グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
間ヶ岾の演説はどんどん進んでいく。
「逆に等々力病院の一件で、私に興味を
持っていただいた方もいたかと思います。
真の共生を目指したいというお声も
いただいております。」
「とてもうれしく思いますが、もう少し
決断はお待ちください。この世界は
長い間、魔物殲滅すべしという考えが
支配してきました。そこに私は、
現実的に共生しうるという一石を投じた。」
「その石による波紋は、まだできたばかり。
今はよくお考え下さい。これはどちらが
正しいという問題ではありません!
どちらがより、現実的かということ
だけなのです!」
「共生派の考えがわからないという方!
ぜひあなたの考えをお聞きしたい!
本日はこれで終わりますが、またすぐに
お会いできるでしょう。ご清聴、
ありがとうございました。」
間ヶ岾は丁寧に頭を下げた。
周りからは拍手が起こる。
そんな中、一人の男が間ヶ岾に近づく。
「間ヶ岾さん。」
「ん・・・なんだね?」
「警視庁の副総監が霧の護り手の
協力員として逮捕されました。」
「・・・!」
驚きから目が見開く。
「そう・・・か・・・双美君は
間に合わなかったか・・・。」
「それと・・・他にも複数の・・・」
「・・・なんだと?」
「・・・もう、いい・・・ここまで・・・。」
青ざめた顔で絢香は人ごみから離れる。
「皇さん・・・?」
「ちょっと、休ませて・・・・。」
(まさか、噓でしょ・・・・・?)
???
「双美さん! 実崎副総監が霧の護り手の
関係者ってどういうことだ!」
怒りを見せながら、光男が入ってくる。
「そう。あなた知らなかったの。」
パソコンを閉じる。
「警察内部に直接タレこまれた。
マスコミにも・・・。このままなら
霧の護り手の動きは制限されるわ。
この情報・・・岸田眞吾だけでは得られなかったはず・・・。」
苛立ちから親指の爪を噛みしめる。
「グリモアの学園生ね。過去の裏世界でも
何か探していた・・・?」
「な、なにを言ってるんだあなたは・・・。」
「あちらで得た知識を使って、こちらの世界を
変えてきている。とにかく・・・やはり
グリモアは野放しにしてはいけない。」
目つきが鋭くなる。
「間ヶ岾の目的を邪魔させたりしない。
どうせ、全員殺すんだから・・・。今、
やってあげる。」
殺意を見せ、にやりと笑う。
「双美さん! グリモアを壊すなんて
だめだ! 今日・・・1人の学園生と
話ができた! 対話は不可能じゃないんだ!」
「お坊ちゃん。間ヶ岾は結局、あなたを
洗脳しようとはしなかった。そのことを
よく考えるのね。そしてあまり邪魔を
するなら・・・・・殺すわよ。」
「・・・! あ、あなたはなぜ、そんな考えに・・・。」
「今日は力づくで追い出すだけにしてあげる。
命が惜しければ、二度と私に近づかないことね。
さよなら。」
学園
結希の研究室
「・・・動きそうかしら。」
「待ってください。今、各所のログを・・・。」
裏世界の心の動きを監視していた
結希と心は彼女の動きに気づく。
「・・・いえ、一旦は落ち着いたかと。
ただ動き続けてます。遊佐さんから借りた
『電子の妖精』に、反応があります。
これはわざと引っかかってる動きですね。」
「・・・間ヶ岾と実崎の繋がりが暴かれた
今、何かしらの妨害は絶対にしてくるわ。」
傍らにそのネットニュースが流れる。
「ニュースをもっと大きなニュースで
かき消すか・・・邪魔する私たちを
排除しにくるか。それはわかる?」
「魔法の相性が私と同じなら、一人で
乗り込んでくることはないでしょう。
むしろ、これまでしてこなかった
大規模なネットクライシス・・・重要な
インフラのネットワークを破壊しに来るはずです。」
「それなら、電子の妖精に引っかかっているのは
どうして?」
「・・・・。」
パソコンを動かす手を一瞬止める。
「誘っているんです。私を。」
「・・・そう、両方やるつもりなのね。
大事件を引き起こすのと、グリモアを
攻撃するのを、同時に。」
「私一人で勝てるかはわかりません。ですが、
行かなければ・・・。自分のことは、
自分でけじめをつけなければなりません。」
「・・・『心ちゃん』はどうするつもり?」
心の本来の人格について尋ねる。
「・・・・それは・・・・。」
答えにくそうに、目を伏せる。
「ねえ、あなたの魔法、ダイヴだけど、あなたにしか
できない?」
「どういう意味でしょうか?」
「私も行くわ。勝率が僅かでも高まるなら。
私はずっとあなたに協力してもらってきた。
これは等価交換。私があなたに協力する番よ。」
「・・・博士・・・・。」
「オペレーションは天に任せる。ほかにも
協力を頼みましょう。先に彼女の
居場所を突き止められなかったのは
残念だけど、もう時間がない。
ここで、決着をつけましょう。」
学園
正門前
「や、やっと、帰ってこれたっすね・・・。」
「ああ、バスでも変な目で見られるしな・・・。」
手に余るぬいぐるみをかかえ、
ロウと自由は戻ってきた。
「部屋に荷物置きにいったら、まだ
時間ありますし、ゲームとかどうです!?」
「まだやる気かよ・・・。」
「楯野氏の部屋でもいいし、バラ園でも
大丈夫っすよ!」
「あーしんど・・・宍戸の奴、急に
呼び出すなよなー。」
ぶつくさ言いながら、望が学園のほうに
歩いていく。
「おや、楯野氏。珍しいっすね。」
「まーな・・・ロウ、ちょうどよかった。行こ。」
「俺も? どこに行くんだ?」
「宍戸のとこだよ。多分ロウにもメッセージ
来てるから。テロリストに関して、なんか
やるみたいだぞ。」
「え・・・えぇー・・・?」
「・・・その前に荷物置かせてくれ。」
<ロウ、望、移動中>
望と合流したロウは結希の研究室にいた。
そこには、天、鳴子の姿もあった。
「ま、マジでなにもつけなくてもいいの?
ヘッドギアとかいらない?」
今回の作戦を聞いた望は不安を口にする。
「んなことができるってのか?」
「ええ。何もいらないわ。あくまで
双美さんの魔法だから。私たちの
感覚だけを疑似的な仮想空間に
投影するの。そのために、ある程度
ネット環境と仮想現実に詳しいメンバーを集めた。」
「・・・裏世界の私・・・ここでは、ウィッチと
します・・・。ウィッチを・・・討伐します。
力を貸してください。」