グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第259話 ウィッチの目的

「ふぅ・・・。」

 

襲ってきたウィルスを

ロウたちは撃破した。

 

「うぉおおお! これ見てこれ!」

 

戦いを終えた望は、背中に

翼を生やし、空を飛んでいた。

 

「動き方に慣れたら、あまり無駄に

 飛ばないで。羽を生やさなくても

 高速で移動できるわ。」

 

「あのなー、こういうのはカタチが大事

 なんだよ、カタチが。」

 

ため息をつきながら、降りてくる。

 

「・・・ロウ君。」

 

「? どうした。」

 

興奮する望に呆れているロウに

鳴子が声をかける。

 

「見てわかると思うけど、双美君は

 焦りを隠しきれていない。」

 

「まあ、なんとなくはな・・・。」

 

「裏世界の自分が敵になるっていうのは、

 僕たちが考えているよりずっと・・・

 本人にとっては許せないことなんだろう。」

 

「そうだろうな・・・。だが、あいつのおかげで

 ウィッチを捕らえるチャンスができる。

 うまく支えるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

生徒会室

 

「・・・かそうくうかん・・・?」

 

報告を受けるため、虎千代と

ジェンニが待機していた。

 

「ああ。ロウたちは今そこで、ウィッチと

 戦っている。」

 

「ウィッチ? てろりすとですか?」

 

「そうだ。」

 

「・・・てろりすと、ぼくがたおします!

 ぼく、ヤパニにきたの、てろりすとたおすため!」

 

「ああ。もちろん参加してもらう。」

 

語気が強くなるジェンニを虎千代がなだめながら

説明する。

 

「だが、もう少し後だ。お前の役割は

 仮想空間じゃない。こっちにある。

 ウィッチの居場所が判明次第、拘束に

 向かう。同行してくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

結希の研究室

 

「今のところ・・・順調って言えるの

 かしら・・・。いつもと勝手が違うから

 わからないわね・・・・・・ん?」

 

天のパソコンにメールが表示される。

 

「・・・! ちょっとアンタたち!

 IMFのデータベースが破壊されたって

 ニュース来た」

 

 

 

 

 

 

「・・・ニュース?」

 

「科学者のネットワークで来たのね。

 あなたなら覗き見してると思ったけれど。」

 

「前はともかく、今はそんなことする必要

 なくなったよ。」

 

鳴子は笑いながら受け流す。

 

「てか、言ってる場合かよ。IMFの

 データベースの破壊って・・・。」

 

「ええ。このままだと、もっと被害は増える。

 電子の妖精はウィッチを追跡できてる?」

 

「ああ・・・というより、わざと

 見つかったまま移動してるみたいだ。

 次に狙うアドレスまで案内してくれるようだね。」

 

「ロウ君がいるけど、双美さんにはあまり

 魔力を使わせたくない。完全に見失うまで

 できる限り追いかけて。双美さん、

 そろそろ追いかけ・・・・」

 

「ん? ・・・・・!?」

 

ロウと結希は心を見て、

なぜか驚いていた。

それは・・・

 

「・・・あのぉ、ここって・・・・

 ネット空間、ですよね?」

 

いつものおどおどした、

表の人格の心になっていた。

 

 

 

 

 

 

「・・・そう。観測するタイミングで

 随分印象が違うと思ったけれど・・・。」

 

遠隔でロウたちの様子を見ていた

ウィッチはにやりと笑う。

 

「しかし、こんな『気弱な人格を生み出す』

 なんて・・・。そうまでして、精神の平穏を

 守りたかったのかしら。」

 

 

 

 

 

「えっと、えっと・・・も、もしかして

 ここで皆さん・・・! ・・・・。」

 

急に心が黙る。

 

「・・・すみません、取り乱しました。」

 

「おい、大丈夫か?」

 

「はい。ウィッチの追跡を開始しましょう。

 彼女の破壊を防ぐには、私が彼女を視認し、

 魔法を使う必要があります。そのために・・・」

 

目にもとまらぬ速さで

キーボードを操作する。

 

「アメリカのサーバーまで急ぎますから・・・

 酔いに注意してください。ほぼ一瞬です。

 気絶しないよう・・・行きますよ。」

 

ロウたちは光に包まれ、

一瞬で姿が消える。

 

「・・・心ちゃんが出てくる頻度が

 高くなってきている。心ちゃんが私を

 必要としなくなってきてるのかも

 しれない。だけど・・・これが最後の

 仕事なら、悔いはない。」

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

「・・・へ? もう移動したの?」

 

望は周りを見るが、景色が変わった

ようには見えない。

 

「はい。文字通り、光の速さで。」

 

「全然わかんなかったぞ・・・。」

 

「私とウィッチによって投影されている

 イメージです。場所によって景色が

 変わるということはありません。

 ただ・・・印象的なシンボルがあれば、

 その限りではありません。」

 

心が指さした建物はシャトルの形をしていた。

 

「! あれは・・・まさか・・・。

 しかし、なんでウィッチはここに?」

 

「・・・わからない。けれど、ここを

 破壊されるわけにはいかないわ。

 個人的に、用事があるところなの。」

 

「君が研究以外で執着するのは珍しいね。」

 

「建物のあの形・・・NASAか・・・。」

 

「ウィッチ・・・NASA・・・。」

 

結希はしばらく考え込む。

 

「遊佐さん、ペンタゴンとCML、

 NASAを比べたら・・・一番大きく

 報道されるのはどこかしら。」

 

「本気で言ってるのかい? そりゃあ

 ペンタゴンだ。CMLは裏方が主流だし、

 宇宙開発は産業でも人気がないものの1つだよ。」

 

「・・・なら、ウィッチがNASAを

 選んだのは、ニュース性じゃない。

 ・・・宇宙に、行かせたくない・・・?」

 

 

 

 

 

 

???

 

「なんということだ・・・! 双美君が

 グリモアの連中と・・・!」

 

まさかの事態に間ヶ岾は今までにない

焦りを見せていた。

 

「双美さんを止めるにはどうすればいいんだ!

 あなたの考えている作戦の邪魔になるんじゃ

 ないのか!?」

 

光男はウィッチを止めようと、

間ヶ岾に詰め寄る。

 

「口を慎め! 彼女は君よりもはるかに長く、

 共生の思想を追っているのだ! 彼女が

 私の思想を邪魔するはずはない。現に

 実崎より、IMFのことが大きく報道されている。

 おそらくリークでもしたのだろう。」

 

「話にならない! 彼女の居場所を教えるんだ!」

 

「知らんよ。私も探しているところだ。・・・

 ここで工作に動かねば、双美君の意志を

 無駄にすることになる・・・だが・・・。」

 

考えを巡らせ、頭を抱える。

 

「君が捕らえられてしまっては、困るのだ・・・

 双美君。・・・・・・・・・!!」

 

間ヶ岾は急いで部屋を出る。

 

「・・・まさか・・・あてがあるのか・・・?

 双美さんの場所が・・・。間ヶ岾! 僕も行く!」

 

 

 

 

 

 

 

電脳空間

 

『追ってきてくれて、うれしいわ・・・さあ、

 私の仕掛けたトラップの数々・・・・・。

 しっかりクリアして、ここまで来てね。

 ご褒美をあげるから。そうしたら、

 NASAを破壊するのは、考えてあげるわ。』

 

ウィッチが打ったであろう文章が

空に表示される。

 

「随分とした挑発してくれるな。」

 

「すっごくムカつくんだけど!」

 

ロウの横で望は地団太を踏む。

 

「ウィッチはサディストです。今もきっと、

 ゲーム感覚なのでしょう。いつでも私たちを

 殺せるという自信の表れ・・・。」

 

「君のことは殺そうとしていないみたいだよ?」

 

「ええ。ネット上で、彼女に敵はいない。

 遊び相手として、私が欲しいんです。同じ

 力を持った私が。・・・その余裕が仇になる。

 ・・・目の前にウィッチが現れたら、

 私は・・・・・・」

 

急に心が黙る。

 

「ああ!? あのあの、どうして私が

 先頭なんでしょうか!?」

 

「・・・・。」

 

再び、表の心の人格になってしまう。

 

「お前がここに詳しいって言うからな。」

 

「ひぃぃ! 偉そうに歩いてすみません!

 どうかお詫びを! ・・・・・・・」

 

土下座しかけたところ、動きが止まる。

 

「・・・す、すみません。また・・・。」

 

「ふふ、君まで謝りだしてしまったな。」

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