グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第256話 夢の中で

 

 

「うぅ・・・やめて・・・もう、

 やめて・・・。」

「・・・ちゃん・・・やめて!」

 

 

 

 

 

 

学園

 

ノエルの部屋

 

「わぁ!」

 

「ひゃぁ!」

 

自分の部屋で眠っていたノエルが

いきなり飛び起きる。

近くにいた秋穂は急な飛び起き方に驚いた。

 

「・・・え? 今の・・・夢・・・?」

 

「ノ、ノエルちゃん! 大丈夫!?」

 

「あ、えっと・・・」

 

「これ。タオルで顔、拭いて。」

 

「あ、う、うん・・・。」

 

タオルを渡されたのがなぜなのか

わからず、顔を触る。

 

「あれ・・・涙・・・?」

 

自分が泣いていたことに気づいていなかった。

 

「ノエルちゃんが登校してないから、

 様子見に来たの。そしたら、その・・・

 寝たまま、苦しんでて・・・怖い夢

 見てたの?」

 

「えっ・・・? あ、う、うん・・・ちょっとね・・・。」

 

夢の光景を一瞬思い出してしまう。

 

「次のテストで、赤点とっちゃう夢・・・。」

 

「・・・赤・・・点・・・?」

 

それを振り払い、ごまかした。

 

「あー、制服もゴワゴワ・・・。ごめんね、

 心配かけちゃって!」

 

「そうなんだ・・・あっ、なら一緒に

 勉強しよっか?」

 

「それ、ナイスアイディアだよ! いっちょよろしく!」

 

「うん。じゃあ、忘れ物取りに行ってくるから

 玄関で待ち合わせしよ。またあとでねー。」

 

そういって、秋穂は部屋を出て行った。

 

「・・・ふう・・・。」

 

先ほどまでの明るさが嘘のように暗くなる。

 

「やだなー、嘘ついちゃった・・・。でも

 あの夢、夢じゃないよね・・・。」

 

さっきの夢が再び頭の中に広がる。

 

「きっと、裏世界のアタシたち・・・・

 ・・・お姉ちゃん・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

図書館

 

「・・・! のえ・・・・・・え?」

 

目が覚めたイヴは一瞬、自分が

どこにいるかわからず、周りを見る。

 

「今のは・・・夢・・・。」

 

「お目覚めですか?」

 

萌木がイヴの顔を覗き込む。

 

「! ごめんなさい。勉強してたら、

 寝てしまったわ。・・・!」

 

肩にかけられたブランケットに気づく。

 

「あなたが?」

 

「はい。図書館は少し寒いので、

 用意したんです。後で、使い心地が

 どうだったか聞かせてくださいね。」

 

「・・・ええ、わかったわ、ありがとう。」

 

萌木は受付に戻っていった。

 

「・・・あの子が、裏世界のことを・・・?」

 

イヴもノエルと同じ夢を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

ロウと自由がゲーセンにいる頃

 

カフェ

 

「本当に来るとは思いませんでした。」

 

「そりゃ来ますよ!」

 

本当に光男と千佳が会っていた。

 

「・・・魔法使いであるあなたが、僕の

 考えに興味を持ってくれるのはうれしい。

 間宮さん、でしたね。今日はよろしくお願いします。」

 

「よろしくお願いします!」

 

「むむ・・・間宮さんの声しか聞こえませんね・・・。」

 

「盗み聞きは行儀悪いんだけどねぇ・・・。」

 

心配していたゆえ子は花梨を連れ、

仕切り1枚を隔てた隣の席にいた。

 

「けどよ、神宮司の兄ちゃんだっきゃ?

 危ねぇことはねぇと思うべ。」

 

「ゆえもそう思います。お優しそうな方ですし。

 ですが、ライフストリームは霧の護り手と

 関係があり・・・彼もどちらかというと

 あちら側に人間ですから。」

 

「随分詳しいねぇ・・・調べたっきゃ?」

 

「あらかじめ、初音さんに聞いておいたのです。

 ・・・しかし、本当に聞こえませんね。」

 

仕切りに耳を近づける。

 

「あんまり近づくと見つかっちゃうじゃよ。

 なんか起きるまで、飯でも食うべか?」

 

花梨はメニューを広げる。

 

「そうですね・・・その前に、少し

 試したいことがあるのです。」

 

そう言うと、ゆえ子はコップの水を飲みほした。

すると、そのコップを仕切りに当てた。

 

「・・・・・・やはり聞こえませんか。」

 

「それで聞けるのは壁向こうの声だけだべ。」

 

 

 

 

 

「本来、魔法使いは共生派になりにくいもの

 なんです。」

 

2人の会話をよそに光男は話を続ける。

 

「魔法使いは、魔物と戦うことを求めたれるし

 学園でそう教育されるから。魔物は

 倒すべき敵、という前提のある人が多いんです。」

 

「まー、そーかも。うちも今年はケッコー

 魔物倒してるし。」

 

「だけど、魔物とは意思疎通ができる、

 というのが僕たちの考えです。」

 

「意思のソツウ・・・? なんか、難しいかも・・・。」

 

千佳は話を難しいと感じ、

顔が渋くなる。

 

「魔法使いなら、魔物がいろんな姿になることは

 よく知ってると思います。大事なのは、

 その中に空想上の生物がいること。

 人間の頭の中で生まれた姿に、魔物は変化するんです。」

 

「なんか、授業で習った気が・・・。」

 

「もし魔物が空想の生物を真似るなら・・・

 少なくともそれが、人間にとって

 脅威であることを理解する知能がある。

 僕はそう考えています。魔物と人類は

 きっと、言葉が通じてないだけなんです。」

 

「・・・・はっ。う、うちもそう思います!」

 

ついボーッとしてしまった

千佳は咄嗟に相槌をする。

 

「隠さなくても大丈夫です。きっと

 理解できなかったと思いますから。」

 

ピリリリリ

 

光男の携帯が鳴る。

 

「あ、ちょっと失礼します。

 ・・・・・・・・・なんだって?」

 

電話に出ていた光男は焦りを見せる。

 

「実崎副総監が・・・霧の護り手・・・?」

 

顔が青ざめ、急いで席を立った。

 

「すみません間宮さん! お時間をいただいて

 申し訳ないんですが・・・急用が

 入ってしまいました。改めてセッティング

 させていただきたいです。」

 

「えーっ。まだ10分くらいですよ?

 共生派の話ばっかりで、光男様のこと

 何もわかってないし・・・。」

 

少し声が小さくなる。

 

「何か言いましたか?」

 

「何でもないです! 急用ならしょうがないですね!」

 

「お好きな料理があれば、今度はそれを

 ご馳走させてください。失礼します。」

 

急ぎ足で光男は店を出て行った。

 

「・・・・嘘っ! ディナーに誘われた!?」

 

 

 

 

「途中からよく聞こえるようになりましたね・・・。」

 

「これまたすげえタイミングで連絡

 来たな・・・。実崎・・・あの、ハロウィンで

 会った警官か・・・。」

 

 

 

 

 

 

街中

 

「・・・等々力病院が襲われたのは、

 マッチポンプだという方がいます。」

 

間ヶ岾は多くの人に囲まれ、

演説していた。

 

「魔物と意思疎通できるのであれば、

 襲わせることも可能でしょう。私が

 魔物をけしかけ、自分で解決し、

 英雄になるための演出をする・・・。」

 

「その疑念を消すために持っているのは

 この言葉と誠意だけです。霧の護り手が

 強引な手段に訴えた過去を持つのも

 理由の一つでしょう。」

 

「どきどき・・・ばれないよね・・・。」

 

「目立ちすぎなければ平気。対象の

 挙動は私が監視している。私があなたを守るわ。」

 

人ごみの中に変装した絢香と卯衣がいた。

心の声を聞くことができる絢香は

間ヶ岾の真意を探りに来ていた。

 

「う、うん、ありがと・・・。でも、

 すごい。間ヶ岾、考えてることと

 話してることが全然違う。ここまで

 くると、一種の才能ね。」

 

「私は、あなたが何をするのかは

 聞かされていない。このままでいいの?」

 

「ありがとう・・・もう少し・・・

 聞かせてもらうわ・・・。」

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