グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第239話 一網打尽

「おびき寄せるぞ。一網打尽にする。」

 

「だ、だからそんな暇ないって!」

 

「私に任せろ。伊達にここで過ごしてきた

 わけではない。」

 

 

 

 

 

 

「はあ!? に、逃げねえで守る!?」

 

裏の聖奈の提案に当然焔は驚く。

 

「っていうか時間稼ぎ! なんか

 魔物をできるだけ集めた方がいいって!」

 

「ばっ・・・かやろ! こんな地の底で

 死ぬつもりなんてねえぞ!」

 

「あたしだって嫌よ! でも逃げ場がないって

 言うんだから仕方ないじゃない!」

 

「くそ・・・おい楠木!」

 

「ひっ・・・ぁ、ぁぃ・・・。」

 

焔の大きな声にありすはびくっと

体が震える。

 

「あ・・・き、聞いてたな。頼む、

 糸を伸ばしてくれ。どこから来る魔物が

 一番早いか、いつごろ来るか、確認してくれ。」

 

「・・・ゎ、わかり、ました・・・!

 ぉにんぎょ・・・ぃっしょ・・・。」

 

『ま、任せろい! ありすはオレっちが

 守り抜いてやるからな!』

 

ありすとクレイジープリンセスは

糸を張りに向かう。

 

「時間稼ぎか・・・何分だよ。」

 

「10分くらいだって。そんな

 長くないよ。」

 

「上等・・・いざとなったらあたり

 一帯崩落させてでも逃げてやる・・・!」

 

 

 

 

 

 

「結城さん! せめて脱出経路を教えて

 いただけませんか!」

 

「穴をあける。」

 

上を見る裏の聖奈はそう言い放つ。

 

「穴をあけてここに水を流し込み、

 私たちは空に逃れる。」

 

「・・・そ、そんな乱暴な・・・!」

 

「貴様らが訪れた以上・・・もうここは

 用を終えた。最後に派手に壊してやろう!」

 

「・・・か、会計。あなた、こんな性格

 だったのですか?」

 

あまりの変わりように薫子は驚く。

 

「・・・・・。」

 

「そろそろいいだろう。仲間を連れて来い。

 ・・・私を縛り付けていたこの場所とも、

 お別れだ。」

 

魔法の準備をする。

その時、裏の聖奈の体から

紫の煙のようなものが現れる。

 

「!! 待て!」

 

「その瘴気は・・・まさか・・・!」

 

 

 

 

「・・・はあ? どれだけ深いと

 思ってんだよ! 穴だらけって言ったって

 こっから地上までの穴をあける・・・!?」

 

裏の聖奈の作戦に驚きを隠せない。

 

「できる! おそらく『あの結城聖奈』なら

 ・・・だから来い! ここにいたら、

 汚水に飲み込まれるぞ!」

 

「・・・ち!」

 

「・・・ぁぅ・・・。」

 

「ありす、大丈夫!?」

 

「ぁぃ・・・こ、こぁく・・・・

 なぃ・・・ぇす・・・。」

 

しかし、体は震えている。

 

「怖くていいのよ! 早くみんなの

 ところに行くわよ!」

 

 

 

 

 

 

「・・・貴様、ロウと言ったな。」

 

ロウの肩を軽くたたく。

 

「ああ。こりゃどうも。」

 

「ちょうどいい。私の魔力では破壊できても

 全員を救うのは無理だった。貴様の力は

 聞いている。私に魔力を貸せ。ここまで

 来た者たちを、死なせはせん。」

 

「そう言う口調は、あまり変わってねえな。

 いいぜ。でなきゃ脱出できねえしな。」

 

その最中、夏海たちが合流する。

 

「・・・岸田か。懐かしい顔だ。

 楠木、成長した自分には会ったか?」

 

「・・・・・。」

 

ありすは首を横に振る。

 

「そうか・・・では、私が会わせてやろう。

 すべての条件が整った。ここからが・・・

 人類の本当の反撃開始だ。耳を塞げ!

 鼓膜が破裂するぞ! 私に全て委ねろ!」

 

光の魔法により、一気に

大穴が広がる。

 

「今、いきます・・・・!」

 

「ムサシによってつくられた大穴が・・・

 さらに大きく・・・」

 

 

 

<ロウたち、脱出>

 

 

 

地上

 

「これは・・・廃墟が一気に

 飲み込まれていってるな・・・。」

 

「・・・しゃ、写真撮らなきゃ!」

 

そう言って、その光景を撮り始める。

 

「・・・ふむ・・・なるほど。全力で

 魔法を撃ち、キャパシティを超えても

 それを補う魔力があり、疲れもそう

 感じない・・・これが魔力譲渡の力か・・・。

 ・・・相田ロウ・・・。」

 

裏の聖奈はロウを見る。

 

「・・・もう少し・・・早く

 現れてくれれば・・・。」

 

「・・・・。」

 

耐え切れず、ロウは目をそらす。

 

いなかったわけじゃねえが・・・

ここは言わないでおくか。

 

「ぐぁ!!」

 

裏の聖奈は苦しみだし、

地面に膝を突く。

 

「・・・あの黒い瘴気・・・魔法を

 使うときに見えたあれは・・・。

 ・・・楠木、どこもけがはしていないな?」

 

「ぁぃ・・・ぃって、くださぃ・・・・。」

 

「ああ・・・聞かなければ・・・!」

 

その時だった。

 

パァン!!

 

銃声が鳴った。

 

「・・・・な・・・・なんだと!?」

 

「・・・ぐぅ・・・。」

 

裏の聖奈は撃たれた腕を押さえる。

 

「私の・・・私の後ろに隠れろ!」

 

「・・・J・・・GJ・・・か・・・!」

 

「おい、大丈夫か・・・!」

 

「すでに陽動部隊は撤収している時間

 ですね・・・。ですが、JGJがこんなに

 派手に動いたのは遊佐さんに会った時以来・・・。

 なぜ・・・いえ、考えている時間はありませんね。

 来栖さん、岸田さん、楠木さん、ロウさん!」

 

4人の名を叫ぶ。

 

「私たちの力でここを切り抜けますよ!」

 

「ちっ・・・おい、相手が一般人

 だからって手加減はしねえぞ。」

 

「ったく・・・。しかし、結構な数だな。」

 

静かに刀を抜く。

 

「無茶言ってる・・・・でもこれ、

 ちょっとやばくない? なんか

 集まってくる量がおかしいよ。」

 

「・・・ゅぅきさ・・・。」

 

「ああ、聖奈だ。JGJに、狙われている。」

 

「・・・・あの人の居場所を聞き出す気か。

 そうだな。あの人がゲートを閉じるのは

 ・・・・共生派には許せないだろう・・・。」

 

痛みに耐え、分析する。

 

「私たちが来たからか!? レジスタンスが

 接触しなかったのはこのためか!?」

 

「そうだが、本質ではない。私はこの一年半

 空の牢獄を守り続けていた。その理由は

 先ほども言ったな。貴様たちを待つためだ。

 だからこれは必然なんだ。まあ・・・先に

 言っておくべきかと思ったがな。」

 

「学園に来い! その傷なら、まだ治療

 できる! いや、私の回復魔法を使っても

 いい! ロウの魔力を使えば・・・!」

 

傷に回復魔法を当てようとする。

 

「待て・・・これを渡す。日付と場所が

 書かれてある。」

 

1枚のメモを手渡す。

 

「指定した日時に、その場所に来い。

 そうすれば武田虎千代に会える。」

 

「・・・今すぐ、案内してもらえないのですか?」

 

「この日が何の日かは、その時にわかる。

 というか・・・その日しかないのだ。絶対に

 遅れるな。それより後でも先でも・・・

 ダメなのだ・・・ぐ!」

 

紫の霧のようなものが現れる。

 

「しまった・・・傷から・・・こんなにも

 入り込んでくるのか・・・。あの人は

 ・・・こんなものにずっと耐えていたのか・・・!」

 

「・・・その・・・体から出ているのは・・・

 ・・・やはり! 貴様、霧に侵されているな!」

 

「なんですって・・・!?」

 

「あのような閉鎖空間に長時間いれば、

 そうなる。必然だ。」

 

自嘲気味に笑う。

 

「先ほどの魔法の威力がおかしかった・・・。

 私にはあんな才能はない。霧が体内に

 入り込み、その代償で魔法の威力が

 上がっているんだな。なんということを・・・

 やっと・・・会えたのに・・・。」

 

「感傷に浸って、いいことなど何もない。

 この状況を抜け出すのに必要なのは

 力だ。例え霧だとしても・・・力に

 なるのなら、問題はない!」

 

再び、魔法を使用する。

 

「待て! その体で魔法を使うな!」

 

聖奈たちは光に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・!? ここは・・・。」

 

聖奈たちは先ほどまでとは

別の場所にいた。

 

「学園の跡地か・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「うむ、成功だ・・・うまく転送できたな・・・。

 だがこれは・・・人数が多すぎたな・・・。」

 

裏の聖奈は地面に横たわる。

 

「・・・JGJに捕まれば、共生派によって

 どんな拷問をされるかわからんな。私の

 役目は終わった。ここは大人しく・・・

 遊佐を真似るか。」

 

銃を取り出し、銃口を頭に向ける。

 

「待って。」

 

誰かがそれを止めた。

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