グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第12章 最期の死闘
第241話 ハロウィンの襲撃


9月26日

 

生徒会室

 

「・・・今年は・・・いつもより

 マシだったはずなのにな・・・。」

 

虎千代は椅子に深く座り、

不安な表情を浮かべる。

 

「まあねえ・・・ロウ君の問題が

 なければ案外あっさり乗り切ってたかもね。」

 

隣の我妻梅はあっさり言う。

 

「それくらい学園の状態がいい・・・

 周辺住民との関係もね。しばらく見ないうちに

 どんな魔法を使ったんだろーね。」

 

「諦めなければ、大抵の事は何とか

 なるということだな。」

 

「魔法使いと一般人の対立は()()()

 ことってレベルじゃないよ。」

 

夜で暗い外を見る。

 

「テロリストが裏世界のことを暴露した

 件で全国的にはざわついているけど・・・

 風飛の人たちはびくともしてない。

 偉業と言っていいんじゃない?」

 

「あなた方先輩たちの努力が実ったんだ。

 それがたまたまこの代だった。それに

 時間停止がなければ、ここにアタシはいない。」

 

「それもすごいって。えっと、何回

 ループしてるんだっけ? 歴代で一番

 長いんじゃない? 新記録だよ。」

 

「・・・まあ、そろそろ卒業せずとも、

 会長の椅子は譲った方がいいと思っている。

 1人が独占していいものじゃないからな。」

 

「・・・それは反対かな。」

 

梅の顔が険しくなる。

 

「どうしてだ。」

 

「目標だと今年度中にテロリスト

 潰しちゃって、来年はいよいよ魔物・・・

 でしょ? 人類史で言えば結構、ていうか

 すごい大事な時期なわけよ。そこで

 トップが変わっちゃうのはなぁ。」

 

「水無月はアタシより優秀だぞ。

 説明もうまい。」

 

「そーゆーことじゃないんだ・・・でも

 そっか。時間停止を解除するなら、来年は

 もう卒業しちゃうのか・・・。」

 

大きくため息をつく。

 

「そういうことになるな。」

 

「・・・そりゃまずいなぁ・・・。」

 

「なるようにしかならん。今日もな。

 ・・・あと数時間か。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

ロウたちは、クエストで山奥の

村に来ていた。

 

「・・・・よし。ロウ君、お疲れさま。

 第8次侵攻は発生せず、だ。」

 

鳴子は時計をチェックし、

小さくため息をつく。

 

「はあ・・・よかった・・・。」

 

ゆかりは胸をなでおろす。

 

「事実をもとに推測すれば、ほぼないと

 言いきれたわ。でも、そうね。起きなくて

 よかった。少し心配だったから。」

 

結希も安堵した表情を浮かべる。

 

「計算の及ばないところで?」

 

「ええ。」

 

「それじゃあ、旅館に戻ろう。」

 

結希とゆかりはそれぞれ戻っていく。

 

「・・・ロウ君。」

 

「ん?」

 

「とりあえずはよかった。・・・君と

 戦うことはなくて。」

 

「!」

 

ロウは目を大きく開く。

 

「来年はこんな心配自体がないように

 しなきゃね。」

 

「来年は時間停止が解除される

 可能性が高いからか。」

 

「ああ。だからそれまでに、勝つための条件を

 整える必要がある。その中には君の

 ことも含まれているんだよ。」

 

顔をロウの耳に近づける。

 

「まあ、期待しててくれ。悪いようには

 しないから。・・・きっとね。」

 

「・・・なら、期待させてもらうとするか。

 俺は俺のやるべきことをするだけだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月

 

喫茶店

 

「おめでとー!」

 

「いえーい、おめでとー!」

 

「おめでとう!」

 

みちる、ヤヨイ、智花は

乾杯する。

 

「・・・それで、なんのおめでとうなの?」

 

乾杯の理由がわからず、

智花は首をかしげる。

 

「そりゃあ、第8次侵攻が来なかったことだよ。」

 

「え・・・そうだったんだ。知らなかった。」

 

ヤヨイは驚いた顔をする。

 

「じゃあヤヨイちゃん、なにに

 おめでとうって言ってたの!?」

 

「は、ハロウィンおめでとうって・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

街中

 

1人の子供が携帯で

メールを書いていた。

 

「ジェイソン・・・へ。1人でふうびまで

 これました・・・ふうびではハロウィンの

 おまつりしてます。とてもにぎやか。梅と

 会えてないので、バスでグリモアまでいきます。

 しんぴの国、ヤパニより。ジェンニ。

 ・・・えっと、バス停・・・。」

 

ジェンニはバス停を探し、

きょろきょろとする。

 

「わわ・・・・・あわわ。」

 

体が小さいため、

人ごみにどんどん流されてしまう。

 

「きゅ。」

 

「わ!? ご、ごめんごめん!」

 

ジェンニはみちるとぶつかった。

 

「エイセミターン・・・えっと・・・

 だいじょぶ。」

 

「外国の子だ・・・えっと・・・ハロー?」

 

ぎこちない英語で話しかける。

 

「ヤパニのことば、わかる。モイ。こにちは。

 ぼく、ジェンニ。グリモアのバスのあるところ、

 おしえてください。」

 

「グリモア? グリモアに用事があるの?」

 

「はい、ともだちいるです。」

 

「友達? 誰だろ・・・あ、私もね、

 グリモアの生徒!」

 

「ほんと? ワガツマウメ、しってる?」

 

「わがつま・・・梅さん? え?

 我妻さんの知り合い?」

 

「エアポート、きてくれなかった。ぼく、

 ひとりできました。」

 

シュンとした顔になる。

 

「あー、えーっと・・・ちょっと待ってて!」

 

みちるは智花、ヤヨイのもとに行き、

経緯を説明した。

 

「我妻さんの・・・お友達・・・?

 もしかして・・・」

 

「モイ。」

 

ジェンニもやってくる。

 

「モイ! 知ってるよ。フィンランドの

 挨拶だよね。」

 

「フィンランド・・・あ。みちるちゃん、

 もしかしたらあの子、始祖十家の人じゃない?」

 

「始祖十家? なんで急に・・・。」

 

「ほら、フィンランドの始祖十家って、確か

 今は小さな子供が・・・」

 

その時だった。

 

ドォン!

 

大きな爆発音が街に響く。

 

「・・・・・え?」

 

「な、なに、今の・・・・」

 

状況が呑み込めない中

次々と霧の魔物が現れる。

 

「嘘!? 魔物!?」

 

「げっ・・・第8次侵攻が来なくて

 安心してたのに・・・!」

 

「・・・・・まもの、いかなきゃ・・・。

 モイモイ。」

 

ジェンニは魔物を追いかける。

 

「あ、ちょ、ちょっと待って!

 み、みんなー!」

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

「きゃあー! 助けてー!」

 

街にいた人たちは大声をあげ、逃げ惑う。

 

「・・・・秋穂がせっかく楽しんでたのに・・・

 やってくれるじゃない。」

 

春乃の目は怒りに燃えていた。

 

「そんなにぶっ飛ばされたいわけね。

 望みどおりバラバラにしてやる・・・!」

 

「モイ。」

 

そんな春乃の目の前をジェンニが

横切る。

 

「ん?」

 

「まもの、どっちですか。」

 

「あっちよ。危ないから、さっさと

 逃げなさい。」

 

「だいじょぶ。ぼく、まほうつかい。

 あなたがあぶないので、にげてください。」

 

「・・・魔法・・・使い?」

 

疑った目でジェンニを見る。

 

「何言ってんの、あの子供・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「ロウ君! こっちこっち! 早くー!」

 

「何とか着いた・・・。で、さっき

 言ってた始祖十家、どこ行ったんだ?」

 

きょろきょろと見て探す。

 

「1人で魔物、倒しに行っちゃったんだって

 ・・・危ないから、助けに行かなきゃ!」

 

「2人ともー! 目撃情報あったよー!」

 

ヤヨイと智花が2人に駆け寄ってくる。

 

「どこに行ったんだ?」

 

「北に行ったみたい! 追いかけないと!」

 

「1週間遅れの第8次侵攻とかじゃない。

 普通の魔物の襲撃だから、思いっきり

 戦おうね!」

 

みちるとヤヨイは北に向かう。

 

「・・・普通の魔物の襲撃・・・。街が

 襲われるのも、普通になっちゃったんですね。

 ・・・どうなっちゃうのかな・・・。」

 

「どうした智花。早く行くぞ。」

 

「あ、は、はい! 頑張りましょうね、ロウさん!」

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