グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
山奥
「はぁ・・・はぁ・・・。」
「よし、この辺りは片付いたな。」
周囲の魔物を片付けたアイラは
ビーチの方を見る。
「おっと、ビーチの方が騒がしいぞ。
お主、魔力は残っておるか?」
「ま、まだ何とか・・・でも、間に合い
ませんでした・・・。魔物がビーチに
向かっているなら、伝えたかったんですけど・・・。」
「なぁに、ビーチに行くはずの魔物を
ここで間引いたんじゃ。上出来上出来。
ま、次からはやり方を考えるがよい。」
「はい・・・頑張ります。」
百名ビーチ
「一度ロウを離脱させる! みんな魔力補給を
受けろ!」
虎千代が全員に指示を飛ばす。
「ロウを離脱させてどうするのかは
わからんが・・・拙者が考えても詮無い
こと。ただ目の前の敵を斬り伏せるのみよ!」
「う~・・・この魔物、海から来てるんだよな・・・・。」
里奈は魔物と戦いながら、海を見る。
「だったらやれると思うんだけどなぁ・・・。
虎千代! リナ、やりたいことがあるぞ!」
「さあ、ロウさん。このゴーレムに
乗ってください。その方が安全です。」
「ああ、わかった。」
あやせのゴーレムの上に飛び乗る。
「少し揺れますよ。」
「ふぅ~・・・あ、暑い・・・
バテるっす・・・。・・・おや?」
自由は魔物のある変化に気づいた。
「お嬢~! 魔物が曲がりましたよ!」
「曲がる・・・?」
自由の言う通り、魔物の
進む方向が変わっていた。
「あれはゴーレム・・・ゴーレムを
追いかけている?」
「あ~、先輩が乗ってますよぉ。あの
ゴーレム。」
「・・・・はっ。自由! 相手がこちらに
注意を払っていないというなら、チャンスです!
攻撃しますよ!」
「へ~い・・・魔力、使いすぎないように
しないと・・・。」
へろへろになりながらも、
魔物に向かっていく。
「ったく、うっとうしい・・・!」
そう言いながら、ロウは
刀に強化魔法をかけ、刃が黒くなる。
「『ROOM』! 『タクト』!」
刀が回転しながら、
何体もの魔物を切り裂いていく。
その後、刀を自分の手に戻す。
「これで少しは数を減らしたか・・・!」
「・・・話は分かった。だが許可はできん。」
虎千代は里奈のある案を
聞くが、許可を出さない。
「学園生は水中戦闘の訓練をしていない。
危険だ。」
「でもリナならやれるさ! 水の中で
魔物をいっきにやっつけてやるのだ!」
ピピピピピ!
虎千代のデバイスが鳴る。
「楯野からだ。アタシだ。・・・よし、
とれる情報はとったな。こちらも
頃合いだ。これから殲滅する。与那嶺、
水の中で、本当に魔物と戦えるんだな?」
念入りに確認する。
「沖縄の海はリナの庭だ! リナに
任せるのだ!」
「よし・・・陸は東雲に任せよう。
アタシも潜るぞ。」
「へっ?」
まさかの提案に変な声が出る。
「1人で海に行かせるわけにはいかん。
アタシが付き添うのが条件だ。それほど
自信があるなら、後ろで待機しているさ。
アタシも水中での戦いを見たいんだ。
連れて行ってくれるな?」
「・・・わかったさ! リナの強さに
驚くなよ!」
2人は海に入っていく。
「・・・大丈夫か? 戦闘服着たままで
泳げるか?」
「心配無用だ。着衣水泳も鍛錬の内
だからな。」
「よし。なら今から潜るぞ。この辺、
深くなってるから戦いやすいのだ。」
「ここから見ても、水中に魔物が
うじゃうじゃいるのがわかる。」
水の中を何体もの魔物が移動している。
「今はアタシたちに興味がないようだが、
注意しておこう。」
海の中に入る。
「ふふ・・・リナの必殺技、見せてやるさ。」
魔法によって、水が渦巻いていく。
「ぶくっ・・もが!? ばー!
だらべぼぼ!!」
水の中で何かを叫んでいる。
魔法が周りの魔物を巻き込み
攻撃していく。
「ぶぼべー!」
もがきながら、海の中から
出てくる。
「! リナちゃん!」
「ぜー、ぜー・・・も、だめだ・・・。」
萌木が心配して駆け寄る。
「まったく・・・アタシも巻き込まれるかと
思ったぞ。とんでもない規模の渦だった
・・・魔力を使い果たしたみたいだが。」
「ったく、使いすぎるなって言われたろ・・・。」
ロウが虎千代のもとに来る。
「ロウか。魔力をわけてやってくれ。
枯渇してしまっている。」
「ああ。」
里奈に魔力を与える。
「・・・ところで、潜ったとたんに
慌てていたが、なにかあったのか?」
「え? あ・・・あれは・・・必殺技の
名前を叫ぼうとしたら、水の中だと
しゃべれなかったのだ・・・。真理佳と
考えたんだけどなぁ・・・。」
がっくりと肩を落とす。
「あほか、お前・・・。」
「霧塚、他の場所の戦いはどうなってる?」
「あ・・・どこも、ほとんど殲滅したって
言ってました。」
「よし。戦いの終わりまで、あと少しだな。
最後まで気を抜くな! 油断すると
ケガではすまないぞ!」
国際通り
士気の上がったグリモアは
無事、沖縄の魔物を全滅させた。
「・・・やっぱり、ロウが狙われてたな・・・。」
望は今回の魔物の動きを分析していた。
「でも最初からってわけじゃないよな。
魔物が集まりだしたのは途中からだし・・・。
確か伊賀でも似たような挙動だったはず・・・。」
しばらくじっと画面を見る。
「もしかして魔物って、ロウがわかるのか・・・?
なんで? ・・・・・あちぃ・・・・
続きはホテル帰ってやろ・・・・。」
2週間後
魔物の討伐を終えたグリモアの
面々はそれぞれ、沖縄を楽しんでいた。
「・・・・ふぅ・・・・。」
ロウは浜辺で寝っ転がり、
海を眺めていた。
「あ、ロウさん。」
「ん・・・ああ、智花か。」
水着姿の智花がロウの隣に座る。
「沖縄観光、楽しんでますか?
いろんなところに引っ張りだこみたい
ですけど。」
「おかげでくったくただ。ま、
純雄さんへの土産もたっぷり買えたしな。
だから今日はこうやってゆっくりしてんだよ。」
「そうなんですか。私も毎日遊んで
疲れちゃって、今日はゆっくりする日なんです。」
智花は海を見る。
「こうして、浜辺で風に吹かれて・・・
いろんなことがあったなぁって、
思い出してみたりなんかして、ですね。」
「そうか。」
「・・・えっと・・・その・・・。」
言いづらそうにとぎれとぎれで話す。
「どうした?」
「ね、年度末のことなんですけど・・・・。
なんだか、知らないうちにロウさんに
迷惑かけちゃってたみたいで・・・。」
「? 何の話だ。」
「時間停止の魔法のことです。私の
わがままで無意識に発動して・・・
しかもロウさんの魔力を勝手に使ってた
みたいって、ひどいですよね。」
「今更言うなよ。第一こっちは
使われたことにも気づかなかったしな。
それに・・・俺自身も、いろいろ迷惑かけた。」
砂を一掴みしては、下に落とす。
「そんな・・・。」
「それにわがままっていうが、時間停止の
魔法がかかっていなきゃ、俺たちは
とっくのとうに、死んでいた。」
「・・・確かに、そうですけど・・・でも
今年はたくさんの人が違和感を覚えてるし・・・。
だから、いつかちゃんとロウさんに
謝らなきゃって思ってました。」
智花はロウに向き合う。
「・・・こんなに遅くなってしまいました。
そのことも、ごめんなさい。」
「・・・ったく、だから謝るなって。
・・・なら、もう少し付き合え。」
「・・・・・え?」
「もう少しここで話をしよう。
どんな話でもいい。」
「・・・・はい!」
その後、2人はいろいろな話をした。