グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
グリモアはサービス終了となって
しまいましたが、徐々に更新できればと
思っております。
宜しくお願いします。
学園
「・・・早く・・・早く出て・・・。」
ゆかりは、祈るような声を
出しながら、デバイスを強く握りしめていた。
「もう私は、準備できてるのに・・・。」
すると、デバイスの画面が更新される。
「・・・!! クエストが出た!!
場所は・・・等々力病院! やった!」
クエスト画面が表示されると
ゆかりは飛び上がる。
「あ・・・やったはだめだよね・・・。
申請しなきゃ!」
「し、椎名先輩! 結城さんから話を
聞きました!」
ももが慌てた様子で駆け寄ってくる。
「病院が襲われてるって・・・!」
「・・・ええ。私もさっき知ったところ。
だからクエストの発令を待ってたの。」
再びデバイスを強く握る。
「品川で突然、魔物が現れて病院を
襲った。等々力病院は都内でも
有数の病院よ・・・。患者数も多い・・・。
重傷で入院してる人もいる。私が行かなきゃ!」
「あたしも連れて行ってください!
バイトとの掛け持ちで、保健委員としての
活動は少ないですけれど・・・。」
申し訳ない表情になる。
「それでも、ケガした人を助けたいって
思います!」
「・・・うん、ありがとう。じゃあ、
すぐに準備してきて。一分一秒を争うの。」
「大丈夫です! ここに来る前にしっかり
備品、持ってきましたから!」
そう言いながら、カバンをパンと叩く。
「保健委員セット、バッチリですよ!」
「よかった。それじゃあ、正門にヘリが
待機してるから、行きましょう。」
「ヘリ!? ヘリコプターですか!?
・・・は、初めてだぁ・・・。」
<移動中>
等々力病院敷地内
「ふんふ~ん・・・っと。」
メアリーは座って、銃の
手入れをしていた。
「バトルの前はやっぱこれが落ち着くぜ。」
「ちょ、ちょっと大丈夫なの!?
魔物がめちゃくちゃたくさん来てるわよ!」
月詠はあまりの光景に慌てている。
「落ち着け。今回のクエストはこれまでと
全然ちげぇんだ。いつもの調子で
やってるとすぐにゲームオーバーだからな。」
「は、はあ? いつもと違うって何よ。」
「今回は魔物の討伐ではなく、避難者の
救出任務だ。」
2人が話していると聖奈が近づいてくる。
「私たちの使命は、この防衛線を絶対に
突破されないこと。極端な話、この
ラインさえ死守すれば、魔物を倒す必要はない。」
「・・・魔物を倒さなくていい・・・。そ、
それなら、いつもより・・・。」
「楽だ、なんて言ったら殴るぞ。」
メアリーは月詠を睨む。
「へ・・・?」
「テメーももうシロウトじゃねーんだ。
ちっとくらいはここ使え。」
そう言って、月詠の額を小突く。
「この防衛線を
もうダメなんだよ。侵入した魔物は患者を
襲う。放っておけねーから倒すために
1人抜ける。すると防衛線に支障が
出るわけだ。あとはどうなるかわかるな?」
「ここで戦う人数が減って、魔物が
通っちゃう可能性が高くなって・・・」
徐々に月詠の顔が青ざめていく。
「・・・・き、キツすぎない!?」
「よくわかってんじゃねーか。」
メアリーはにやりと笑う。
「作戦中は熱くなりすぎるなよ。今回
ばかりはどんな状況になっても冷静で
いろ。いいな。」
「う、うん・・・わかった・・・。」
別地点
「結城さん! 今から患者の搬送が始まります!」
「よし、では作戦通り、保健委員の2人は
患者と避難者の治療を。防衛線の維持は
私たちに任せろ。1匹も通さん。」
「うん・・・お願いね!」
「・・・ん、ああ、わかった。」
そばでロウは電話をしていた。
「ゆかり、聖奈。ヘリのルートが変わるそうだ。」
「ええ!?」
「予定のルートに飛行する魔物が現れたらしい。」
「となると・・・往復にかかる時間が
少し増えるな。」
「そんな・・・。」
不安な表情になる。
「・・・いえ、わかりました。弱音を
吐いたって始まらないものね。」
「ここは任せたぞ。椎名。」
「ええ。私の回復魔法はこのために
訓練してきたんだもの。みんな助けるわ。」
「ああ、頼む。」
ゆかりは準備を始める。
「さて、ロウ。貴様の力が生命線だ。
動けない重傷者には、保健委員が
回復魔法を使う。それである程度まで
治療し、ヘリに乗せる。」
「だから保健委員は魔力を大量に使い、
それらを守る精鋭部隊も同じ。ってとこか?」
「ああ。基本的には椎名の指示を仰げ。
適宜連絡する。」
「よしわかった。んじゃあ・・・始めるか。」
街中
「・・・せんぱい、どこ?」
ジェンニはロウの姿を探し、
辺りを見る。
「え? あ、先輩は病院だよ。私たちとは
別行動。」
「・・・・そう・・・。」
ロウがいないと知り、シュンとなる。
「ま、まあ私たちも魔力が切れそうに
なったら病院行くから、会えるよ。それより、
逃げ遅れてる人たちがたくさんいるから
病院に避難してもらうの。しっかりやろうね。」
「うん、まかせて。ぼく、まもの
やっつける。」
等々力病院
「椎名先輩! 魔法での治療、終わりました!」
「ありがとう・・・うん、出血
止まってる。大丈夫ね。すみません!
こちらの方、応急手当完了です!
搬送をお願いします!」
手当てを終えた患者が運ばれていく。
「・・・入院してる人だけじゃなく、
避難してくる人たちもけがしてますね。
重症の人も多いですし、いくらここが大きくても・・・。」
「今はそんなことを心配する暇はないわ。
学園の皆が病院を守ってくれてる。」
周りの多くの学園生を見る。
「私たちが考えなきゃいけないのは
1人でも多くヘリに乗れる状態にすること。」
「は、はい・・・。」
「叱るような感じになっちゃってごめんね。
でも、病院のキャパは病院の人たちが
一番知ってる。餅は餅屋っていうでしょ?」
「わ、わかりました・・・! そうですよね
・・・他の重傷の人、診てきますね!」
そう言って、ももは駆け出していく。
「・・・やっぱり元気ね・・・っと、
ととっ・・・」
ゆかりはふらついて倒れそうになるが
なんとかこらえた。
「やっぱり回復魔法は魔力効率が
悪いわね。すぐ空になっちゃう・・・。
まだ30分も経ってないのに・・・
どうにかして、最後までもたせなきゃ。」