グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第237話 大深度地下へ

裏世界

 

「言っておくが、今回は目的地が

 確定していない。」

 

先頭に立つ聖奈は今回の

裏世界探索について話し始める。

 

「地下のどこかにいるかもしれない

 生徒会を探す。ある程度目星をつけて

 いるが、そこにいるという保証はなく・・・

 それどころか風飛の地下にいるかも定かではない。」

 

裏世界の風飛の景色を見る。

 

「地下はすでに電気の通っていない、

 暗黒の世界だ。これまでの探索と違い、

 不安にさいなまれ続けるものになる。

 それを覚悟してほしい。」

 

「だーいじょうぶよ。うちのお父さんからの

 情報なんでしょ?」

 

気楽そうな顔で夏海は言う。

 

「仮定に仮定を重ねた推測だ。外れている

 可能性も十分ある。」

 

「それが正しいってことを証明する

 ためにあたしが来たんじゃない。」

 

カメラを構える。

 

「バッチリ任せといて。大人のあんたたち、

 ちゃんとカメラに収めてあげる。」

 

「・・・ああ、頼むぞ。」

 

「んで、こっちの生徒会が、ゲートを閉じる

 方法を知ってるのは事実なのか?」

 

ロウが薫子に尋ねる。

 

「証拠があるわけではありません。」

 

「ないない尽くしじゃねえか。大丈夫なのかよ。」

 

聞いていた焔があきれ気味にため息をつく。

 

「アイツのことを考えて、地下では

 通信も禁止。」

 

焔の言うアイツとは、裏世界の

双美心、ウィッチである。

 

「アタシたちがどこにむかっているか

 わからないように・・・こっちの

 JGJと学園生がわざと衝突して足止め。

 アタシたちが地上に戻ったとき、

 どんな状況になってるかわかんねえぞ。」

 

「承知の上です。それだけ『ゲートを閉じる

 ことができるかもしれない』・・・その

 情報が、人類にとって、私たちにとって

 大きいものだと考えてください。」

 

「・・・まあ、心得ておく。」

 

首を軽くパキっと鳴らす。

 

「・・・ぁ、ぁの・・・も、ぃきぁす

 ・・・か?」

 

おそるおそる、ありすが聞きにくる。

 

「はい。あと5分ほどで、大深度地下に

 入ります。・・・先ほど会計の言った通り、

 暗闇の世界です。こんなことを聞くのは

 失礼かもしれませんが、怖くありませんか?」

 

「・・こぁい・・・ぇす・・・でも・・・・

 ゅぅきさん・・ぉとも・・・ぁち・・・

 ぇすから・・・。」

 

「・・・なるほど、会計も喜ぶと思いますよ。」

 

薫子はありすに微笑む。

 

「が・・・がんばり・・・ぁす・・・。」

 

 

 

 

 

 

???

 

「・・・私は・・・ここで待つ・・・。

 知りたければ・・・ここまでたどり着け・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

風飛大深度地下

 

「・・・ここが・・・大深度地下か・・・。」

 

初めて見るその場所に

ロウは周囲を警戒する。

 

「なあ、電気は通ってねえって

 言ってたよな。じゃあなんで底が

 光ってんだよ。」

 

「蓄光性の素材だそうだ。理由は想像

 するしかないがな。」

 

「大方、電気がなくなったときにせめて

 入り口だけでも・・・ってとこだろ。」

 

「・・・蓄光って夜光塗料とかだよな。

 じゃあ光が届くところだけってことか。」

 

話の蓄光の塗料を見る。

 

「その通りだ。僅かでも光があるのは

 ここまでだ。まさか暗闇が怖いのか?」

 

「冗談きついぜ。」

 

「ここまで来ればよいでしょう。

 みなさん、光の魔法を。」

 

光の魔法によって、

周囲が明るく照らされる。

 

「・・・風飛、大深度地下・・・。」

 

「なんだここ・・・ギリシャの

 神殿みたいだな。」

 

「あたしと同じこと言ってる。」

 

「河川の氾濫をコントロールする、

 貯水槽や放水路の役割を果たす場所です。

 ほかにも大規模侵攻など魔物が現れた際の

 避難場所にもなっています。」

 

「魔物がいないってことはないだろうな。」

 

ロウは周囲を警戒する。

 

「ええ。もう使われなくなって長い

 でしょうから。一応、ここを拠点と

 します。目印をつけていくため注意してください。」

 

そう言って、薫子は

分かりやすい印をつけていく。

 

「この大深度地下は広い。一度迷うと

 戻ってこれなくなりますよ。」

 

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

 

「・・・風飛の地下ってこんな穴だらけ

 だったのかよ。地下鉄に地下街、

 放水路・・・よく陥没しなかったな。」

 

大深度地下の様子を見て、

焔がつぶやく。

 

「東京は風飛以上に穴だらけですよ。

 そして、もちろん対策されています。

 ただ・・・ムサシが現れた時に、大穴が

 あいてしまったようですが。」

 

「今言った大穴から入らなかったのは、

 JGJに気づかれないようにするためだな?」

 

「それが一番の理由ですが、崩壊している

 ところから入るのは危険ですからね。」

 

「てか、そもそも大深度地下ってのは

 なんなんだ?」

 

周囲を警戒しながら、焔は尋ねる。

 

「大深度地下ってのは、土地の持ち主の

 許可なしで政府が使える場所だ。だから

 シェルターや軍事物資輸送に作られている。」

 

「じゃあ、本当に穴だらけなんだな。」

 

「そういうことだ。迷えば

 終わりだな。」

 

 

 

 

<さらに奥へ>

 

 

 

 

「うぅ・・・なによこれぇ、

 ニオイきっつい・・・。もう使われて

 ないんじゃないのよー!」

 

余りの臭いに耐えきれず、

夏海は叫ぶ。

 

『使われないっていっても、動物とか

 いるんだろ? その死骸が腐ったりで

 においはするんじゃねーの。』

 

クレイジープリンセスは余裕そうな

顔を見せる。

 

「あんた、自分はにおい感じないからって

 余裕じゃない。あたしなんて鼻が

 曲がりそうだってのに。ありすもでしょ?」

 

「・・・ぁぃ・・・くさぃ、ぇす・・・。」

 

若干涙目になっている。

 

『え! ありす、大丈夫か? そうだ!

 オレっちがありすの鼻を塞いでやるさね!』

 

そう言って、ありすの肩に

乗り、鼻を塞ぐ。

 

「むぐぐ・・・ぉにぎょ・・・くちゃい・・・。」

 

『がぁん!』

 

「あんたが感じなくても、においは

 しみついてるってことよ。」

 

「楠木、魔物はどうだ?」

 

「・・・・・。」

 

人形を下に降ろし、

気配を確認する。

 

「まもの・・・ぃません・・・。」

 

「よし。明かりをつける。」

 

周囲が明るくなる。

 

「暗い中、すまないな。」

 

「・・・み、みんぁ・・・いるから・・・

 へいき・・・。」

 

「ああ、頼もしいぞ。それと注意するのは

 魔物だけでいい。目標はもっと下だと

 推測される。向こうから来るとも考えづらい。

 地図にない場所になってからが本番だ。

 それまでは楽にしてくれ。」

 

「・・・ぁぃ・・・。」

 

『そんなに気を使わなくていいんだぜ。

 なにせオレっちがついてるんだからな。』

 

自信満々に胸を張る。

 

『な、ありす。オレっちとありすなら

 なんにも心配いらないよな。』

 

「ぁ、ぁの・・・がんばり・・・ます・・・。」

 

「・・・ああ。では必要以上の指図は

 やめて任せることにしよう。私たちの

 先頭は貴様だ。頼んだぞ。」

 

「・・・は、はい・・・!」

 

『任せとけ!』

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