グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第255話 クレーンゲーム

学園

 

生徒会室

 

虎千代、鳴子、風子という面々が集まっていた。

 

「・・・よし、準備は整ったな。」

 

そう言って、虎千代は書類をまとめた。

 

「ばっちりですよ。岸田眞吾氏のレポートと、

 ウチらのレポートを突き合わせ・・・」

 

「僕の情報ルートから、実崎から繋がる

 人材をピックアップした。」

 

鳴子はにやりと笑う。

 

「黒い絆がよく見えたよ。芋づる式にいけそうだ。」

 

「あとはゴーサインを出すだけですね。

 いちおー、タイミングは選べますよ。

 年末に裏世界探索を控えてるんでしょ?

 延期する選択肢もありますよ。」

 

「あたしは以前、間ヶ岾に会った。そして、

 実感したよ。あの男はこれ以上、野放しに

 してはいけない。」

 

ゆっくりと、息を整える。

 

「始めよう。これから、霧の守り手を無力化する。」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・わかった、任せてくれ。」

 

連絡を受けた岸田眞吾は

警察署の前に来ていた。

 

「しかし、いいのかい? この電話、

 盗聴されていると思うぞ。

 ・・・手を打つ前に、か・・・。

 わかった任せてくれ。」

 

電話を切る。

 

「実崎・・・10年前から、ずっとお前を

 追っていた。降ってわいたような

 決着だが、テロリストを放ってはおけない。

 引導を渡してやる・・・!」

 

 

 

 

???

 

「・・・! この電話・・・!」

 

グリモアの予想通り、

裏世界の心は通話を盗聴していた。

 

「岸田眞吾・・・何度か見かけたわね。

 こうなると・・・阻止するのは

 難しいわね・・・。」

 

苛立ちからか、キーボードのボタンを

カチャカチャと鳴らす。

 

「間ヶ岾は実崎を切る決断をしなければ

 ならない。だけど、彼がいなくなったら・・・

 間ヶ岾は計画を早めるに違いない。

 準備期間を短くしてでも。」

 

この先のことを考え、頭を悩ませる。

 

「病院が魔物に襲われたことで、作戦は

 この上なくうまく進んでいるのに・・・。

 それが準備不足なんかで失敗して

 たまるものですか・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

研究室

 

「・・・来ました。」

 

「相手はダイブしてる?」

 

裏世界の心の動向を結希と心は

監視していた。

 

「・・・いえ、していません。キーボードで

 操作しているようです。警視庁のサーバーが

 落ちました。・・・騒ぎを大きくする

 つもりですね。実崎副総監が告発された

 ことに気づいたようです。」

 

「救出が間に合わないから、他で大事件を

 起こして扱いを小さくさせるつもりね。

 ここからはスピード勝負よ。罠にかけられる?」

 

「今、向こうは焦っているはず。足跡を

 消すのが普段より遅いです。ほかの誰にも

 辿れませんが・・・同じ魔法を使う

 私なら・・・行けます・・・!」

 

 

 

 

 

 

その頃

 

街中

 

「せんぱーい、こっちっす、こっち。」

 

ロウは自由との約束通り、

街に来ていた。

 

「へっへー、お嬢たちには内緒っすよ?

 しゃべったら怒られますから。」

 

「独り占めになっているからか?」

 

「そーゆーんじゃないっすよ。お嬢、

 あれで心配してるんです。」

 

「心配? なんのだ?」

 

「『ロウさんがお疲れなのに、連れ出して

 どうするのですか』って。」

 

姫の声をマネする。

 

「それはまた優しいな。」

 

「そうなんすよね。旧家のお嬢様なのに・・・。

 刀子先輩もそうっす。いっつも自分と

 ケンカしてるのに・・・なんだかんだ

 気遣ってくれますしね。自分には

 もったいないっす。」

 

照れくさそうに頬を指で軽く掻く。

 

「そうか・・・。」

 

「って、しんみりした話はやめましょう!

 いい話はもっとレアなイベントの時に

 やったほうがいいですしね!」

 

「イベントってなんだ、イベントって。」

 

「こういう遊びに行くようなイベントの

 時は、フラグ立てです。親愛度を上げて、

 さらなるイベントを起こすためのフラグ立て。」

 

そう言って、自由は周りを見る。

 

「ここは能天気に・・・そーだ、

 ゲーセン行きません?」

 

いつも行っているゲームセンターを指さす。

 

「ゲーセンか・・・また対戦ゲームか?」

 

「いえいえ・・・デートって言ったら

 キャッチャーだと思いません?」

 

「・・・キャッチャー・・・?」

 

 

 

 

 

 

ゲームセンター

 

「ここを・・・こうして・・・こう!」

 

自由の操作するクレーンは見事に

ぬいぐるみをつかみ、そのまま運んでいく。

 

「キャッチャーってクレーンゲームのことか・・・。

 しかし、手際がいいな。」

 

「コツがいるんすよ。ほら、あれ

 見てください。」

 

中のぬいぐるみを指さす。

 

「狙うのは胴体が一番いいんですが、

 ツルッツルなとこは全然ダメ。

 罠っすから。」

 

「ほう・・・。」

 

ロウも中を覗き込む。

 

「それと重心も考えないといけません。

 移動してる途中でグルンは最悪です。」

 

何度か経験があるのか、苦い顔になる。

 

「クレーンってむっちゃ力弱いですから、

 遠心力で落ちちゃうんですよ。

 だからあの首を狙って・・・。」

 

言葉通り、クレーンをぬいぐるみの

首のあたりまで操作していく。

 

「そして・・・!」

 

クレーンは見事首をつかみ、

運んでいった。

 

「どうです? 言った通り、一発で成功♪」

 

「また獲ったな・・・。よくもまぁ・・・。」

 

「この通り、腕にはめちゃくちゃ自信

 ありっす。自分を超えるのは難しいっすよ?

 ・・・というわけで、クレジットはまだ

 ありますし、先輩。どーぞ。」

 

ロウを操作レバーの前に立たせる。

 

「いきなりかよ。ったく・・・・。」

 

じっと中のぬいぐるみを見る。

 

「まっ、とりあえず・・・」

 

まずは見様見真似でクレーンを

操作していく。

 

「・・・ほうほう・・・」

 

「こうして・・・」

 

ぬいぐるみの胴体まで近づける。

 

「ふむふむ・・・あぁー・・・。」

 

「? どうした?」

 

「いやいや、なんでもないっす。どーぞどーぞ!」

 

「なら、これで・・・。」

 

クレーンがぬいぐるみの脇の

間を通る。

 

「ほほー、そう来ますか・・・おっ!

 おおー!?」

 

クレーンがぬいぐるみを持ち上げた。

 

「どうだ・・・?」

 

「これは・・・!」

 

しかし、するりと抜け、ぬいぐるみは

落ちてしまった。

 

「これは・・・残念っ!」

 

「うまくいったと思ったんだがな・・・。」

 

落ちたぬいぐるみを見つめる。

 

「いやいや、最初はみんなそんなもん

 ですって。それにすぐ追いつかれちゃ

 自由ちゃんショックですしねー。」

 

「・・・・。」

 

「・・・? 先輩?」

 

「次はあっちを重点的にすればいいのか・・・?

 重心を考えると・・・」

 

ぶつぶつとつぶやいている。

 

「先輩? ・・・ああ、先輩そういう

 タイプっすか・・・。」

 

「いや、次で行ける。」

 

硬貨を投入し、再びクレーンを操作し始める。

 

「・・・ここで・・・」

 

「・・・おっ?」

 

ロウの操作するクレーンは、

ぬいぐるみのタグをひっかけた。

 

「これは・・・?」

 

ぬいぐるみは落ちず、運ばれていった。

 

「お、おおー! すごいっす、先輩!」

 

「さっきので慣れたからな。」

 

「い、いやいや! 普通そんなすぐに

 できませんって!」

 

「大体こんなもんだろ。もう

 終わりなら帰るぞ。」

 

「あっ、な、なら、もっといっぱい

 獲っていっちゃいましょう!」

 

こうして、ロウと自由はクレーンの

景品を次々と獲っていった。

 

 

 

 

 

数時間後

 

「「・・・・。」」

 

ロウと自由は手に余るほどの

景品を抱えながら、店を出た。

 

「・・・先輩。」

「・・・自由。」

 

「「あまり調子に乗るもんじゃないな(っすね)。」

 

2人はしばらくの間、店を出禁にされた。

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