グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
街中
「・・・なんだろ・・・この大きさ・・・。」
どんどん大きくなっていく
魔物の様子に浅梨は驚きを隠せない。
「魔物がこんなに短時間で、ここまで
大きくなるなんて・・・。」
「浅梨。」
ジェンニが浅梨を見つける。
「あ! ジェンニ!」
「きりに、ひかれたんだね。」
「ジェンニ。魔物がおかしいよ。
逃げよう。」
「ぼく、あさり、さがしにきた。あさりは
にげて。でもぼく、にげない。まもの、
ぼくのてき。」
「だって、ジェンニの魔力が心配だよ。」
「ころす。じゃないとこわれる。まち、
こわれるので。」
そう言って、ジェンニは魔物と向き合った。
魔物は街を破壊していく。
「街が・・・確かに、魔物が大きくなったら
危ないけど・・・ジェンニ、もう結構
歩いてるでしょ? 魔力が減ってるよね?
ここはみんなに任せて私たちは・・・」
「浅梨。たくさんのまもの、たくさん
あつまるの、へんなので。きけん。」
「・・・・・。」
2人のやり取りを追いついた春乃は見ていた。
「アンタたち、あたしは秋穂のところに
行きたいの。勝手にどこか行かないで。」
「あきほ、だいじなひとですか?」
「当たり前でしょ。世界一大事な
かわいい妹だ。」
「ではいってください。ぼく、だいじょぶ。
オリジナル・テンです。」
「大丈夫じゃないです!」
浅梨は強く言う。
「ジェンニは魔物を見たら、どんなに
危険でも気にしないんです! ジェンニだけが
戦わなくていいの。学園の皆と合流しよう。」
「浅梨、ありがと。でも、ぼくのしめい。
しらないひと、いっしょできない。
しんせつなおねえさん。だいじなひと、
おけがのないこと、ねがってます。また
おあいしましょう。モイモイ。」
ペコリと頭を下げると、ジェンニは
魔物を追いかける。
「あ・・・ジェンニ! る、瑠璃川さん!
ジェンニのこと・・・。」
「・・・・・さっき、精鋭部隊からあの子を
保護しにくるって連絡があった。円野が
来るまでだからね。そしたら、あたしは
秋穂のところに行く。」
「瑠璃川さん・・・ありがとうございます!」
「わ、私たちって結局どうするの!?」
「ひとまずは、俺とジェンニ・コッコの
合流が最優先だと。」
「うん! コッコさんはそのまま魔物の退治、
私たちは街の人の避難を続ける!」
魔物を倒し、人々を誘導する。
「始祖十家だけど、1人でなんとかするのは
難しいってことだね。まだ9歳だからかな・・・
ま、避難誘導は合流地点へ移動しながらでも
できるし。慌てず騒がずがんばろ。」
「きゃ!?」
魔物はどんどん大きくなっていき
建物の高さを超える。
「魔物があそこまで・・・!」
大きくなりながらゆっくり進む。
「・・・や、やば! ドミノ倒しに
なっちゃう!」
魔物を止めようとするが・・・
「そこ! 迷うな!」
「あ・・・わ、我妻さん!」
梅が魔法によって、建物を支える。
「ビルは私に任せて、ジェンニと
ロウ君を合流させなさい! それが
一番早いんだから!」
「は、はい!」
「わかりました!」
「・・・っと、その前に・・・。」
行こうとしたロウは立ち止まる。
「ん? ロウ君、あなたも・・・」
ロウは梅の魔力を補充した。
「念のためだ。」
「ふふ、魔力、ありがと。」
<ロウたち、移動中>
「魔物だけにダメージを与える光の波?」
春乃たちは真理佳と合流していた。
「はい! だから先輩の魔力で
コッコさんの力を最大で放てば・・・
街の魔物を一掃できるって教官が言ってました!」
「・・・あのタイコンテロガも?」
大きくなった魔物を指さす。
「う・・・それはちょっとわかりませんが・・・。」
「まあいい。アンタが来たから、あたしは
もう行くわ。」
「ええ!? どこに!?」
「決まってるじゃない。」
そう言うと、一気に駆け出して行った。
「あ・・・行っちゃった・・・。」
「真理佳さん! 来てくれてありがとう
ございます!」
「モイ。」
「・・・も、モイ? その・・・ちょっと
顔色が悪いけど、大丈夫?」
真理佳の言う通り、ジェンニの
顔には疲れが見えていた。
「いつものぼくです。」
「もう・・・魔力が減ってるのに、
強がるんだから・・・。」
「ぼく、オリジナル・テン。まもの、ころす。」
「このままじゃ危険だよ・・・すぐ応援が
来るから、それを待って。」
「おーえん?」
「真理佳さん、応援って・・・」
そのとき、青色のサークルが張られる。
「『シャンブルズ』!」
ロウたちの姿が現れる。
「いた! いたよ!」
「ほれ、早かったろ。」
「思ったより近づいてたんだね・・・。」
「あ・・・みなさん・・・・」
ジェンニはばたりと倒れてしまう。
「ジェンニ! やっぱり、飛行機で
疲れてたのに、無理しちゃってたんだ・・・。」
「・・・よし、すぐに魔力を補充する。」
「私たちは・・・」
「この辺の人の、避難だね。」
「・・・みなさん! 魔物がいないのはこちらです!
慌てず避難してください! もし現れても
私たちが戦います!」
人々を次々と誘導していく。
「こっちのほう、避難終わったよ! なんか、
頑張ってって声かけてくれる人いたんだ。
気を付けて、とかも。うれしいなぁ。」
「声を・・・そうなんだ・・・。私も嬉しい。
ちょっと前まで、聞けなかったから。」
「そうなの?」
「前はずっと、魔法使いって腫れ物に触る
ような扱いだったんだ。魔法使いのほうも
積極的に働きかけたりはしなくて・・・だから
ここ数年で、街の人たちとの距離ってかなり
近くなってるの。」
避難する人たちを見る。
「そう・・・ちょうど、ロウさんが来て、
第7次侵攻が起きて・・・その後くらいから。」
「ふうん・・・アタシが来たときはもう
今みたいな感じだったからねえ。そんな
時期があったなんて、びっくりかも。」
「うん、でも今のほうがずっとずっと、いいよね!
・・・そのためにも、がんばらなきゃ。」
「・・・むくり。」
倒れていたジェンニは
ふっと起き上がる。
「あ、ジェンニ、起きました! どう?
よくなった?」
「・・・ふしぎ。ぼくのまりょく、
どうして・・・?」
「先輩が魔力を受け渡してくれたんだよ。
ね、先輩!」
「そういうことだ。」
「・・・せんぱい・・・。」
ロウをじっと見る。
「エイケスタ。せんぱい、ありがとうございます。
ぼくのすきなサルミアッキです。あげる。」
「ん、ああ、どうも・・・。」
ヒゲをつけ、サルミアッキを手渡す。
「な、なんでヒゲを・・・?」
「これでぼく、タイコンデロガたおせます。
浅梨。いっしょ、どうぞ。」
「うん。もちろん!」
「タイコンデロガに近づくまでの護衛は僕が!」
「私も行く!」
「みんな・・・ありがとうございます。
よろしくです。」
<ロウたち、移動中>
ロウたちは、巨大な魔物の前に
たどり着いた。
「おっきいまもの、でもまもの。
ジェンニ・コッコ。オリジナル・テン。
ぼく、英雄のむすこ。」
ゆっくりと目を閉じる。
「娘だよ、娘!」
「ぜんぶのまもの、ほろぼすもの。
しんみょうにおなわにつきましょう。」
「・・・今のは何だ?」
「前に、ジェンニに格好いい口上を
あげようってなったんです。お正月に
始祖十家のみんなが集まって作ったものです。」
「そうなんだ・・・始祖十家って
お茶目なんだね・・・。」
「まほう、くらうです。」
魔物の前に手をかざす。
「キイントタハティ!」
周囲の魔物は次々と爆発していく。
「こりゃすげえな・・・だが・・・。」
「まだタイコンデロガが残ってます!」
「がーん・・・・」
再びジェンニはばたりと倒れてしまう。
「あ、ジェンニ! 魔力を一気に
使いすぎたみたいです。少し
休ませないと・・・。」
「それなら、あのタイコンデロガは
僕たちで・・・」
「待った! ここは私に任せて!」
みちるは魔物の前に立つ。
「ロウ君、わたし、あれやってみる!」
「あれ・・・? ・・・ったく、
わかったわかった。」
魔力を補給していく。
「いっくよ~! ホワイト・プラズマ!!」
みちるの巨大な威力の魔法に
よって、タイコンデロガは霧散した。