グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
保健室
「むくり。」
ベッドで寝ていたジェンニが
目を覚ます。
「ん、起きたか。」
「・・・ここどこ?」
「グリモアだよ~・・・あ、もう
ダメ・・・。」
隣のベッドでは、みちるが
ぐったりと寝転がっていた。
「・・・・・せんぱい。浅梨。
グリモアのみなさん、つおいです。
ぼく、いなくてもだいじょぶだったのかな。」
「そんなことないよ。だってほとんどの
魔物はジェンニが倒したんだし・・・
そのおかげで、街への被害も少なかったもん。
ね、先輩!」
「ああ。いなきゃ今頃、街は
ボロボロだったな。」
「・・・・・よかったです。」
ジェンニはヒゲをつけ、にこりと笑う。
「サルミアッキ、あげます。じー・・・。」
「ふふ・・・。」
「・・・ところで、浅梨。あの
ヒゲはなんだ?」
「あ、ジェンニは可愛い物や好きなものを
見るときの顔が恥ずかしいみたいで・・・
前にお姉ちゃんがプレゼントした付けヒゲで
顔を隠しちゃうんですよね。」
「ジェイソンみたいなおねえさんも、
あげます。」
みちるの横に置く。
「ありがと・・・。」
箱を開け、中の菓子を取って食べる。
「・・・ふが! な、何この味・・・・。」
「おいしい?」
「・・・け、健康に良さそうな味
・・・かも・・・? ・・・あ、
やっぱ無理・・・がく・・・」
1週間後
魔法使いの村
「・・・大丈夫なのか、夏海。」
「だってこうでもしないとわかんないじゃない。」
ロウ、夏海、怜は
あることを調べるため、来ていた。
「ほら、ロウ。あんたが霧の嵐で
飛ばされるときってさ・・・ほぼ
この村にいるでしょ?」
「そういや、そうだな。お前にしちゃ
よく気づいたもんだ。」
「一言余計よ! とにかく、絶対理由が
あるの! あるはず! だから・・・
フフフ・・・せめてあんたと一緒に
飛ばされてみないと・・・百聞は
一見にしかずっていうもんね!」
「夏海・・・お前が霧の嵐を調べていたのは
父親に会いたかったからじゃないのか?
それが叶ったのに、まだ続けるのか・・・?」
「そ、そんなこと話したっけ?」
少し顔を赤くし、目が泳ぐ。
「・・・オホン! 確かにそんなこと
考えてた時期もありました! でもね、
今は違うの! あたしはもう部長に
認めてもらったの!」
「あれがねぇ・・・。」
「で、この霧の嵐を調べるのは、
一人前になってから初の大きな仕事なの!
『神秘! 霧の嵐に隠されたコズミック・
ミステリー!』
少し、地面が揺れる。
「・・・まあ、理由はわかったが・・・
ロウをあまり疲れさせるなよ。まだ
ハロウィン事件の疲れが残っている
だろうからな・・・。」
「問題ねえよ。授業中寝て、回復
してるからな。」
また、地面が揺れる。
「・・・・んん?」
「おおーい、夏海ー。」
花梨が3人に駆け寄る。
「待ってたわよ!」
「張り込みするって言いだしたとき、
なんだべって思ったけどよ。霧の嵐
調べるって目ん玉キラキラさせて
言うもんだすけ・・・こんぐれえは
手伝ってやらねばなぁ。」
持っていた包みを手渡した。
「そ、そんなにキラキラさせてた・・・?」
「してたよぉ。」
「うぅ・・・とにかく! これまで霧の嵐で
ロウが危ない目にあったことは少ない!
普通はさ、お父さんみたいに戻ってこれないのよ。
でもロウは違う。過去に行ったり、大事件の
さなかだったり・・・」
また、地面が揺れる。
「共通しているのは学園生に会ってるって
こと。だからその話を・・・」
「・・・夏海、一旦待て。」
「今の揺れ・・・もしかして・・・。」
「え!? ま、またなの!? もしかして
またなの!?」
「どうやら、そうらしいな。ちょっと
行ってくる。」
ロウたちは霧の嵐に飲み込まれる。
「ちょっと置いていかないでってば~!」
???
「・・・はぁ、またこれか・・・。」
そう言って、周りを見る。
景色はハロウィンで盛り上がっている
様子だった。
「ロウ。」
「ん、怜か。」
「無事か?」
「問題ない。やっぱり霧の嵐だな。
建物の感じを見ると、大方、過去の
風飛だろうな。」
「・・・さすがに落ち着いているな。」
ロウの様子に怜は若干戸惑う。
「怜が来ているってことは・・・
子供のお前もここに?」
「ああ。これまでの話だと、私に会う
可能性は高そうだ。一緒に霧の嵐に
飲み込まれた生徒が誰かわかっているか?」
「あの時、近くにいたのは夏海と花梨だ。
少なくとも、この2人はいるはずだ。」
「すぐに探そう。あと表の学園と
連絡を取ることを忘れずに、だ。」
「しかし・・・どれくらい前なのかが
いまいちわからねえな・・・。」
キョロキョロ見るが、現在の
年を示すものは見つからない。
「なにか年がわかるものは・・・・む?」
怜が何かを見つける。
怯えた顔をして、まわりを
きょろきょろと見ている女の子だった。
「・・・まさか、あれ・・・」
「ああ、私だ。・・・待て。隣に
いるのは・・・」
怯えた女の子の隣には
おっとりとした顔の女の子がいた。
「あらあら~。」
「この感じ・・・確かあやせ・・・・
・・・・は?」
「なに!? 海老名!?」
予想外の人物に驚く2人。
「神凪さん、ロウさん。ちょうどいい
ところに~。」
あやせが2人に合流する。
「え、海老名・・・まさかお前が
霧の嵐に・・・?」
「霧の嵐・・・ですか? 歓談部で
お茶を飲んでいたはずなんですが、
いつの間にか街に来てしまって・・・。」
「歓談部から・・・? まさか、
法則がずれてきたか・・・? いや、
それは置いとくか。あやせ、実はここは・・・」
<ロウ、説明中>
「なるほど~・・・では、ここは
過去の風飛・・・。」
「なるほど~。」
「わぁ!?」
「うぉ!?」
3人の近くにいつの間にか
子供のあやせがいた。
「あら? どこかで見たことがある
女の子ねえ~。」
「こんばんは~。わたし、海老名あやせと
いいます~。」
「あらあら、これはご丁寧に~・・・
海老名、あやせさん? ええと・・・・
奇遇ね~。わたしもあやせって言うのよ~。」
「あ、そ、その場しのぎで対応しては・・・。」
あまりの展開にしどろもどろになる。
「いや、この際仕方ねえよ。やることは
わかってるよな?」
「あ、ああ。子供たちから『表と違う部分』を
聞き出すことだ。私はこの世界の自分の
ところに行って、話をしてくる。」
子供の自分のところに向かう。
「・・・てことだ。頼むぞ、あやせ。」
「表と違う部分・・・そうですねぇ~・・・
海老名さん、お父さんたちとはぐれちゃったのかしら~?」
「お父さ~ん・・・ぐすぐす・・・。」
子供の怜は必死に涙を拭う。
「・・・えー・・・あー・・・
オホン。」
「あ・・・。」
互いに目が合う。
「どうした、両親とはぐれたか?」
「う、うぅ・・・。」
ゆっくりと後ずさる。
「む。どうした。」
「ふぇぇ・・・。」
怜が近づこうとすると、子供の怜は
近くの木で自分の姿を隠そうとする。
「こ、怖くないぞ。私はその・・・
優しいお姉さんだ。」
「ううぅ~・・・・。」
目から涙があふれそうになる。
「んなこったろうと思った。」
「ろ、ロウ!」
「ひ!」
子供の怜がびくっとなる。
「その、実は、子供の私は、少し怖がりでな・・・
は、恥ずかしかったので自分で何とかしようと
したんだが、このざまだ。」
「ったく・・・。」
「こんにちは~。」
「わぁ!?」
子供のあやせがいつの間にか2人の
後ろにいた。
「うふふ・・・よしよし大丈夫よ~。」
子供のあやせは子供の怜を優しくなでる。
「お、お父さんがどこかに、行っちゃった・・・。」
「お姉さんたちが一緒に探してくれるって
言ってたわよ。ほら、優しそうな人たち
でしょう~?」
「ぐす・・・そう・・・かな・・・。」
「そうよ~リーヴスさんの言う通りだったわ~。」
「・・・すげえな、あやせ・・・。
・・・リーヴス?」
「神凪さん。」
「わあ!?」
大きな声で怜は驚く。
「あ、ごめんなさい~。」
「い、いや、少し動揺しただけだ・・・。」
「あの、子供の私が今、言ったこと
なんだけど~。」
「ん? そう言えば、誰かの名前を・・・」
「リーヴス・・・だな?」
「ええ~。アイダ・リーヴスのことだわ・・・。」