グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「倒せ―、ブラックジョーカー団♪
せいぎのまほうでやっつけろー。
エバーラスティングビーム! ビビビー!」
子供の花梨は大きな声で歌う。
「ブラックジョーカー団ってなんだろう・・・?」
「なんでしょう~?」
「ああ~。あんまり大きい声で
騒がないでけろじゃ~・・・。」
花梨は恥ずかしさで顔を手で隠す。
「ブラックジョーカー団?」
「なんのことかしら~?」
「・・・やっぱ知らねえべな・・・
テレビ番組だべ。この時期にやってた
特撮番組で、ブラックジョーカー団は
悪役なんだぁ。」
「特撮番組と言うと、男の子向けの・・・?」
「おらの実家の方だと、みいんな
見てたすけ。局地的な人気だったんだべか・・・。
ロウ、あんた知らない?」
「俺がガキの頃に見てると思うか?」
手を仰ぎ、軽く言う。
「あ、そ、そうだったべな・・・。」
「ええと・・・おほほ、わたしは
ブラックジョーカー団の女たいてい!
ホワイトヒーローたちよ、あなたたちは
ここで終わりです!」
そばで子供たちは
ごっこ遊びをしていた。
「え、えっとえっと・・・」
「負けちゃダメだべ! ホワイトヒーローの
力をあわせればなんも大丈夫!」
「おー。」
「あんたも一緒に・・・せーの・・・」
「あ、う・・・えーい!」
「あ~れ~・・・。」
大きな声で楽しく遊ぶ。
「遊んでくれてありがとねぇ・・・。」
「いいのよ~。」
「子供たちの気が紛れているのは
いいことですから。」
「・・・幼い私が『警察に悪い人が
いる』と言っていたのが気になる。
もう少し子供たちを歩き回らせたい。
家族には・・・会わせたいが・・・」
怜は子供たちを見て、申し訳ない顔になる。
「なんだか、酷い事を提案しているな、
私は。」
「あまり思い詰めても仕方がありません。
警察に悪い人がいるというのであれば、
それが誰かを確認し・・・しかるべき
ところに通報すれば、予防になります。」
「しかるべきところ・・・だが私たちは
こちらの世界では・・・」
子供の怜を見る。
「いや、神社か。警察から独立している
自警勢力・・・その警官が悪人である
という証拠を取って、神社に渡せば
いいんだ。そうすれば子供たちに被害が
及ばないよう、動くはず。」
「あのぉ~・・・」
子供のましろが駆け寄ってくる。
「ん、どうした?」
「みんなで、ブラックジョーカー団を
探すことになって・・・。」
「うぅ・・・あまり自主的に動かれると・・・
困るな・・・。」
「まあ、ここは乗っかっとけ。案外、
向こうから引っかかってくれるかも
しれねえしな。」
「そんだば、今からその・・・ブラック
ジョーカー団探しに行くすけ。悪い奴の
こと知ってたら、教えてくれると嬉しいべ。」
「悪いひと・・・?」
「さっき怜ちゃんが言ってた、悪い
けいさつのひとのことかしら~。」
「詳しく聞いていいべか?」
「えっとね・・・」
「そこの子供たち。」
不意に誰かが声をかける。
「ひ!?」
「・・・ん?」
「この辺で騒いでる子供がいると
通報があったんだが・・・」
声をかけたのは、警察官だった。
「あー、すみませ・・・・」
ロウは警官の顔を見て、
言葉が止まる。
「・・・? どうかしたかな?」
「・・・あ、いや、なんでもないです。
えっと・・・ほら、謝って。」
「・・・そんなにうるさかった?」
「大声出しては迷惑だっきゃ。はい、
もうしませんって。」
「・・・ごめんなさい。もう騒ぎません。」
子供の花梨は頭を下げる。
「保護者はどこ? 子供だけだと危ない
から、離れちゃだめだよ。・・・君たちは
グリモアの生徒か?」
ロウたちの制服を見て、尋ねる。
「ああ・・・親戚が遊びに来たんで、
久しぶりに会ったんですよ。」
「・・・次に会った時に子供だけ
だったら、学園に連絡するからね。」
そう言うと、警官は立ち去っていった。
「はあ~・・・疑われてねえべな?」
「・・・・・・。」
「ロウ? どうしたっきゃ?」
「・・・いや、なんでもねえ。」
「そうか・・・次見つかったら学園さ
連絡か・・・急がねばなあ・・・。」
「・・・い、いまのひと・・・」
子供の怜がさっきの警官を指さす。
「ん? どうした?」
「今のひと・・・悪いひとだ・・・。」
「・・・なんだってぇ・・・?」
「悪いひとがいた・・・?」
子供のましろは警官を見る。
「岸田のおじさんに、写真見せてもらったの。
そしたら同じ顔の人がいまきて・・・」
「そうですか・・・断定するわけには
いきませんが・・・」
「少し様子見てくる。」
そう言って、ロウは警官をあとを追った。
「・・・あの警官・・・」
物陰から警官の様子をうかがう。
「どこかで見たことがあるんですよね・・・。」
「! あやせか・・・おどかすな。
やっぱり、お前も見たことあったか。」
「そうなんです。、もっと別の場所で・・・。」
「ああ、きっとお前だけじゃないだろう。
念のため、風紀委員に送っておくか。」
デバイスを取り出し、こっそり
警官の写真を撮る。
「念のため・・・ということは、ロウさんは
あの人のことを・・・?」
「ああ、あれは・・・」
「偉い人ではないでしょうか~。」
「きゃあ!?」
いつの間にか、子供のあやせがいた。
「リーヴスさんが言ってました~。
見覚えがあるけど顔が出てこない・・・
そういう人はたいてい偉い人だって~。」
「偉い人・・・・・・・はっ。
つ、ついてきたらダメじゃない。
危ないんだから~。」
優しく頭をなでる。
「わたし、難しいことはよくわかりませんが・・・
リーヴスさんの言ったことは信じてるん
ですよ~。」
「・・・ふっ、確かに、お前の言うことは
合っている。あいつは・・・」
警官を指さす。
「若いからまだ違うが・・・表世界では
警視副総監になった男だ。」
「ええ。ですが、この時期でも30歳の
はず・・・かなり偉いと思うん
ですが・・・なぜそんな人が、制服を
着て街を歩いているんでしょうか~?」
「変なんですか~?」
「その辺はわからねえが・・・・・
いったん戻るか?」
デバイスを確認するが返信はない。
「待ってください~。こういうときは
ですね~・・・」