グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第260話 秘策

「・・・おい、双美のヤツどうなってんだ?

 なんか不安定だぞ。」

 

ころころ変わる心の人格に

望は不安を覚える。

 

「確かに、あそこまでいきなり

 変わんのは見たことないな。」

 

「・・・どういうこと? これまであんなに

 頻繁に入れ替わることはなかった。

 戻るべき・・・? いえ、ここで

 戻ったら・・・。」

 

「落ち着いて、宍戸君。あの入れ替わりには

 トリガーがある。」

 

「・・・トリガー? 条件があって

 入れ替わっているというの?」

 

トリガーが何か考えるが

思い当たるものはない。

 

「・・・一体、何なの?」

 

「一度目も二度目も、双美君があることを

 言おうとした時だ。あくまで予想だけど・・・

 『わたしが、殺す』」

 

「・・・・・・まさか、その言葉を

 止めるために?」

 

「僕は彼女の状態をよく知らない。判断は

 君がしてくれ。ただ・・・そうだな、

 もし、現実世界でウィッチの居場所が

 わからなければ・・・どうにかして

 殺すことを考えるべきなのかもしれないな。」

 

「学園生に殺しはさせないわ。」

 

結希はキッと鳴子を睨む。

 

「僕だって嫌だよ。そうならないことを

 祈る。ただ・・・双美君は、自分で

 何度も、殺意を確認しているようだけどね。」

 

 

 

 

 

 

数分後

 

心のもとにウィッチから

あるものが送られてきた。

 

「これは・・・NASAのネットワーク構成図か?」

 

「はい。マップのつもりでしょう。この空間は

 ネットワークの繋がりを認識しやすいように

 創造されたもの。道を歩くことは、それぞれの

 サーバーを移動していることになります。」

 

「・・・セキュリティの仕様とかも

 入ってて、流出したらヤバイなこれ・・・。」

 

望の顔が険しくなる。

 

「これから、おそらく、ウィッチによる

 改変が激しくなるはずです。私は

 それに対抗するため、集中しなければ

 なりません。マップやウィルスのことは・・・

 お願いします。」

 

「・・・まっ、やってみるよ。まずは、

 どんな罠があるか、確認しなきゃな。

 戦闘とかは、ロウ、お前に任せるよ。」

 

「ああ、わかった。」

 

集中するため、自分の額を

2回ほどつつく。

 

そして、再びウィッチのウィルスが

迫ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・。」

 

ロウたちは、なんとかウィルスを撃退する。

望には、疲労の色が見える。

 

「くそ、段々ウィルスも面倒に

 なってきてるな。大方、ウィッチが

 その都度アップデートしてるってとこか。」

 

「ですが、ウィッチの地図では、もうすぐ

 彼女の居場所です。遊佐さん、現実世界の

 彼女の居場所はわかりそうですか?」

 

「ウィッチが相手だ。僕の電子の妖精じゃ

 力不足かな・・・とも言ってられない。

 こっちもアップデートして、対抗してるよ。」

 

その瞬間、赤色の光が一瞬浮かぶ。

 

「・・・? 何だ? 今のは。」

 

「! まさか・・・なぜこのタイミングで!」

 

「・・・! いけない、止めないと!」

 

「くっ・・・!」

 

ロウと結希が心に向かうが、

心は光に包まれ、消えると

心の姿はなかった。

 

「・・・え? え? 今のってもしかして

 罠!? ボク、やっちゃった?」

 

「いえ・・・私の魔法が邪魔された。

 あれはウィッチの仕業。双美さんも

 障壁を張っていたのに、移動させられたのよ。」

 

「みんな、こっちに来てくれ。」

 

鳴子に呼ばれた場所に行くと、

そこには巨大で、頑丈な扉があった。

 

「かなり厳重だな・・・。」

 

「マップによると、ここが最深部。

 この先にウィッチがいると思う。」

 

「・・・ウィッチと双美が、この先に?」

 

「ああ。NASAのネットワーク・・・

 その最深部だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・!?」

 

心は目を開けると、さっきとは

違う風景になっていた。どこかの

部屋の中のようだった。

 

「宍戸博士・・・遊佐さん、楯野さん、

 ロウさん・・・。私は・・・どこに・・・?」

 

「すぐ近くよ。」

 

心の目の前にウィッチが現れる。

 

「!」

 

「後ろに扉があるでしょう? その向こうが

 あなたがさっきまでいたところ。ここは

 あなたが目指していたゴール。」

 

そう言うと、間隔の長い拍手を送る。

 

「おめでとう、心ちゃん。」

 

「前に会った時のように・・・私をここに

 閉じ込めようとしてるんですね。

 そうはいかない・・・!」

 

「遊佐鳴子も、宍戸結希も、相田ロウも、

 あの扉を破るためには時間がかかる。

 それまでの時間制限付きだけど、

 やっぱり私は・・・」

 

ゆっくりと心に近づいていく。

 

「あなたがいい・・・あなたがいい!」

 

ウィッチが攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

その攻撃音は扉の向こうの

ロウたちにも聞こえた。

 

「中で二人が戦ってるな・・・。

 急がないと。」

 

「ロウ君。試してほしいことがあるの。」

 

「ん?」

 

「できるかどうかわからないけど・・・。」

 

「・・・いや、俺も、それをやってみようと

 思ってたところだ。」

 

 

 

 

 

「ああ!」

 

ウィッチの攻撃によって

壁にたたきつけられる。

 

「こ、このコードは・・・。」

 

「あなたも使っているコードでしょう?

 全部全部、あなたの全てがわかる。

 知ってることも、気づいてないこともね。」

 

ウィッチはにやりと笑う。

 

「そしてこの仮想空間では、中から

 あなたを分解することもできる。

 ・・・・・・・へえ。」

 

しばらく、心を見た後、

ウィッチは何かに気づく。

 

「・・・な、なんですか!」

 

抵抗するため、ウィッチに攻撃を仕掛ける。

 

「・・・そういうことなのね。あなたが

 気づいてないこと・・・あるじゃない。」

 

しかし、ウィッチは顔色を変えず、

攻撃をさばく。

 

「わ、私の・・・魔法が・・・。」

 

「・・・本音を言うとね・・・私は、

 あなただけ殺せればいいの。私と同じ

 魔法を使うあなたがいなくなれば、

 間ヶ岾の計画は成功する。そうすれば、

 グリモアは遠くないうちに、消える。」

 

ウィッチは心をじっと見る。

 

「それでね、私はあなたを殺したいの。

 だから、今殺すわ。バイナリデータの

 残滓になって・・・いつまでも一緒に

 いましょうね。」

 

「・・・あなたのような・・・あなたのような

 外道に、殺されるつもりはありません。」

 

「・・・さようなら。かわいい心ちゃん。」

 

 

 

 

 

 

 

「『ROOM』!」

 

ロウは青色のドームを張る。

 

「・・・ロウ君?」

 

「ロウ? 何を・・・」

 

「静かにしてろ。少し集中する。

 『スキャン』!」

 

扉の向こうにいる心とウィッチを

感知する。

 

「よし、しっかり入ってるな・・・・。」

 

「・・・なるほど・・・。」

 

「何やる気だよ!」

 

「魔力譲渡だ。ROOM内なら、壁向こう

 だろうが、送る。これしかねえんだ。

 行くぞ・・・『譲渡(トランスファー)』!」

 

 

 

 

 

 

「・・・ぐっ!」

 

「コードが・・・!」

 

扉の向こうでは、二人が

激しい攻防を繰り広げていた。

 

「・・・・!」

 

突如、心の魔力が回復する。

 

「今の魔力は・・・ロウさん・・・!

 ・・・・ふふ・・・。」

 

「今の魔力の上昇・・・相田ロウ、ね。

 私とあなたの楽しみに割り込んでくるなんて・・・。」

 

攻撃が追い付かず、ウィッチは

心に追いつめられる。

 

「・・・投降してください。」

 

「・・・・・はあ?」

 

「私は、あなたを殺したい。けれど、

 思い出しました。私がここに立ってられるのは

 みなさんのおかげです。」

 

自分の手を強く握りしめる。

 

「宍戸博士、遊佐さん、楯野さん、そして、

 ロウさん・・・。彼らのおかげで・・・。

 だから、私の目的より・・・大事なことが

 ある。あなたは、生かして捕らえます。」

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