状況を見る。
「戦線を下げると守る範囲が広くなるのも
確かだ。しかし姫殿と離れて戦うなど・・・
支倉としての使命が・・・!」
「『シャンブルズ』!」
ロウが里奈たちの近くに現れる。
「何話してんだ?」
「ぬぅ・・・姫殿が・・・。」
「・・・聞こえてねえのか? ってか、
姫ならそこにいるぞ、刀子。」
「・・・な!?」
ロウの指さした先には
姫がいた。
「・・・ふぉ!? ひひひ姫殿ぉ!」
「ちょっと水分補給してるだけっす・・・
ま、勝手にパーティ帰るのもアレなんで。
ちょっと作戦タイム取りますか。」
「あやせさんのゴーレム、おっきいですねぇ。」
エミリアの視線の先には
あやせが作り出した砂のゴーレムが
魔物と激しい戦闘を繰り広げていた。
「砂でもゴーレムを作れるとは、あやせさんは
命令式を研究されていますね。泥や岩で
ゴーレムを作る方はいますが、砂は珍しいです。」
「他の魔法は苦手だから、せめて得意な属性の
ものくらいはできないと~。ゴーレムちゃん、
ちょっと持ち上げてもらってもいいかしら~。」
ゴーレムはあやせを手の上に乗せ、
高く上げる。
「・・・・あら~? ビーチの生徒が
少なくなってるわねぇ~。どうしたのかしら~。」
「少なくなっている・・・? 与那嶺さんたちが
戦っていますが・・・。」
「リナちゃんたち以外の生徒がいないのよねぇ~。
連絡してみましょうかぁ~。」
「もしもし、野薔薇姫です。」
あやせからの連絡を受けたのは
姫だった。
「・・・・・・ええ。こちらからも
海老名さんのゴーレムが見えますよ。」
あやせのゴーレムを確認する。
「現在、、前線を砂浜で戦える方に任せて
います。私たちは後方で体力の回復と
援護を・・・・あら?」
「・・・・! これは・・・!」
戦っていたロウが何かに気づく。
「ぬおぉ!? あ、あれはなんだ!
新手の魔物か!」
新たに別の魔物が現れる。
「うわぁ! リナたちの後ろ・・・・は
沖だ! 挟み撃ちにされたのだ!」
「くそ、やってくれるな・・・・・!」
「挟み撃ち・・・姫殿はご無事か!?」
「ちっ・・・!」
ロウが刀を振ろうとする。
「待って待ってぇ~。私ですぅ~。
攻撃しちゃだめぇ~。」
魔物ではなく、あやせのゴーレムが
迫っていた。
「ふぇ? あやせか?」
「ではそれは・・・魔法でござるか!」
「野薔薇さんから聞かせてもらいました~。
私たちも協力します~。」
「私も戦闘訓練は受けておりますから、
砂でも問題ありません。」
「えっと・・・私も、大丈夫です!
・・・・たぶん・・・・。」
あやせの他にシャルロット、
エミリアもやってきた。