グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第249話 学園長と

 

「・・・・。」

 

デバイスを操作しながら、

ロウは歩いていた。

 

「・・・・・!」

 

路地裏にある男が歩いていくのを見た。

 

「・・・よぉ。」

 

その男は、天羽大地だった。

 

「久しぶりだな、ロウ。元気してたか?」

 

「うるせえ。よくもまあ、

 うろつけたもんだ。・・・だが、

 今はちょうどいい。」

 

「? どういうことだ。」

 

「1つ伝言頼まれてくるか?」

 

「伝言・・・誰にだ?」

 

「間ヶ岾だよ。」

 

にやりと笑う。

 

「『あんたの手足は潰した。』

 そう伝えとけ。」

 

「・・・ふっ、またなんかやったか。

 ま、それくらいは頼まれてやる。

 だがいいのか? ここで俺を消さなくて。」

 

「今はまだその時じゃねえ。いずれ

 あんたとは決着を着ける。」

 

ロウは路地裏から出た。

 

「・・・・いずれ、ねえ。」

 

 

 

 

 

 

数日後

 

学園長室

 

ある日、ロウは学園長である

寧々に呼び出されていた。

 

「んで? わざわざ呼び出された

 理由はなんでしょうか、学園長。」

 

若干嫌味をこめる。

 

「おっほん。これからお兄ちゃんは

 ネネとクエストに行きます!」

 

「クエスト?」

 

「ネネは自分でクエストが受けられないから

 お兄ちゃんお願い!」

 

「また魔物が見たいとかそんなんだろ?」

 

「お願いお願いお願い~!」

 

寧々はソファーの上で

激しくじたばたする。

 

「大体、なんで俺に頼むんだよ。」

 

「だって理事長、行っちゃダメって

 言うんだもん。ネネは一番偉いん

 だよー! だからネネがクエストに

 行けないのはやだー!」

 

「ったく・・・んな理由か。

 ・・・ま、軽めのが確かあった

 はずだ。それなら大丈夫だろ。」

 

「やったー!」

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室

 

「・・・わかりました。ロウが一緒

 なら大丈夫でしょう。念のために

 護衛をつけておきます。」

 

そう言って、虎千代は電話を切った。

 

「・・・聖奈に、服部へ連絡してもらうか。

 ふふ、その我儘は嫌いじゃないぞ。

 学園長。・・・すまない、話の途中だったな。」

 

「いえいえ。へー、学園長がねえ。」

 

虎千代は、茉理と話している途中だった。

 

「切れ端・・・間ヶ岾がそう言ってたのか?」

 

「正確には、間ヶ岾が側近に話したのを

 光男兄さまが聞いたの。盗み聞きみたいな

 ものだから、もしかしたら違う言葉かも・・・。

 でも人類と魔物をつなぐとも言ってたんだって。」

 

「・・・人類と、魔物をつなぐ・・・

 共生派の霧が人類を進化させるという

 言説はそれが元か?」

 

話していたのは、間ヶ岾についてだ。

 

「どうかしら。切れ端って言葉、側近の

 人は知らなかったみたい。」

 

「そうか・・・。間ヶ岾・・・

 いったい何を・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

商店街

 

その頃、ロウと寧々は

魔物討伐のため、商店街に来ていた。

 

「うぅ~・・・お兄ちゃん、

 ネネ怖い~・・・。」

 

「ここまで来て、何言ってんだよ。」

 

2人は看板で身を隠していた。

 

「だって静かだし、ネネたちしかいないし

 もっとみんながいるところがいいよう。

 ねえ、クエストっていつもこんな感じなの?」

 

「緊急の時以外は大概こんなもんだよ。」

 

「うぅ・・・魔物さん、もうちょっと

 楽しいところに出てくればいいのに・・・。」

 

周りをきょろきょろと見る。

 

「あ、でも楽しいところが壊されちゃったら

 いやだな・・・・・。」

 

「そう思うなら、少し頑張れ。」

 

「う~。ネネ我慢する! 怖いところでも

 我慢する! だからお兄ちゃん、

 ネネを守ってね? 約束だよ?」

 

「わかったわかった・・・・・・・!

 来るぞ、構えろ。」

 

「へ?」

 

ロウの言う通り、魔物が

向かってきていた。

 

「き、きゃ~! 魔物さんだぁ~!」

 

泣きながら発動した魔法は

たまたま魔物に当たり、魔物は

霧散した。

 

「『ROOM』! 『ラジオナイフ』!」

 

青いサークルを張り、魔物を

切り裂き、霧散させた。

 

「ふぅ・・・。」

 

「やっぱりやだぁ~! ネネおうちに

 帰る~!」

 

道端で寝転んでじたばたし始める。

 

「お前が行きたいって言ったんだろ?

 その言葉くらいには責任持て。」

 

「ぐす・・・ぐす・・・お兄ちゃん

 怖くないの?」

 

「んなことで怖がってたら

 とっくに死んでるっての。それに

 軍の奴らがいるだろ。」

 

「でもネネからは見えないもん。

 兵隊さ~ん! ネネ、兵隊さんが

 見たい~! 見えない~!」

 

寧々がそう叫ぶと、近くの

兵隊が一瞬顔を出した。

 

「・・・あ・・・ほ、ほんとにいた・・・

 ほんとに見てくれるんだ・・・。じゃあ

 じゃあ、危なくなったら助けてくれるのかな?」

 

「そういうことだ。これなら問題ないだろ?」

 

「・・・うん、じゃあ頑張る。ネネ、

 頑張って魔物さん倒すよ!」

 

「帰るんじゃなかったか?」

 

「え? 帰ったりなんかしないよ~。

 だってネネ、学園長だもん!

 お兄ちゃんも、ちゃんとネネについてきてね!

 じゃないと退学!」

 

起き上がり、びしっとロウを指さす。

 

「はいはい。んじゃあ、一気に終わらすぞ。

 『ROOM』!」

 

青色のサークルを大きく張る。

すると、魔物数体が向かってくる。

 

「え~い!」

 

2発ほど魔法を放つが、

魔物にかすっただけだ。

 

「『タクト』!」

 

寧々の放った魔法を

ロウが操作し、魔物にあて

霧散させる。

 

「『切断(アンビュテート)!』」

 

残った魔物はロウが斬り、倒した。

 

「・・・消えた・・・これって

 こらしめたの?」

 

「ああ、魔物の反応もないし、これで終わりだ。」

 

「や、やったぁ!」

 

ピョンピョンはねて喜ぶ。

 

「やっぱりネネ、学園長だもんね!

 このくらい簡単だよ! じゃあ、遊びに行こ!」

 

「いや、その前に報告だ。」

 

「ほーこく? そんなのするの?」

 

「前にも一回したろ。」

 

以前のクエストを出す。

 

「うー、前にやったことあるかも。

 めんどくさいなー。」

 

「それをやって初めて終わりだ。」

 

「ほんとに? 遊びに行っていい?」

 

「ああ。」

 

「んー・・・じゃあやる! ネネ、

 ちゃんとごほうこくする! だから

 お兄ちゃんも遊びに行ってね!」

 

 

 

 

 

 

そのころ

 

生徒会室

 

「というわけで、学園の案内は

 以上となります。質問はありますか?」

 

薫子はジェンニへの学園の案内を終えていた。

 

「・・・ぼく、べんきょうする?」

 

「その件ですが、あなたはあくまでゲストです。

 授業に出るのも、クエストに参加するのも、

 お好きになさってください。」

 

「ぼく、がくえんせい?」

 

ジェンニは自分を指さす。

 

「・・・母国で学校はどうされていました?」

 

「ぼこく?」

 

首をかしげる。

 

「・・・フィンランドでの学校は?」

 

「いってない。アイティがおしえて

 くれたの。」

 

「アイティ・・・わかりました。実は

 正式に学園生として受け入れることが

 できないんです。」

 

「・・・どうして? オリジナル・テン

 だから? 浅梨は?」

 

少し悲しそうな顔を見せる。

 

「複雑な事情がありまして・・・しかし

 あなたの希望は最大限かなえます。

 こちらをどうぞ。」

 

「これ・・・グリモアのせいとしょう。」

 

付け髭をつけて喜ぶ。

 

「特別に作成したものですから、理事長の

 印影はありませんが・・・かわりに、

 学園長がはんこを押してくれました。」

 

そのハンコは多少枠からはみ出ている。

 

「正式なものではありませんが、

 学園内では自由に使えます。執行部

 関連の施設は特別な許可が必要ですが・・・。」

 

「ううん。うれしい。がくえんちょう、いいひと。」

 

「・・・ところで、その付け髭は

 いったい・・・」

 

「なんでもないです。」

 

付け髭を外し、しまう。

 

「そ、そうですか・・・ではあとは

 あなたが泊まる部屋を・・・」

 

「浅梨のとこにとまる。」

 

「え? あ、いえ、それは・・・」

 

「浅梨のところにとまるとき、いつも

 いっしょにねてるだいじょぶ。」

 

「そ、そうではなくてですね・・・

 我妻さんは男子ですから・・・」

 

「じゃあせんぱいのところ。」

 

ロウを持ち出す。

 

「・・・ろ、ロウさんのところですか!?

 そ、それは余計・・・男子ですから!」

 

「・・・・・・そう・・・・。」

 

ジェンニはしゅんとしてしまう。

 

「んん・・・これは・・・困りましたねえ・・・。」

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